筆者のアクセス解析の歴史を振り返ってみる(年末なので)

今回は、「WEB解析 Advent Calendar 2013」という企画に参加させていただき、本日が私の担当日です。実はAdvent Calenderの企画に参加するのははじめてです*1。年末ということで、今年1年の気付きあるいは解析トレンドなどを書こうと思ったのですが、別媒体(12月18日発売の「WebDesigning」に掲載予定)で既に書いてしまったため、1年ではなく自分のアクセス解析の歴史を振り返ってみました。アクセス解析に興味がある人の何かしらの参考になれば。

最初の出会いは「カウンター」

私がウェブ上の数値に最初に興味をもったのは、今から17年前の1996年です。当時、ロンドン大学にいた私は、はじめてホームページを作ることにしました。利用したのはGeoCities。日本の人気ファンタジー小説スレイヤーズ」の英語ページです。最初に作ったホームページはメモ帳でHTMLを打って作成したものです。ホームページのどれくらい人が来ているか興味を持った私は、CGIのサンプルなどを利用して自分のサイトのカウンターを設置しました。以下が、そのサイトです。




ページの上部に(スクリーンショットを撮影した時にはリセットされていましたが)ある「0000」と書いてあるのがカウンターです。ちなみにサイト名に「Ryuka's Slayers & Anime Chat」という名前が書いてあるかと思いますが、この「Ryuka(りゅか)」というのが私のハンドルネームです。本ブログのURLやTwitterアカウントに「ryuka01」が入っているのは、このハンドルネームが元となっています。ちなみにどうでもいいのですが、「りゅか」というのはドラゴンクエスト5の小説版に登場する主人公の名前、ryuka「01」となっているのは、最初にhotmailでアカウントを取得しようとしたryukaが既に取得されていたためです。




さて、話を戻しましょう。この頃はGoogle アナリティクスなどのいわゆる「アクセス解析ツール」はほぼ存在せず(あってもログデータを集計しているだけのものでした)アクセス数だけをカウントするだけのものでした。しかし、ここから数年たつと、流入元やキーワードなどが取得出来るCGIや無料ツールなどが登場しはじめました。この頃には日本に帰国をしており、大学院生活を過ごしておりました。日本に帰ってきたという事で、日本語のサイトも作成をし、常に最新のカウンターやウィジェットなどを実装し、キーワードなどを見てにやにや(笑)するのが趣味でした。


昔から数値には興味があり、自分が行っていることが絶対的な数値で評価されるというのは非常にわくわくする出来事でした。地域などのデータも見られるようになり、全世界中からアクセスがある事に驚きながらもわくわくしていました。前述の「スレイヤーズ」のサイトでは、メキシコからのアクセスがあり、掲示板などに書き込んでくれたきっかけからメキシコの同人誌に寄稿するという不思議な体験もありました。



※ページの最下部にカウンターがあります


就職⇒アクセス解析との出会い

この頃、専攻していたのは化学でしたが、インターネットの世界に魅せられてしまい、就職するに辺りIT系の企業をいくつか受けて、最終的にマイクロソフトに入社することになりました。そして1つ目の転職先である「ウェブマネー」で、本格的にアクセス解析に興味を持つようになり、業務として利用してきたいという思いに繋がる2つの出来事がありました。


メールマガジン」と「コンテンツ」の作成から、解析に興味を持ち始める

ウェブマネーに入った当初は、毎月ゲームのメールマガジンを書いていました。毎月ゲーム会社に取材をして、その内容をメールマガジンにして書き起こして読者に配信するという内容です。レイアウトや内容などもかなりこっており、毎回かなりの時間かかったのを覚えています。この時メールマガジンの配信には「SPIRAL」というソリューションを利用していました。配信数や開封率、クリック率など細かいデータを見ることができ、自分が送ったメルマガの成果や、件名のパターン変更に伴う開封率の変化などに一喜一憂していました。この時もやはり、自分の取り組みが、どう数値に反映されるかということを知りたかったのが、データを見る最大のモチベーションでした。


そして、入社してから半年経ち、上司と2名でマーケティングの部署を立ち上げることになりました*2。時は2005年。まだGoogle アナリティクスが生まれておらず、その元のツールとなった「Urchin」というツールがGoogleに買収されたころです。この頃はウェブサイトのコンテンツも作成をしていました。



