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ソシャゲ分析講座 基本編(その4):「スペンド率」を理解する

分析手法

最近は業務で、ソーシャルゲームの分析&改善施策の提案を行っています。そこで、本ブログではミニ連載という形で、ソーシャルゲームの分析手法について紹介をしていきます。基本編は8回程度を予定しており、好評であれば応用編も書きます。第4回は「スペンド率」に関してです。

■過去の連載記事
ソシャゲ分析講座 基本編(その1):「売上の方程式」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その2):「DAU」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その3):「継続率」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その4):「スペンド率」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その5):「ARPPU」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その6):「4つのステージとKPI」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その7):「イベントの分析」を理解する(前編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その8):「イベントの分析」を理解する(後編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その9):「カード」と「ガチャ」を理解する(前編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その10):「カード」と「ガチャ」を理解する(後編)


Amebaのカードゲーム「天下統一クロニクル

「スペンド率」とは

スペンド率は比較的分かりやすい用語かと思います。アクセス解析におけるところの「コンバージョン率」と概念は近く、以下の通りとなります。

スペンド率 = 購入人数 ÷ ログイン人数

アクセス解析と違い、「人数」ベースとなっています*1。スペンド率は、様々な単位で確認します。代表的な物は「日単位」そして「月単位」になります、そして後述する「イベント単位」になります。


最もわかりやすい「日単位」のスペンド率のデータを見てみましょう


※筆者の方で過去の経験を元に用意したサンプルデータになります


見ての通り、いくつかのピークがある形となっています。ECサイトなどと較べると非常に上下の揺れが激しい事が特徴的です。では、どのような特徴を持っているのかを確認してみましょう。まずは月初にスペンド率が高いことがわかります。多くのソシャゲでは、月初にスペンド率が上がる傾向があります。これはどのサービスもある程度共通しているかと思われます。その理由は、ソシャゲならではの課金の仕組みにあります。


ソシャゲのスペンド率は主に「月初」「イベント」「キャンペーン」の3つによって伸びる

多くのソシャゲはスマートフォンで展開されています。ウェブにせよアプリにせよ、月単位で支払金額が(直接的にあるいは間接的に)決まっていることが多いです。


若年層向けに特定金額以上の購入出来ないように企業側が設定していたり、キャリア決裁の条件を設けていたり、クレジットカードの上限がリセットされたり、お小遣いを
持ったりなどのその理由は様々ですが、新しい月が終わるとお金が利用出来る状態になります。そのため、多くのサービスでは月初に新しいイベントやキャンペーン、お得なアイテムを提供する傾向が多いです。



グリー株式会社:GREEプリペイドカード未成年ご利用上限についてのお知らせ


また、多くのソシャゲでは「イベント」を定期的に実施しています。イベントとは、決まった期間の間に利用者同士で、協力したり競ったりして点数を稼ぎ、得点やランキングに応じて報酬をもらうという仕組みです。このイベントの初日に関しても、スペンド率が上がる傾向にあります。イベント初日は参加して、最初にアイテムを購入して頑張ろうと思う人が多いからです*2。そしてイベント内で手に入るアイテムが「より大勢の人が欲しい内容」であればスペンド率は上がっていきます。男性が9割のゲームで、もらえる報酬が男性カードばかりでは欲しいと思う人が、女性カードよりは低くスペンド率hが下がってしまいます(極端な例ですが)



ガールフレンド(仮)の「秋のきのぽん捕獲大合戦」イベント


そして「キャンペーン」は、その内容によってはスペンド率が上がる要因になります。例えばいつも100円のアイテムが、その日だけ30円で販売していれば購入する人数が増えて、スペンド率が上がります(次回紹介するARPPUは下がりますが)。あるいは初めて課金をした人には、購入した金額の半額をお返しするという内容であれば、スペンド率がに影響が出てきます。他にもいくつか方法はあるのですが(特にアプリには独自の方法も多いので)主な考え方は上記の通りとなります。


「スペンド率」において大切なのは「新規スペンド人数」

スペンド率をソシャゲ内で改善したり、上げたりという事を考える時に大切なのは、「より多くのお金をいただく」ということではなく、より「多くの人」にお金を使っていただくという事になります。多くのソシャゲでは、常に積極的に参加してお金を利用する層がいます。そのためスペンド率を上げるということ(だけ)を考えると大切なのは、今までお金を使っていただいた事が無い方に、はじめてお金を使っていただくという考え方です。それを間接的にあらわす指標が「新規スペンド人数(あるいはスペンド率)」です

新規スペンド人数=そのタイミングではじめて課金をした人数

新規スペンド率=新規スペンド人数÷スペンド人数

つまり、該当期間やイベントにおいてはじめてスペンドをしてもらった人数や割合です。どのようなアクションやイベント、あるいはサービスを初めて何日以内にはじめてのスペンドが行われているかを分析する事は大切です。常にスペンドをしている人にとって魅力的なカードやアイテムは、初心者あるいは無課金者にとっては魅力的では無いかもしれません。はじめてスペンドした時に何を購入したのかを把握して置くことは、今後のスペンド率改善に大きなヒントを与えてくれるでしょう。


スペンドにおける一番の課題は、「はじめて課金」をしてもらう事です。スペンドを一度でも行った人は、その後も継続やスペンドいただける傾向にあります(購入した金額に対する価値を得られたことが前提ですが)。はじめてのスペンドをどのように行なっていただくか、その仕組みや方法を考えることはサービスにとっても大切です。「サービス登録してから3日以内はアイテムを格安で購入出来る」といった施策は様々なソシャゲで見ることが出来、これも「はじめての課金」を意識した施策となっています。


*1:ソシャゲでは「セッション」という概念や考え方はありません

*2:日にちが立つごとにスペンド率は落ちる傾向にあります