7ヶ月のアクセス解析勉強会で学んだこと

今回は書こうと思っていた、ある勉強会での話になります。例によって乱文&チェック無しです(言い訳完了)。


今回のお話は勉強会に参加した側ではなく、講師としての体験です。




こちらの勉強会はある会社さんから依頼をいただき、実施したものです。企画自体は去年の夏にお話をいただき、その時から6回に渡って連続で行なう勉強会である事が最初から決まっていました。今までいただいた講演や勉強会のご依頼は大体1回、多くても2回で終わるものでした。そのため依頼いただいた内容に対しての期待に(目指しているところは期待以上に)答えるかという事で実施をしてきました。そのため、大勢の方から「早口」「詰め込みすぎ」と言われるのですが(汗)


しかし、今回は長期間という事で各回の宿題なども含めて考えることができ、自由度が高い案件でした。逆にこのような形式で行なうのは初めてだったので、最後までやり遂げられるかという不安もありましたし、参加者の満足度やモチベーションも心配でした。テーマは「アクセス解析の活用」という最も多くいただくテーマですが、最も私がお伝え出来る(したい)内容でした。


月に1回程度の頻度で、毎月ご依頼いただいた会社さんの会議室で勉強会を行いました。参加人数は会にもよりますが、大体15名くらいの人数でした。


そこで、以下のようなコースを実践いたしました。

第1回「サイトの目的及び課題を整理する」 2011年11月

清水さん提唱の「コンセプトダイアグラム」を利用したサイトの目的・ユーザー像や分析指標の整理を行いました。約15名の参加ということで、4チーム×4人に分かれてもらい、それぞれのシートをディスカッションしながら記入をしていきました。サイトの目的・ゴール・課題を発見するたのに非常に優れたツールで、私自身よくアレンジして愛用させていただいております。



小川アレンジの「コンセプトダイアグラム」※内容はサンプルで一部おかしいところもあります

アクセス解析の勉強会でしたが、この日はアクセス解析ツールの話は一切しませんでした。皆さん、題材が自社サイトという事もあり、本気で取り組んでいただき、当初予定していた時間を30分以上超えての終了となりました。


第1回を終えた時に感じたのが、皆さんの本気度でした。「話を聞きに来ている」わけではなく「取り組もうとしている」そして「話に無い内容も「聞こう」としている」事がとても印象に残っています。これから残り5回も上手く行くのではと思いつつ、それに甘えてはいけないと思いながら、会場を後にしました。



第2回「OGSMシートとGoogle アナリティクスガイド」2011年12月

第2回の前半は、更にサイトの現状と課題を整理するため、いちしまさん提唱の「OGSMシート」のワークショップを実践しました。コンセプトダイアグラムと比較すると少し記入の難易度は高いのですが、コンセプトダイアグラムに前回取り組んでいただいたこともあり、今回のグループの中で盛り上がりながら記入をしていただきました。



「OGSMシート」 ※内容はサンプルで一部おかしいところがあります(というか数値とかは嘘です)

サイトの目的や課題、可視化したいことが整理された所で、利用されているアクセス解析ツールGoogle アナリティクス」の解説に入りました。しかし、ここでもレポートの話は一切しませんでした。今まで実施していただいた内容を正しく計測するために、どのような実装と設定が必要かという話に終始しました。アクセス解析ツールは要件にあった実装をしないと、結局取得したい数値が取得できず、見るモチベーションも下がってしまいます。


第3回「Googleアナリティクスのレポートと分析手法」2011年12月

クリスマスも終わった年末に開催されました。題名の通り最もアクセス解析っぽい内容を話しています。どのようなレポートが存在し、それをどう活用すれば良いかという内容です。ただし、この内容も1時間程度しか時間を割いていません。そして、今回ははじめて宿題を出しました。


前回と同じように4チームに分かれて、同じサイトでGoogle アナリティクスを利用した分析を行うという内容です。といっても、「ただ分析してきてね」では難しいので、「アクセス解析を使ってサイトの課題を発見する12のステップ」の記事で紹介した手法をアレンジしたものをお渡ししました。


はじめての宿題という事で、皆さんのアウトプットを楽しみにしながら、第3回も無事に終了しました。


そしてこの回から「課外授業」というのを始めました。勉強会が終わった後に30分程残りたい人に残っていただき、小川が各回の間に行なっていた講演の内容や気づきを皆さんに共有しながらディスカッションするというものです。アトリビューションであったり、会社での取り組みであったり、アクセス解析ツールの全社導入の話であったり、なかなか普段耳にする機会が少ないことを毎回インプットしました。こちらも非常に盛り上がり、実践するかはともかく、世界の提示は出来たのではと考えております。



