「アクセス解析イニシアチブ」は名前を変えるべき?

米国でアクセス解析に20年以上かかわられている、Stephen Hamel氏の以下の記事にインスパイアされ、ちょっと考えてみました。

Inspired by
From WAA to DAA - what's in a name change?
※名称変更に興味があるある方は超長文ですが、ご覧いただければ幸いです。比較的無意味なことを様々な視点からQ&A形式で回答しています。


話に入る前に、上記記事の背景に関しても簡単に説明しておきますね。
米国を中心に活動している(たぶん)世界最大のアクセス解析団体「Web Analytics Association」が今年の3月に「Digital Analytics Association」に名称変更をしました。


名称変更に関するリリースは以下から確認が出来ます
Web Analytics Association Becomes Digital Analytics Association


変更の背景を説明している部分は、このあたりでしょうか。

The Board of Directors chose to change the name to the Digital Analytics Association in 2011 to account for the analyst's evolving role. Our new name is a better reflection of the full gamut of the data analytics field that we strive to support.

そして

"The landscape of the data analytics industry has shifted and grown since the introduction of mobile and social technologies,” said Peter Sanborn, DAA president. "As a result, the DAA has undergone a metamorphosis to ensure that we continue to support our membership as they evolve along with the industry. Our mission since the start has been to provide an association that encompasses all data analysts and to empower them through key services and support. We believe our new name truly echoes this mission.”


といった内容になります。


基本的には「ウェブアナリスト」というのは現在の役割や進化を考えると範囲としては狭すぎる。スマートフォンやソーシャル、ビッグデータやそれを解析するツールの登場により*1範囲が広がってくる。データ解析と業務への活用を促進する事を目的としている団体なので、それにあわせて名称を変えるべきなのでは?という趣旨になります。



確かに分析の範囲やツールは今まで以上に広がって出来る事は沢山増えています。個人的にもデータマイニングや統計のスキルと実践は更なるステップアップを目指す上で取り組むべき内容だと考えています。ウェブ分析とデータマイニング両方出来る人ってまだ日本でも少ないと思うので、今後のデータ量や扱いを考えると、今から押さえておけばかなり良いキャリアパスが出来るのではないでしょうか。と、これは少し話がそれていますね。



それで、名前の変更に関してはやはり賛否両論があるようです(まぁ大半の人は「無関心」あるいは「別に気にしない」なのですが)。



賛成派は
・確かにアクセス解析だけしていれば良い時代はもう終わっている
・いろいろな分析が出来る人を取り込んでより大きな組織になるべき(組織としての影響力の観点と情報共有・交換の観点で)
・実際に最前線で働いている人で「アクセス解析」だけやっている人は減っているのでは


反対派は
・AnalyticsがDataになったところで、この業界に興味がない人から見たらち外がわからない
・そもそもDataってどこまでの範囲を指しているのかが意味不明
・(大したインパクトが無いのに)変更することによる手間とか再ブランディングとか面倒
・ウェブの事を理解して分析している人以外が増えることによって、本来の目的とは違う「分析」に進んでしまうのでは

といったあたりでしょうか(いくつかのブログやコメントを読んだ限りの感想ですが)。



さて、そろそろ本題へ(といっても「小ネタ」タグがついている通り、あっさり終わりますよ 笑)
アクセス解析イニシアチブ」という名称に関して変更してはどうか?という話しや議論は懇親会や飲み会で数回聞いた事がありますし、自分も軽く参加したりしてみました。


やはりその時の議論内容も、今後も取り扱うのは「アクセス解析」だけで良いのか?というところが発端だったと記憶しています。


変えるとしたら

「データ分析イニシアチブ」
「ウェブ分析イニシアチブ」
「UX&解析イニシアチブ」
「デジタル解析イニシアチブ」
「マーケット解析イニシアチブ」
「オンライン解析イニシアチブ」


あたりが候補になるのでしょうか?




ここからは私の私見ですが、「アクセス解析イニシアチブ」という名称は現状このままで良いかなと思います(後2〜3年くらいは)。
ウェブサイトで収益を上げていくという事が参加者や会員のゴールだとしたら、やはりその基礎にあるのは「アクセス解析」である事は間違いありません。そして、まだアクセス解析という物が米国ほどには浸透しきっていないという認識です。


ここでいう「浸透」というのはスキルとかツールの話ではなく、「会社における立ち位置・優先順位・重要度・認知度・理解度・キャリア・給与への反映」といった部分になります。しかし、これにも二つの見方があります。「その素晴らしさが理解されていないため、まだ重要度が足りていない」のか「アクセス解析にそこまでのチカラは無いのか」というものです。これには唯一の正解はありません。私自身はアクセス解析とそこから得られた気づきを元に改善施策を実現すれば、繰り返すことによってサイトは必ず改善すると信じています。


しかし、その一方でアクセス解析だけでは不充分である事の理解も日増しに大きくなっています。リサーチ・アンケート・グループインタビューといった違う手法での気づき そして データマイニングといったツールでは対応出来ない分析での気づきも同じくらい重要です。


