サイトへの集客・メールマガジン登録・会員登録・購入喚起等の集客施策(サイト外部・内部かかわらず)を行った時に、キャンペーン中あるいは終了直後に評価していませんか?もちろん、その施策が何人連れてきて、そのうち何人が目的を達成したか?を把握することは大切ですが、それ以上に大切な分析があります。
※参照記事:Excellent Analytics Tip #15 Measure Latent Conversions & Visitor Behaviorを元に自分の意見・解釈を追加
キャンペーンの効果は「キャンペーン後の行動」で図るべき
ここに2つのキャンペーンがあり、キャンペーン終了後に以下の数字が判明いたしました。
キャンペーン1:500人を集客、そのうち100人が会員登録(コンバージョン率20%)
キャンペーン2:2000人を集客、そのうち200人が会員登録(コンバージョン率10%)
どちらのキャンペーンのほうが「よかった」でしょうか?
キャンペーン1は会員登録した人数は2より少ないが、コンバージョン率は良かったため、「効率」が良かった。CPAも良かった。キャンペーン2は会員登録した人数が1より多く、「コンバージョン数」が良かったため、「ボリューム」が良かった。
正解は「これだけでは正当な評価できない」です。
見るべきなのは「キャンペーン後の行動」なのです。具体的に言うと、このキャンペーンで登録した人が、その後に「サイトの成果となるような行動をどれくらい起こしたか?」ということです。
●たとえばメディア系のサイトであれば、
『キャンペーンで獲得した会員あるいはユーザーが、「その後、サイトにどれくらいの頻度で何回訪れ、どれくらい滞在し、何ページ見たか」』という指標をみるべきだし、
●EC系のサイトであれば
『キャンペーンがきっかけで購入をしてくれたユーザーは、「その後、どれくらいサイトに訪れ、購入を何回してくれ、いくら売上に貢献してくれたか』という指標をみるべきだし、
●サービス系のサイトであれば
『キャンペーンで獲得した会員が、「その後、何回ログインし、何回日記を書いて、何人新しい人を連れてきたか」という指標をみるべきです。
このような指標はキャンペーン終了直後には見ることができません。
これも踏まえて、先ほどの例を見てみると…
キャンペーン1:500人を集客、そのうち100人が会員登録(コンバージョン率20%)、その後80人がサイトを2回以上訪れている。
キャンペーン2:2000人を集客、そのうち200人が会員登録(コンバージョン率10%)、その後10人がサイトを2回以上訪れている。
どちらがより効果があったのか、よりはっきりしたと思います。
見るべき指標とタイミング
見るべき指標はサイトの種類やキャンペーンの目的によって変わってきます。GoogleAnalytics及び大半の有料ツールでは、以下のような指標を、キャンペーン単位でみることができます。キャンペーンの目的にあわせて、最適な指標をいくつか選んでみて、分析してみてはいかがでしょうか?(後半の指標ほど計測には手間及び準備がかかります)
キャンペーン終了し、一定期間後を集計範囲とした、キャンペーンごとの
・閲覧ページ数分布
・訪問回数分布
・訪問頻度(最後の訪問から何日間)
・滞在時間分布
・購入回数分布
・購入金額分布
・キャンペーン開始から一定期間後に「生き残っている(例:サイトに訪れている、サービスを利用し続けている)人数」
・友達勧誘ページの完了画面への訪問回数比率
・記事投稿数
・ログイン回数(会員登録しても1度もログインしていない人の価値は少ない)
また、上記の数字をクロスすることによってさらに有益かつ詳細な分析を行うことができます。たとえば「購入回数×訪問回数」「訪問頻度×滞在時間」「訪問回数×訪問頻度」などは良いと思います。
キャンペーンが終了し、どれくらい経過してから分析を行えばよいか?キャンペーンの期間や目的にもよるものの、90日後というのは、非常に良い期間かなと思っています。30日だと短すぎるし(特にEC系サイトで頻繁に購入するようなタイプで無い場合等)、半年だと他のキャンペーンや外部要因が影響しやすく効果測定精度が下がります。
あくまでも推奨ですので、内容にあわせて最適な数字を探してみてください。
まとめ
キャンペーン終了後、一定期間をおいてみる事に意味がある事を説明してきました。しかし、こういった分析はなかなか行われていないのが現状です(私自身もそういったレポートをあまり見たことがありません)。何故このようなことが起きるかというと、「キャンペーン担当者あるいは数字を見たい人の熱が冷めてしまう」からです。
いろんなアイデアを捻って行ったキャンペーン。すぐに効果を見たいし、上司もその成果をすぐに知りたがります。なので、キャンペーン中あるいは直後の数字はみんなが熱心にみてくれます。しかし、いったんその数字を見たあとは、次のキャンペーンのことを考えたり、他にやることがいっぱいあったりで、3か月前のキャンペーンなんぞを誰も覚えていなかったりします。
アクセス解析担当者はぜひ、3カ月あとに振り返って、こういったレポートを出してみてください。キャンペーン直後の効果より、その後に「どれくらいユーザーが貢献してくれたか」といった、より大切な効果把握とキャンペーンの評価を伝えることができ、株があがります。
「LTV(Life Time Value)」とか「エンゲージ度合」とか「バイラル効果」とか「ロイヤリティ」とかそういった流行りっぽい単語は「キャンペーン後の分析レポート」のことを指しているのです。