第4回「宿題の発表 と 解析データを利用した課題発見から施策実施まで」2012年1月

この回は前半の1時間を宿題の振り返りに使いました。各チームからそれぞれ15分程度の発表と質疑応答の時間を設けました。皆さん宿題に精力的に取り組んでいただき、10枚〜20枚の資料を元に熱心に自分達の気づきを伝えてくれました。


チームによって見る観点も違っており、チーム間での気づきも多く良い発表になりました。私自身も自分で考えておいた分析手法ながら、改めてもっている視点によって気付けることが沢山あることを思い知らされました。こういった結果を見ていると、やはりいろいろな人にいろいろな視点からサイトを分析する事って大切だよなぁ…どうしたら実現できるかなという事を考えていました。発表の資料を公開したくらいです(笑)


後半は課題発見から施策実施の部分です。つまりアクセス解析ツールで得られた気づきを、どう施策の実施までもっていくかという内容になります。個人的には、「実施しなければサイトは改善しない」という当たり前だけど大切な思いがあるので、この部分はとても重視してお話をしています。


そして、今回も宿題を出しました。分析をしてくれた内容 及び 本日お話した内容を元に、各チームで具体的に実施したい(するべき)施策を考えてくるという内容です。学ぶだけではなく、この勉強会では施策を実施して評価まですることを考えていました。


番外編「業界経験者を招いての講演」2012年2月

今回の会社さんはある特定の業界のサイトを運営されていました。私自身、コンサルティングという形でその業界の分析を行った経験はありましたが、やはりその業界全体についての課題感や方向性などは知識不足でした。自分が話している内容や考え方だけではなく、外部の視点も入れたいと思い、同じ業界のウェブサイトを過去に運営されていた知り合いにお声がけをいたしました。


「この業界に関しての思いや、今までの取り組みを説明して欲しい」とお願いしたところ、快諾いただき急遽番外編を開催することなりました。


同じ業界で同じ取り組みをしていた仲間ということもあり、非常に熱い会となりました。お互いに素直に思っている事を伝え、意見を交換する。この日私はファシリテーター役(=見ながら時々ツッコミを入れる係 笑)だったので、私自身も非常に楽しませていただきました。みんなのモチベーションが一段上がるのをはっきりと感じました。


第5回「宿題の振り返り と キャンペーン(施策)管理シートの記入」2012年3月

番外編を挟んでの宿題の発表会となりました。少しオープンなテーマを宿題として提示していました。そのため、様々な視点からの発表がありました。チームによって重視するポイントが違い、それぞれの立場や個性が出た内容となっていました。


今回は実は発表は2段階にわけていました。上記が1段階目。皆さんの発表が終わった後に、私がよく利用している「キャンペーン(施策)管理シート」を提示し、各チームで最も実施したいと考えている施策をこちらに記入してもらった上で、再度発表を行いました。



「キャンペーン(施策)管理シート」 ※内容はサンプルで一部おかしいところがあります


キャンペーン管理シートを活用することで、施策を実施する上で必要な情報が確認できますし、効果見立ても行なうことができます。皆さんに書いていただくことで、より具体的に実際したい施策がシャープになっていました。


最後にサイトのウェブマスターに最優秀施策を選んでいただき、この回は終了。
次回までの宿題として実際に施策を行い、その評価をしてもらうという事を宿題としました。


いよいよ次回は最終回です。


第6回「施策の結果発表?……ではなく」 2012年5月

前回から約2ヶ月半空いての開催となりました。というのも、その時に選んだ最優秀施策が実施出来なかったことが原因の一つでした。講演やコンサルティングを行う時に、必ずぶつかるの施策の部分です。そこまではスムースに進むのですが、施策の実施となるとストップがかかってしまうケースを何度か見てきました。


その時のサイトの状態や会社の方向性や予算のかけかたなど理由は様々あります。今回もそういったケースで近々での実施は難しいという事で、急遽内容を変えての講演です。


最終回は3つの内容を行いました

1)データの見方と分析手法
改めてデータをどのような解釈して見るかというところを整理しました


2)リアルタイムサイト分析
こちらは初めての試みで、その場で今回のサイトとGoogleアナリティクスのデータを見ながら、皆さんの目の前で分析を実施するという内容です。黙々と分析していても面白く無いので、サイトの気づき・課題・仮説を口頭で話しながら、それを確認するためにデータを見るという方式を取りました。本当にぶっつけ本番だったので、実施する前は緊張していたのですが、いざ始まってみたら「分析モード」のスイッチが入って、ひたすらしゃべっていました(笑)割と好評だったようで、この手法は他の場でも実践してみたいと考えております。


