気づいたら大晦日でした。今年の後半は殆ど更新ができずに終わってしまいました。反省。というわけで、今年のアクセス解析を個人的にそして世の中的にどうだったのかをゆるっと振り返って見ようと思います。オススメの10の記事もピックアップしてみました。
個人的な振り返り
全部で3つのパートに分かれる1年でした。
Part1:アクセス解析の幅と可能性を伝える(2012年1月〜6月)
主に最初の半年間になります。アクセス解析に関して、いろいろな内容をいろいろな形で「伝える」ことに注力していた時期です。
今年の前半に「出前セミナー」をはじめ、様々な箇所で講演をさせていただきました。「出前セミナー」と冠がついたセミナーは8回、実施する事ができました。東京・静岡・大阪・名古屋・北海道と回ってきました。Google アナリティクスの使い方から、ソーシャルメディアの分析やアトリビューションまで様々な内容を伝えてきました。感じたことは、どこにいっても「アクセス解析に強い興味と可能性を持っていること」だけど「それをどう活用すれば良いかがわからない」という思いでした。
アクセス解析自体はウェブサイトを運用する上で今後はますます必要なスキルになってきます。しかし、そのための最初のハードルがまだ高いのではと実感しています。その理由の一部はアクセス解析ツール&用語の複雑さにありますし、もうひとつは、心理的なハードルによるものだと感じています。間違った進め方は「Googleアナリティクスの全ての機能やレポートを覚えようとする」ことです。あるいは、「全ての指標を理解したり、数値ばっかり見たりする」ことです。要件に応じて、最優先かつ最低限見る指標やポイントをどう整理すれば良いのかを考えていた時期でもあります。
また「伝える」という観点では「レポーティング」に関してもフォーカスした最初の数カ月でした。1月18日に行った「ウェブアナリスト養成講座 第14回 モニタリング・課題発見・キャンペーンのレポーティング」なんかはまさにその代表的な講演でした。そして、ここで講演した内容が、書籍「ウェブ分析レポーティング講座」のベースにもなっています。
そして「アクセス解析」ではなくなってしまうのですが、ウェブマーケティングの様々な最新&有用ナレッジを伝えようと考え、企画に参加させていただいたのが「ウェブマーケティングリレーセミナー」です。こちら、以前勉強会をさせていただいた「キャッチボール21」さんにお声がけいただき、企画(=テーマ&講師選定)に携わらさせていただいております。こちらの第1回が3月に開催され、それ以降コンスタントに毎月実施しております。テーマは多岐に渡り「コミュニケーション」から「メディア運営」から「ソーシャルリクルーティング」までカバーしました。来年1月にも第9回を開催しますすので、よろしければ、ご参加ください!
また米国でも、10分間ですが講演をさせていただく機会がありました。この講演 及び その後のやりとりがきっかけで、日本から英語圏に発信する事を2013年は実施する予定です。
「アトリビューション」に関しても、特に今年の前半は積極的に発信させていただいていました。アクセス解析単体だと縁がなかった「Web広告研究会」や「モバイル&ソーシャルWEEK」で座談会に参加させていただきました。また、「アトリビューション特別対談:株式会社リクルート小川卓✕アタラ有園雄一」では、長文のインタビュー記事も掲載いただきました。
Part2:アクセス解析の本質だけにフォーカスする(2012年5月〜11月)
今年の最大規模の講演は「Adobe Innovation Forum 2012」でした。300名近くの方にセッションを聞いていただき、前職であるSUUMOの取り組みについて話をしました。
そしてその反動(?)というべきなのかわからないのですが、改めてアクセス解析の根っこの部分ってなんだろう?と考え始めました。SUUMOで行なっている(いた)取り組みはどの企業でも実現出来るものではありません。その時に、誰にとっても出来るかつ本質的な「アクセス解析」ってなんだろう?というのを模索した結果、行き着いた結論が「ビジネスロードマップ」という可視化の手法と、「要件に基づいた数値だけを見る」という事と、「分析ではなく実践に繋げることを重視する」という3点です。
この内容を煮詰めながら、セミナーとして形にしたのが、「a2i@名古屋 出版記念セミナー」及び「ウェブアナリスト養成講座:適材適所のアクセス解析」の2つのセミナーでした。どちらも評点が高く(5点満点中、4.4点と4.68点)、自分としても手応えを感じた内容でした。これからも更にパワーアップさせて、この内容は伝えていきたいと考えています。
そして、書籍関連もこの時期に集中していました。
