2013年のアクセス解析界隈で気になった記事ベスト10+α

今回は前回のアドベントカレンダーに続き、UX Advent Calendar 2013にも参加させていただき、本日担当となるので、件名のトピックスでお届けしたいと思います。筆者はデザイナーやUXに携わっている方(の多くが)読んでいているWebDesigningという雑誌で1年ほど連載を行っています。筆者自身はUXには強く無いのですが、デザイナーやエンジニアにも解析を意識してもらいたいなと思い、コンテンツを毎月書いております。というわけで、UXの観点も交えながら、今年おすすめの記事を10+α個紹介いたします。


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1:唯一の販売チャネルから最大の成果を得るためにテスト&分析でコンテンツ貢献度をチェック/ライフネット生命保険アクセス解析事例【Web担当者フォーラム】

唯一の販売チャネルから最大の成果を得るためにテスト&分析でコンテンツ貢献度をチェック/ライフネット生命保険のアクセス解析事例
今年拝見させていただいた、企業の取り組みで最も印象に残っている事例です。取り組みの背景まで詳しく説明されており、長文ですがぜひじっくり最後まで読んでいただきたい充実した内容となっています。



2:リクルートライフスタイルのUXデザイン #RLSUX にいってきた【webディレクターの阿呆な研究】

リクルートライフスタイルのUXデザイン #RLSUX にいってきた(1)
リクルートライフスタイルのUXデザイン #RLSUX にいってきた(2)

前職のUXセミナーに関するレポートです。2回に分けての詳細な内容となっています。個人的には、UXに関わっている方の苦労や考え方を理解するのに非常に役立つ記事だった上に、今後一緒に働く機会があれば、前提知識になるだろうと思い熟読させていただきました。UXに関わっている方には、共感する部分も多いのではないでしょうか。




3:【保存版】問合せを劇的に増やすエントリーフォーム最適化(EFO)15の方法【LPO研究所】

【保存版】問合せを劇的に増やすエントリーフォーム最適化(EFO)15の方法

エントリーフォームの最適化に関する話。こういった「○○の方法」という記事に関しては、その内容をただ信じるというよりは、チェックリストとして利用する事をオススメします。UXの観点においても、アクセス解析の観点においても、フォームの分析と改善は非常に大切だと考えており、コンサルティングなどをさせていただく場合は、真っ先に確認している部分になります(デバイスごとに)。UXと解析を繋ぐ一つの接点でもあると感じております。



4:71 Things to A/B Test【Optimizely】

71 Things to A/B Test

※英語※上記はEFOという観点でしたが、こちらの記事はA/Bテストに関しての記事になります。Optimizelyは同名のA/Bテストツールを提供・販売しているということもあり、様々な観点でチェックするべき事を列挙しています。こちらも同じようにチェックリストとして利用しています。ただA/Bテストに関してはテストする場所や条件を考えて行わないと、成果が極めて小さいものになってしまうので、書いてある事をそのまま実施すれば良いというわけではない事に注意が必要です。




5:昨今のwebディレクターは「データ分析」「A/Bテスト」病にかかってしまい、考え方のスケールが小さくなっているのではないか。【webディレクターのネタ帳】

昨今のwebディレクターは「データ分析」「A/Bテスト」病にかかってしまい、考え方のスケールが小さくなっているのではないか。

というわけでカウンター記事も一つ紹介いたします。フレームワークも含め、改めてテストをすることで視野が狭くならないようにぜひチェックしてみてください。あるページの改善を細かく繰り返していても、実はもっとも最適な改善方法はそのページを無くす事・・・みたいな事は時々あります





6:行動する為のデータ分析は8割程度で十分【SEM-LABO】

行動する為のデータ分析は8割程度で十分

というわけで、私もセミナーなどでお話させていただいていますが、分析はなるべく最小限に留めることが大切です。私の場合は「分析に使う時間は業務時間の5割以内におさえるべし」という形でお話しております。改善サイクルをなるべく早く回すこと(=打席に多く立つこと)が成功の確率(=打率)をあげてくれます。PDCAに関しては、私も「施策と分析の順番 及び PDCAサイクルに関するお話」という内容で書かせていただいておりますので、よろしければあわせてどうぞ。




