アクセス解析:「新規率」という概念
「新規」を見る時は「流入元」単位での新規率及び数を見ることが重要です。まずは定義から。
新規率=新規の訪問回数÷合計訪問回数
あるいは
リピート率=リピーターの訪問回数÷合計訪問回数
と、なります。
新規はどうやって見分けているの?
多くのツールでは「新規」の定義というのを設定できます。新規と定義するポイントは大きく分けて2つ。
- 初めてサイトに訪れた人の訪問
- リピーターの期間として設定した日数を超過した場合
ツールによっては二つ目の設定は出来なかったりします。以下で上記、二つの詳細を説明します。
初めてサイトに訪れた人の訪問とは?
主流のタグ版のアクセス解析ツールでは、計測タグが入ったページにアクセスがあると、ブラウザに対してCookieを発行します。初回のアクセスはCookieが無いため、Cookieが無い人=新規になります。逆にCookieがある人=リピーター となります。
記載の通りCookieの有無での判断になるので、Cookieが削除される場合(漫画喫茶や大学の端末など公共端末でシャットダウンすると消えるようにしているなど)やCookie拒否の設定をしている場合、アクセスがある度に新規扱いになります。また同じ個人でも「会社の端末」と「自宅の端末」では別ユーザー扱いになります。なので画面で見ているUU数は実際の人数とは限らないことには気をつけてください。(モバイルの場合のユーザーの定義は勝手が違うのでここでは割愛)
リピーターの期間として設定した日数を超過した場合とは
ツールによってはリピーターの期限というのを設定する事が出来ます。これはCookieの有効期限を設定する事によって実現しているケースが多いです(つまり期間がきたらCookieを削除してしまうという手法です)。たとえばこの期限が「30日」に設定していた場合、特定のユーザーが1月1日と2月15日に訪れた場合、新規ユーザーとして計測されます。
何日に設定するのが良いか?という事に関しては基準とはいうものは特になく「サイトの特性」で決める必要があります。1ユーザーがサイトで1アクションを起こすのにかかる日数を意識するのがポイントです。たとえば転職サイトであれば数か月くらいが妥当でしょうし、ECサイトであれば1か月もあれば十分かもしれません。
この指標をセットするメリット(というかポイントは)「1アクションが終わったら、それ以降は新規ユーザーとして数えたい」ケース、あるいは、「久しぶりに訪れた人はサイトの事を忘れている可能性が高いので新規の人として数えたい」という時に活用できます。
新規を見る意味とは?
多くのサイトでは新規のユーザーを集めたいと考えています。リーチ人数を拡大する事がコンバージョン数の増加に繋がるからです。なので新規数や新規率は主に流入と絡んだ指標とクロスしてみることが大切です。どのようなワード・リンク元URL・プロモーション・アライアンス先が新規のユーザーを連れてくるのか?こういった掛け合わせで数字を見みましょう。
そこで新規を増やすための改善手法として
- 新規率が高い流入元の流入数を増やす
- 流入数が多い流入元の新規率を増やす
という二つの手法があります。一つ目の手法はSEOやユーザーが任意で貼ってくれたリンク以外は比較的実現がしやすい(=お金で解決しやすい)です。「新規ユーザーを連れてくる外部メールマガジンの配信数を増やしたりや掲載位置を上部に持ってきてもらう」「新規ユーザーを連れてくる広告バナーの出稿量を増やす」などです。これによって新規の流入数を増やすことができます。ただし、新規の人は当然限られているので、いつか限界は来てしまいます。
後者の手法は難しく、トライ&エラーに依存するものが多いです。クリエイティブを変えたりする事によって新規率が変わる場合もありますが、流入数自体が減ってしまう可能性があります。
適切な新規率とは?