単書では「ウェブ分析レポーティング講座(翔泳社)」及び「マンガで分かるウェブ分析(技術評論社)」2冊を発売しました。また寄稿という形でも「デジタルマーケティング教科書 ウェブ解析士(翔泳社)」「アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法(インプレスジャパン)」「デジタルマーケターが読むべき100冊+α(翔泳社)」という形で文章を書かせていただきました。
「ウェブ分析レポーティング講座」に関しては今までに無い内容という事で非情に難産でしたが、自分だけにしか書けない内容jに仕上がったのではと思っています。解析の中の更にレポーティングというニッチな内容になっていますが、困っている方には沢山のヒントが見つかることは間違い無いです。そして「マンガで分かるウェブ分析」はアクセス解析の裾野をもう少し広げたくて書いた1冊です。完全に初心者向けというわけではないのですが、難しいことを説明せず「アクセス解析」がどう使えるかについて注力して書いてみました。アクセス解析をはじめるきっかけになれば幸いです。
Part3:アクセス解析以外のウェブ分析へのチャレンジ(2012年10月〜12月)
個人的な出来事ですが、2012年10月に株式会社リクルートから株式会社サイバーエージェントに転職をしました。10月〜12月はテレビCMから課金までの横断分析を担当させていただきました。テレビCMのGRP分析やユーザーアンケート、集客の流入内訳から会員登録、そしてその先の継続率や課金の分析までトータルで見て評価・改善提案をするという内容です。このような分析の場合は、アクセス解析は全体の一部でしかなく、ユーザーアンケート・形態素解析・自社ツールを利用した分析など、アクセス解析以外の部分の分析もチャレンジいたしました。また、アプリの分析や獲得施策なども考えて実践するという内容も行いました。
更に2013年からは特定のタイトルやサービスに絞った分析・施策・売上獲得という内容にもチャレンジします。アクセス解析ではないのですが、ウェブサイトあるいはサービスを分析するという意味では、わたしが書籍で使っている用語「ウェブ分析」の中に含まれる内容です。
改めて「アクセス解析」だけがウェブの分析では無いことに気付かされます。現在、この辺の内容はまだ世の中に向かって話すほどのスキルも経験もないので、今そして近い未来は修行&実践の期間になっています。ただ、アクセス解析に通じるものは多々あるし、今後スマートフォンのウェブやアプリの分析は更に大勢の人に必要になってくると思うので、必ず自分の物にしたいと考えています。
もちろん今でも自分の本職は「アクセス解析」であり「ウェブアナリスト」だと思っています。来年も「出前セミナー」であったり、講演であったりはいろいろ仕込中です!しかし、幅を更に広げて行く事で、新しい武器ができるし、社内でしっかり結果や価値を出すことで更なる可能性が生まれそうです。
2012年のアクセス解析トレンド?
世の中的にアクセス解析はどうだったのか?というのを考えると。ますます普及が進んで1年だったのではないでしょうか。ツールという観点では新しいツールがいっぱい出てくる時期は過ぎたかと思います。2010年〜2012年頃は5つくらいのツールが毎年でいた気がするのですが、今年はほとんどそういった話題はありませんでした。また、ソーシャルメディア関連の分析ツールに関しても、少し落ち着いたのではないでしょうか。
アクセス解析イニシアチブでは名古屋での講演も積極的に行われたり、例年以上に活動が行われていたりしました。また、「ウェブ解析士」というアクセス解析の資格に関しても、講演の参加者の中に資格取得者や検討者が増えたように感じています。また多くの方による講演や、今年後半のGoogle アナリティクス関連の出版ラッシュもありました。浸透という観点では更に広まった一年だったのではないでしょうか。
企業側やトレンドという観点では「ビッグデータ」や「アトリビューション」という用語も今年は話題になりました。その用語の意味合いや賛否はともかく、大量のデータを素早く分析出来るための「環境」は整いやすくなったのではないでしょうか。逆に人材という形ではまだ不足している、あるいは正しく認められていないのか、2012年はまだ「体制」は整っていないという印象も受けました。このへんの取り組みは来年もまだまだ一部の企業によって積極的に進められるのではないでしょうか。逆にこのような用語を意識せずとも既に実践している企業も、いくつか既に存在しているという認識です。わたしが属しているサイバーエージェントもそのための体制や準備が着々と進んでいます。
また周辺ではGoogleのパンダやペンギンアップデートというものがSEO界隈を賑わしていました。最近も、ある事実をきっかけにその影響力の大きさを感じています。リスティング及び有料広告周りも更に発展していますし、ネット広告周りはとても波瀾万丈な一年だったのではないでしょうか(と、対岸から見ていて思いました 笑)
2013年の個人的な方向性