現在も続いている、毎年PCのオンラインゲームの投票と表彰を行なう「WebMoney Award」を企画して立ち上げたり、オリジナルカードのギャラリーサイトなどを担当しました。そして、この時に初めて世の中には「アクセス解析ツール」なるものがあることを知ります。上司に「Urchin」や「RT Metrics」や「Visionalist」などその当時の解析ツールの比較表を作り、持ち込んだところアクセス解析ツールを導入する事が決まりました。当時、日本オフィスが出来たばかりの(当時はOmniture社の)「SiteCatalyst」の話も聞きました。当時はマーカスという方が1名しかおらず、ウェブマネーの部長経由で解析ツールの紹介にきていました。残念ながら英語版しか無かったので、導入は決まらなかったのですが、4年後に劇的な再開を果たすことになります。


この時は、「Visionalist」を導入し、実装〜設定〜分析までまるっと担当していました。自社サイトのデータを見て、改善施策を考えるのは何よりの楽しみでした。



リクルート転職のきっかけは「Visionalist

WebMoneyからリクルートに転職できた最大(かつ多分唯一)の理由は、リクルートでも「Visionalist」を利用していたためです。この頃には大勢のユーザーやサービスの解析を行いたいと願い、アクセス解析を自分の生きる道として決めていた自分にとって、解析ツールのおかげで転職出来たというのはほんとうに不思議ながら、ありがたいことです。入社してから2年半は「Visionalist」の運用や教育を行っていました。数百名の利用者に対して問い合わせの回答を行っていたり、新規導入のお手伝いを行っていました。また、一時期は毎週、当時「Visionalist」を提供していたデジタルフォレスト社に通い、一緒にツールの改善プロジェクトに携わっていました。その時にデジタルフォレスト社からいただいた卓上扇風機は、今も私のベッドサイトにあり元気に稼働しています。

しかし様々な理由から、ウェブマネー時代に紹介いただいた「SiteCatalyst」に変更する事になりました。リプレイスのプロジェクトに最初から最後までかかり、足掛け3年ほどで検討⇒決裁⇒ルール決め⇒全(当時)120サイト近くへの導入⇒教育を実現することが出来ました。「SiteCatalyst」の導入が決まる前後に、本ブログを書き始めました。2008年ということもあり、まだアクセス解析のブログは片手で数えるほどしかありませんでした。ブログをはじめた理由は、「自分で学んだことをまとめつつ、アクセス解析に関する情報交換を行いたかった」というものでした。結果的には、自分が想像していた以上に多くの方にブログを読んでいただき、アクセス解析に関する様々な記事を執筆してくいく中で、アクセス解析の団体立ち上げに書かわったり、各種メディアで連載したり、書籍を何冊か執筆したり、全国価値で講演したりなどが、連鎖反応のようにおき、現在に至るというわけです。


そして業務では約5年間SiteCatalystのあらゆる業務に関わりました。この時期にAdobe社(旧オムニチュア社)の皆様、そしてSiteCatalystを導入している企業の担当者同士と情報交換&仲良くなりました。大企業での導入が多いツールのため、自分達と同じくらい あるいは それ以上に解析を会社に根付かせて活用している担当者に会えたのは非常に刺激になりました。現在はSiteCatalystのユーザー会である「eVar7」の代表も務めています。


仕事の方でも解析を続けています。現在はサイバーエージェントでコミュニティゲームの分析を行っています。GoogleアナリティクスでUI回りの分析を行い、自社ツールで売上に繋がる改善施策を発見したりと、対象となるサービスやデータは違えど、データを元に課題や改善の種を見つけて、施策に繋げるという業務は昔から変わりません。



私自身の解析スキルは決して高いものではありません。データマイニングなどもほとんど出来ないし、最近は「データサイエンティストですか?」と聞かれることもあるのですが私のスキルではとても無理です。またプログラミング知識もなく、統計の知識も最低限しかしりません。しかし「データから気づきを発見し、改善施策を考えること」に関しては、誰よりもワクワクしながらデータを見て施策を考えたきた自分にとって、最大の武器であるプライドをもっています。分析ツールや解析手法などもいろいろ増えてきましたが、私がアクセス解析を中心とした分析を愛してやまず、「楽しい」と感じる理由は1996年から変わっていません。


それは自分の取り組みが数値として反映されるというワクワク感です。



というわけで

過去語りなんぞをしてしまいました。アクセス解析や分析に興味ある方は、ぜひこの世界に飛び込んでみてください!好奇心があれば大歓迎です。統計的なスキルや施策の経験値などは後からついてきます。


サイバーエージェントでは中途のデータアナリストデータ分析に興味がある新卒を募集しております。また各社でデータアナリストのニーズは高まっています。ぜひ、この業界にお越しいただき、どこかでご一緒出来るのを楽しみにしております!

*1:というか今年初めて知りました

*2:当時はいわゆるベンチャー企業で、恵比寿のオフィスに1フロアで30人程度でした