で、何の話をしていたんだっけ・・・そうそう。
アクセス解析ツールの認知や浸透度の話です。


アクセス解析イニシアチブは4年目に入りました。最初から携わらせていただいた身としては、アクセス解析イニシアチブのおかげで(主に首都圏ですが)多くのコミュニケーションや学びがあり、アクセス解析担当者としての楽しさや素晴らしさ・重要さは伝わってきたのではないかと感じています。しかし、やはり多くの人が「アクセス解析ツールを使ったサイト改善」が出来ていないことは、今も昔も大きく変わっていないと思います。


そこで、ぜひこの「分析→施策→分析→評価→(社内)認知」の部分をアクセス解析イニシアチブとしては特に重視して欲しいと考えています(私も講演でそういう内容を話していければと考えています)。この部分が1年後あるいは2年後に「変わった」なと思ったら、その時にはぜひ名称変更 あるいは (個人的にはこっちが本命の案なのですが)定常的な分科会の設立を実現するというのはどうでしょうか?



その時には
「(アクセス解析イニシアチブ配下の)データマイニングイニシアチブ」
「(アクセス解析イニシアチブ配下の)ユーザーリサーチイニシアチブ」

などがあっても面白いのではないでしょうか?



というわけで、書籍の執筆作業の気分転換に書いた小ネタでした。
皆さんはどう思われますか、ぜひTwitter Facebook あるいは お会いした時に意見交換させてくださいませ。
(大半の人は「興味が無い」ということも理解しております 笑)



あ、もろもろ告知とか

SiteCatalystのユーザー会「eVar7」でAdobe Summitの報告会が行われます!
毎年恒例の、米国での2日間のSiteCatalystセミナー「Adobe Digital Marketing Summit 2012」の報告会が5月28日に開催されます。SiteCatalystユーザーで無くても参加が可能ですし、米国での解析の現状や最新のトピックスを聞くことが出来るので、お時間ある方はぜひ参加してみてください!私も10分ほど話をさせていただきます。


■新しい書籍で取り上げさせていただくサイトを募集中です!
レポートティングに関する書籍を書いております。そこで取り上げさせていただくサイトを募集中です。今まで何社かにご協力いただいております!ありがとうございます。というわけで、募集は残り1社となります。概要は以下の通りです。
・書籍に貴社サイトを事例として取り上げさせていただく
ECサイトを対象とさせてください
・規模は問いません
アクセス解析ツールが導入されており、現在その数値を見ているとなお嬉しいです。
・書籍に貴社サイトが掲載されます(サイトの概要・主なゴール・課題や現状など)
・詳しくはTwitter Facebookなどでご連絡ください。


企画に携わっている「ウェブマーケティングリレーセミナー」の第3回の講演の案内です。ソーシャルリクルーティングというテーマなので、就職や転職を視野に入れている人には、本当にオススメの内容になります!

                                                                                                                      • -

5月18日 第3回Webマーケティング・リレーセミナーを開催いたします。

第3回目は
株式会社garbs 代表取締役 池見幸浩様による http://garbs.co.jp/
『誰も教えてくれないソーシャル時代のキャリアアップとセルフブランディング』です。

 1. 激変する人材ビジネスや企業の採用手法とその対策
 2. ソーシャル時代におけるセルフブランディング
 3. ソーシャル時代におけるキャリア形成
 4. これからの時代に必要な個人情報管理
 5. まとめ

座談会のお相手(=第4回目講師)はただいま交渉中です。
追ってご報告させていただきます。

なお今回は、人材ビジネス事業者の方にはご遠慮いただきますので、
他ではきけない生な話がいろいろうかがると思います。

                                                                                                                      • -

第3回Webマーケティング・リレーセミナーの詳細と申し込みは以下からです。
http://www.cb21.co.jp/seminar_events/relayseminar/3

※満席になり次第、締め切らせていただきますので、
 お早めにお申し込みいただきます様、お願いいたします。

連続チケットをご購入の方は自動的に席を用意させていただきますので
エントリーの必要はございません。

皆様のご参加をお待ちしております。

                                                                                                                      • -

【2012年5月18日(金)開催 第3回Webマーケティング・リレーセミナー】

18:00  開 場
18:30  ご講演 株式会社garbs 代表取締役 池見幸浩様
20:00〜20:10 休憩
20:10〜20:30 質疑応答
20:30〜21:00 座談会 池見幸浩様、次回講師の方(交渉中)
21:00  終 了
21:00〜21:30 交流会

場 所:コーチ・ホール(イタリア文化会館ビル3階)
http://www.cb21.co.jp/company/access

参加費:

1回の参加費
 ・当日現金でのお支払い:3,000円
 ・Paypalによる事前お支払い: 2,500円
全8回連続参加(Paypalによる): 17,000円

定 員:40人
主 催:株式会社キャッチボール・トゥエンティワン・
    インターネット・コンサルティング

------------------------------------------------------------

*1:ビッグデータの部分は上記では引用していませんが、元記事には書かれています