2013年は、アクセス解析以外の分析も実践していく1年になりそうです。特にスマートフォン周りはしっかり取り組む予定なので、その結果や考え方を本ブログやセミナーで公開できればと考えています。
また、以前より時々このブログで書いている「英語圏への発信ブログ」に関しては、次回のこのブログの更新(年明け3日)にようやく公開となります。2013年は英語圏の方に認知してもらい、情報交換ややりとりを行えることが大きな目標の一つです。そして2014年には招待される形で講演をしてみたいです(笑)
アクセス解析も、更に取り組んでいき、情報発信をして参ります。既に決定している内容として
スクーでのオンライン講演(1月17日)
CSSNite(2月2日)
出前セミナー@東京(1月)
出前セミナー@広島(2月)
雑誌「WebDesigning」での連載(2月)
Markezineでの新連載(2月)
があります。
しかし、2013年もいろいろ実施予定の中、「逆に実施しないこと」を少し作る必要があると考えています。というわけで、以下3点に関してはその内容を減らす予定です。
1.書籍の執筆
来年は新しい本は出さない予定です(特に話も来ていませんが 笑)。寄稿とかはあっても、単書に関してはネタが無いのと、アクセス解析に関して今かける内容は書ききってしまったというのがその理由です。今年2冊同時進行だったのですが、どちらも遅くなってご迷惑をおかけしてしまいました。
2.ツールのレビュー
ツールに関しては主要な物はレビュー済みなのと(SiteCatalystだけ書いてないので、そろそろ書こうかな)、新しいツールも少なくなってきたので、自然とその数は減るかと思います。というか、今年もほとんどツールのレビューはMarkezineの連載でしか出来ませんでした。
3.講演の数
2012年は37回と前年の倍以上の講演となりました。楽しくて多くの出会いもあったのですが、時間の観点からは少しやりすぎてしまいました(汗)。というわけで、来年も講演は行なっていくのですが、今年よりは少し数は減るかと思います。でも、講演は一切受けないという事ではないので、ぜひお気軽にご相談ください!
オススメ15個の記事
アクセス解析及びその周辺でオススメしたい2012年に書かれた、15個の記事です。年末年始の読書のどうぞ!
大規模サイトにおける Googleアナリティクス導入から成果まで(MOL)
Data Visualization Principles: Lessons from Tufte(SEOmoz)
アトリビューション特別対談:株式会社リクルート小川卓 ×アタラCOO有園雄一(attribution.jp)
取り違えてはいけない6つのKPI指標(ログマニアックス)
【GA】大量のキーワードからニーズを考察する3ステップ(カグア!)
エロサイト「h300」のアクセス解析をしてわかった 6つの法則(彼女からは、おいちゃんと呼ばれています)
清水 誠×小川 卓、Webアナリスト対談【前編】 解析ツールの役割ってこれからどうなるんだろう
レポート分析のプロトタイピングで意思決定フローを作る(ITMedia マーケティング)
米国のCMOはスーパーマン、日本はチームでそれを担保し、データオリエンテッドな企業文化を構築する必要がある【モバイル&ソーシャルWEEK2012レポート】(Markezine)
いわゆるダメなアクセス解析レポート 7つのパターン(運営堂)
アクセス解析に苦手意識を持つディレクターまたは別業種のための アクセス解析具体的やりかた(Web Director's Manual)
データマイニングを仕事にする人の生態系(dataminer.me)
Google アナリティクス サミット:最新情報と 2013 年の新たな地平線(Google Analytics公式ブログ)
データからアクションへつながらない症候群を打破する9つの秘訣/メディックス(Web担当者フォーラム)
PDCAをシンプルに考えるアクセス解析の新手法! 成果を上げる「仮説・検証型データ分析」ノウハウ全公開(Web担当者フォーラム)
最後に
今年も大勢の方にお世話になりました。株式会社リクルート 及び 株式会社サイバーエージェントの皆様。アクセス解析イニシアチブそしてSiteCatalystユーザー会「eVar7」の皆様。出前セミナーの実現に携わっていただいた皆様と講師の皆様。ウェブマーケティングリレーセミナーの主催者であるキャッチボール21の皆様。ツールベンダーの皆様。書籍の執筆に携わっていただいた皆様。講演に参加いただいた皆様。書籍と読者の皆様。FacebookやTwitterで相手していただいた皆様。
たくさんの人のおかげで、1年間、様々な活動を行うことができました。時間を守ったり、結果を出したり、いただいたものをお返ししたりという観点ではまだまだ不十分でしたが、全ての内容がわたしにとって大切&貴重なものとなりました。来年も何卒宜しくお願いいたします!