3)KPI設計事例
改めて整理するという観点もあり、実際のサイトを事例にどのようにサイトのゴールやKPIを設計しているかという話をさせていただきました。「何を設定したか」ではなく、どういうプロセスで決まっていくかというところを重視して話をしました。社内で丁度取り組んでいた内容だったという事もあり、コミュニケーションや考えを整理するためのドキュメントやシートなども交えながらお伝えさせていただきました。


上記の話が終わり、無事に最終回も実施しました。
施策が実施できなかったのは残念だったのですが。。。。。。


でも、ここでこの話は終わりではなく、もう一回ミーティングがありました。



第7回「振り返り会」 2012年6月

最後に企画をご提案いただいた方+代表取締役+役員の皆さんに振り返りの場を設けていただきました。自分の取り組みがどうだったのか、どこを今後改善していけば良いのかといったご意見をいただく事と、改めて感謝を伝える場でした。


忙しい中、参加者にアンケートまで取っていただき、多くの率直な感想や意見をいただく事ができました。皆さんの業務に反映されたり、考え方が変わったりと、良い影響を与えられたのではと感じました。もちろん改善するべきポイントもいくつかいただきましたので、今後の講演や勉強会に反映していきます。



しかし何より嬉しかったのが、代表取締役の方が

「小川さんが作ってくれたキャンペーンシート、うちでアレンジして利用しているよ!今日もそれで丁度報告を受けたんだよね」

といって実際の報告資料を見せていただいたことです。


そこにはキャンペーンシートをその会社流にアレンジし実施した施策の結果や考察が、しっかり書かれていたのです。常に「アクセス解析を業務プロセスの中に取り入れて欲しい」と多くの講演で伝えているものの、なかなかそれが実践される場を目にする機会がありませんでした*1


講演・勉強会・コンサルティングをされている方なら分かるかと思いますが、自分が思いをもって伝えてことが形となって実践される事は大きな喜びの一つです。当たり前のようでいて、本当に実践しているところは少なく、また自分自身がそれを見るという事になると更に少なくなります。



それを目の当たりに出来た幸せな経験を忘れずに今後も情報発信をしていきたいと思います。
みんなで選んだ施策も動き始めているようです。


そして、私の講演・ブログ・勉強会などを通じて皆さんが実践している事がありましたら、ぜひ私にご一報ください!
その報告が私にとっては何より嬉しいですし、詳しい話を聞くために打ち合わせをセッティングさせていただきます(笑)




そして学んだこと

上記までは私の感想です。今回の経験を通じて学んだことは3つあります。


1つ目は「自分がアウトプットする最大の目的は『実践してもらう事』である」という事実を再度認識したことです。講演時に「分析実践率」という話をよくさせていただいています。分析実践率は「実際に分析や取り組みを行なっていただいた人数 ÷ 参加いただいた人数」です。この指標が私にとってのゴールです(ほぼ測定する機会は無いのですが 笑)。そして今後もゴールとして設定し続けていきます。


2つ目は「取り組んでもらう事の大切さ」です。勉強会やワークに参加いただいている方に、「本当に自分にとって関係がある内容であり、取り組んだら気づきが得られるかも」と信じてもらう事が重要です。私は基本伝えることしか出来ません。それを自分の事として考えて実践する事の最終判断は参加者が行なうものです。その可能性を少しでも高めることが自分の役割です。今回は参加いただいた皆さんの意識とモチベーションの高さに非常に助けられながら、学んだことです。


3つ目は「やっぱりアクセス解析楽しい!」ということです。なんか興奮するよね(笑)


説明の仕方や、今後に向けての改善という点で学んだこともたくさんありましたが、もっとも大切な学びは上記3点になります。




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今回、勉強会をさせていただいた会社の皆様もこの記事を見ているかと思います。
機会をいただき そして 意識高く取り組んでいただきありがとうございます!
私も非常に楽しく勉強会をさせていただきました。


そして、書かせていただいた内容に認識齟齬や誇張などがれば、こっそりご連絡ください(笑)

*1:本職のサラリーマン業があるため、コンサルティング案件をほぼ受けていないというのも理由だとは思いますが