サイトの規模や特性によって変わります。新規の人を多く連れてくれば新規率は上がります。ただし目的は「新規の人を連れてくる」事だけではなく「新規の人にサイトを使ってもらいリピーターになってもらいコンバージョンしてもらう事」です。なので新規率を上げた後はリピート率をあげる必要があります。
こういった施策を同時並行に繰り返し行う場合があるので、結果的に数値は「固定」される場合が多いです。ただし最終的にはリピート率を上げていく事が目的になります。これは「リーチ出来るユーザー(サイトのターゲット層)にはすべてリーチした」場合なので、実現できるサイトは限られています。しかし夢は大きく、まずはその限界を目指してみましょう!
新規率が高い流入元やワードは?
決まったものはないですが、傾向はあります。
【新規率が低い流入元】
「メールマガジン」「流入元無し(※)」などが低めです。「メールマガジン」は新規の人は登録出来ない事を考えるとリピートが高いのはわかりやすいと思います。「流入元無し」に関しては主にブックマークからのアクセスに起因します。このブックマークのアクセスは顧客になりやすいユーザーなのでウォッチする事は非常に重要です
(※)「流入元無し」に関しては
・ブックマークからのアクセス
・Outlook等のメールソフトからの流入
・URLをアドレスバーに直打ち
・リファラー情報送信拒否
・リダイレクトによるリファラー落とし
・httpsページからのリンク(httpsからのアクセスではいくつかの古いブラウザを除きリファラーを送ってきません)
・(モバイルの場合)キャリアの仕様によりDoCoMoはリファラーを送ってこない
などが含まれ、それらの内訳を把握する事が出来ませんので、流入元無しからの流入=ブックマークからの流入とは限りません。
【新規率が高い流入元】
OvertureやAdwordsといったSEMからの流入に関しては新規率が高く出やすいです(必ずではありません)リピーターになると検索エンジンを使わなくなるため、検索エンジンからのアクセスは比較的高めの数字になりやすいです(が、後述するようにワードに依存します)。一般的にネット初心者の比率が高いと言われているYahooの方がGoogleよりこの影響を受けやすいようです。後はサイトの特性と出稿先に依存するのでサイト固有の「新規率が高い流入元」を探してみましょう。
【新規率が低い検索ワード】
「ブランドワード」はリピート率が高いです。ここでいうブランドワードとはサイト名その物であったり、サイトの商品を指します。固有名詞であればある程、この傾向が見えます。つまり以前サイトに訪れた事があって、そのサイト名や商品を認識しているため、そのワードで検索してくる。という事になります。こういったワードに関しては新規率は低くとも、コンバージョン率は高くなりやすいです。
【新規率が高い検索ワード】
「一般的なワード」あるいは「検索条件が絞り込めていないワード」は新規率が高いです。「旅行」「転職」「車」「ブログ」「デジカメ」「テレビ」といったワードです。この段階ではユーザーが調べることを始めた状態(=これからどのデジカメを買うかを決める)という事もあり、初めてそのサービス・商品の情報を集めるという事で新規ユーザーの可能性が高いです。ただし、こういった特性を見ても、こういったワードでの流入のコンバージョン率は低く出やすいです。これは「まだ絞り込まれていない」という事もそうなのですが「検索ワードが曖昧なため、本人が望んでいる情報とは違うサイトが多くヒットする」事も原因です。
最後に
- 新規=新規ユーザー数ではなくて多少ずれがでる。
- 新規ユーザーを連れて来る事を目的としても、大事なのはそこでリピートを増やしてコンバージョンをさせること。(ここでは細かく記載はしませんが、前回の「直帰」と「新規」の関係を見ることも有用です。
- 流入の視点から新規流入数と率を見ることが重要。
- 多少の傾向はある物の、流入と新規の関係はサイトごとの特性(規模・知名度・目的・サイト利用期間)に依存する事が多い。
といったあたりでしょうか。まだ書ききれていない事もありそうなので、そういった視点や事実が出てきたら加筆いたします。指摘等お待ちしております。