7:「施策を打ったらKPIが上がった!」だけで満足するのは危険【銀座で働くデータサイエンティストのブログ】

「施策を打ったらKPIが上がった!」だけで満足するのは危険

こちらも非常にはっとさせられる記事でした。「個別の改善が成功していても、全体的な下り傾向になってしまう」という事は、短期での成果を求めてしまうとどうしてもおきてします。私自身も今の職場で似たような経験をしているので、短期で聞く「スポットの改善施策」と長期的に利用者を増やす「ベースの施策」と両方を常に意識してお仕事に取り組みたいと思います。




8:最近ウェブでまかり通っている悪弊【maclalala2】

最近ウェブでまかり通っている悪弊

解析に判断を委ねることのリスクや考えた方についての記事。UXに携わっている方にとっては、まさに「データだけで判断されてもらっては困る」と思う部分ではないでしょうか。解析には限界があり、分析者も常識や環状を意識した上で施策を提案する事は大切だと感じています。その一方でデータは「嘘をつく」事は基本的にはないので*1、データを改竄してまであわせる必要はないと(当然ながら)考えています。このへんのバランス感覚は難しいですね。。。




9:無料でここまでできる!アプリの分析ツール3選【GrowthApp】

無料でここまでできる!アプリの分析ツール3選

割と重め(?)の記事の紹介が続いたので、ちょっと趣向を考えてアプリの分析ツールに関する記事も紹介。来年は今まで以上にアプリの解析はホットな分野になってくるのではと期待しております。ヒートマップからアクセス解析ツールまでバリエーションもどんどん増えてきました。自分もいろいろなツールを試してみようと思います。



10:Conversion Rate Optimization Maturity Model【online-behavior】

Conversion Rate Optimization Maturity Model

※英語※ コンバージョン率を改善するための成長モデルに関する記事です。どのような取り組みやツール、知識が必要なのかがわかりやすくまとめられています。ニーズがあれば、翻訳記事書いてみようかなと思っています。




11:Search: Not Provided: What Remains, Keyword Data Options, the Future【Occam's Razor】

Search Not Provided What Remains, Keyword Data Options, the Future

※英語※ 今年アクセス解析(及びSEO業界)の中でも熱い話題だったGoogle検索エンジン経由のキーワードが取得できなくなるという仕様変更に関して、Google AnalyticsエバンジェリストであるAvinash氏の見解を分析をするために何が出来るかという記事になります。いつもの長文記事ですが、興味ある方はぜひ読んでいただきたい内容です。



番外編:筆者が書いたオススメ記事

「アクセス解析」における5つの真実

アクセス解析の出来ること・出来ないことを改めて整理してみようと思い、書いた記事になります。(データマイニングビッグデータもそうですが)アクセス解析は出来ることや分かることが限られており、分かることに関しては非常に得意で大量のデータや気づきを得られるのですが、数値だけではわからないことや出来ないことも沢山あります。ぜひ、アクセス解析に興味がある方には読んでいただきたい内容になります。また分析に関する思いや、今までの筆者の経歴に関しては「Bookscan」でのインタビューが一番まとまっておりますので、興味がありましたら、ぜひ。




今年気になった解析関連のブログ

Approach to Innovation

現在勤めている会社でUI/UXに携わっている方のブログです*2。UI/UXを中心に解析まで踏み込んで、様々な考え方や事例を紹介してくれています。UI/UX界隈では皆さんご存知のブログだとは思いますが、アクセス解析を行っている人間から見ると、考え方が新鮮だったので紹介させていただきました。



最後に

今回はアクセス解析及びその周辺のオススメ記事を紹介してみました。アクセス解析そのものというよりは、その周辺が話題になった一年という印象が強いです(特にデータサイエンティスト回り)。しかし、毎年毎年アクセス解析に興味を持つ方や分析を実践されている方が増えているのを実感しています。今後、アクセス解析及びその周辺の職務は一部融合していく事で、さらに進化していくのではないでしょうか。5年後には「アクセス解析」や「ウェブアナリスト」という言葉がなくなっていても不思議ではありません。


なんか、今年最後の更新っぽい文章になってきましたが、現在ブログで連載している「ソシャゲ分析講座」は年内はもう少し続く予定です!
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

*1:データに基づき結論を変えることは出来ます

*2:実は面識なかったりします。。。