衣袋さん献本ありがとうございました。タイトルに書いてある通り、新人ウェブ担当者全員に読んでいただきたい本です。
新人ウェブ担当者にオススメする理由その1:アクセス解析の前提となる知識がしっかり書かれている事
アクセス解析の表面的なデータはもしかしたら理解出来ても、何故そのような数値の取り方になっているか、その技術的な背景はどういうものかを理解しておかないとすぐに数字の意味が分からなくなってしまいます。
本書では、アクセス解析が生まれた背景やその精度から始まります。アクセス解析ってどこまで使えるの?というのを最初に提示してくれます。そして次にウェブに関する基本的な知識の理解です。IPアドレス・クッキー・UserAgent・ドメイン・URL構造・参照元など、漠然とわかっている事も、改めて説明されアクセス解析での文脈で話されると一層理解が進みます。
今まで業務でネットを活用されていない方、あるいは新人として初めてネットをビジネスで使う方にとって、ここは覚えておいて本当に損はありません。必ず、本書に書かれているようなことを、ウェブ担当者は聞かれます。
新人ウェブ担当者にオススメする理由その2:アクセス解析ツールの理解と選定に必要な情報が網羅されている
担当されるサイトにはもしかしたらアクセス解析ツールが入っていないかもしれません。あるいは入っているけど、誰も使っていない。そのような事はよくあります。本書では、アクセス解析の重要性(とその限界を)説くと共に、アクセス解析そのものの理解やツール選定方法を紹介しています。
現在ツールが導入されていない場合は、ツールの導入を掛けあってみましょう。その際には本書の背景知識の理解とツール選定方法の文章が非常に役立ちます。使っていないツールが入っている方は、本書に照らし合わせて現在のニーズとギャップがあるかを把握してみましょう。
そして、モバイルのアクセス解析ツールに関しても、丸1章設けられています。意外とモバイルに触れている本は少ないので、モバイルの方がアクセス数が多いようなサイトをお持ちの担当者はぜひチェックしてみましょう。
新人ウェブ担当者にオススメする理由その3:データの見方が超具体的!
アクセス解析ツールを導入しても使われない一番の理由は*1「データの見方がわからないから」だと思います。数字が上がったり下がったりしている事はグラフを見ればわかるのだが、そこからどうすれば良いか分からない。よくある事です。
本書では、たくさんのグラフとデータの見方を紹介してくれます。たった一つのグラフにこれだけの情報が入っているのか!と何度も驚かされます。自分のサイトを分析してみたくなる内容になっているのが、この本の何よりの魅力だと思います。
新人担当者として、まずは本書で紹介されている手法を元に分析を行ってもらい、その結果を周りの人や上司に紹介しましょう。そこから新たな会話や更なる分析手法が見つかるかと思います。
もちろん新人ウェブ担当者だけではありません。
既にアクセス解析ツールを活用されている方も、しらなかった分析方法や、ぼんやりと理解していた事が整理されます。一応、本書に書いてある「中級者以上」という事で、これは!と思ったところを箇条書きにしておきます。詳しくはぜひ本書を読んでみてください。
サンプルサイズとその誤差(500サンプルで回答比率が30%だった場合、その精度は±X.X%になる)
プロキシサーバーからの読み込みが計測に与える影響
コンテンツが変化してもURLが変わらないケース(Flash,Ajax,パーソナライズドページ)
GoogleAnalyticsのモバイル解析の仕組み
ツール間のデータの違い
流入経路別の分析軸や見るべき計測指標
サイトタイプ別フォーマット(種類ごとの観るべき指標や考え方)
最後に
序章に「アクセス解析の出来ること、出来ないこと」をもってきたところに衣袋さんのこだわりを感じました。あくまでも「アクセス解析ツール」は道具の一つとして、正しく理解し出来る範囲の中で有効利用する事が大切かという事を本書は説いている気がします。
アクセス解析以外の部分にもしっかりと文章が割かれており、背景や関連する情報を理解しておく事で、「分かって使える」ようになります。
ぜひ、多くの方に教科書として読んでいただきたい本でした。
- 作者: 衣袋宏美
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2011/04/13
- メディア: 大型本
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*1:個人的な感覚値ですが