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ソシャゲ分析講座 基本編(その7):ソシャゲの「イベントの分析」を理解する(前編)

分析手法

最近は業務で、ソーシャルゲームの分析&改善施策の提案を行っています。そこで、本ブログではミニ連載という形で、ソーシャルゲームの分析手法について紹介をしていきます。基本編は8回程度を予定しており、好評であれば応用編も書きます。第7回は「ソシャゲのイベントの分析」に関してです。

■過去の連載記事
ソシャゲ分析講座 基本編(その1):「売上の方程式」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その2):「DAU」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その3):「継続率」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その4):「スペンド率」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その5):「ARPPU」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その6):「4つのステージとKPI」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その7):「イベントの分析」を理解する(前編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その8):「イベントの分析」を理解する(後編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その9):「カード」と「ガチャ」を理解する(前編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その10):「カード」と「ガチャ」を理解する(後編)


Amebaのソーシャルゲーム「なぞってピグキッチン

イベントって?

多くのソシャゲでは「イベント」が定期的に行われています。イベントというのは、決まった日時で開催されるもので、ユーザー同士で協力しあったり、対戦したり(主に後者)することで、何かしらの「得点」を稼ぎ、その得点に応じて報酬を手に入れるという形のものになります。売上の大半はイベントを通じて作られています。通常月に2回〜5回程度開催されています。イベントは大きく分けて4種類に分類する事が出来ます。2つの軸「人数」「イベントの種類」があります。以下の図がその分類になります。

それぞれの内容を簡単に確認してみましょう。


マラソンイベント

全てのイベントの基本形となるものです。ソシャゲでは一人で遊べる「クエスト」というものがあります。ステージを進んで敵を倒していくというものです。テレビゲームで言うと、いわゆるレベル上げのために敵を倒し続けるというアクションになります。マラソンイベントはこの「クエスト」を基本として、専用のステージや報酬を用意するというタイプのものになります。多くのイベントでは、自分がどこまで進んだかだけではなく、他の人と進み具合を競うランキング機能なども搭載されています。パズドラをはじめとした、多くのゲームでは「曜日限定」で進めるステージというものもありますが、これは厳密にはイベントではありません。イベントには必ず始まりと終わりがあり、その期間内での結果で報酬が決まるというたぐいのものになります。基本的には一本道をひたすら進んでいくということから「マラソン」という名称がついています。


課金のポイントは、主にステージを進める上での「体力回復」になります。またクエストによっては、特定のアイテムが出やすい・出にくいなどを課金アイテムで解決したり、ステージ最後にボスが出てきてそれを倒すための攻撃力アップアイテムであったりします。非常にシンプルなイベントのため、個人の時間×かけたお金がそのまま結果に反映されやすいイベントと言えるでしょう


レイドイベント

レイドとは「急襲(=raid)」を意味し、複数人でゲーム内の敵を倒していくというものになります。ソーシャルゲームだけではなく、PCのオンラインゲームでも利用されていた用語です。対CPUという意味では、マラソンイベントと一緒なのですが、進んでステージや距離ではなく、倒した敵の数や、与えたダメージ量などが報酬に紐づく値となります。また、特徴的なのは一人で戦うのではなく、複数名で戦うという部分に有ります。レイドイベントには「救援」という概念があり、敵と戦う時に他のプレイヤーに助けを求めるという仕組みです。一人では倒せない敵も、複数名で組めば倒すことができます。


「複数人」は主に3種類の「人」がいます。一つはランダムでゲームを遊んでいる(アクティブ)な人を呼ぶというものです。その時にプレイしている人を呼んできて、敵を倒すまで一時的にチームを組むというものです。2つ目は「友達」を呼んでくるというものです。多くのソーシャルゲームでは、友達依頼を出すことができます。友達になると、相手の行動をいつでも確認出来たり、一緒にプレイする事で有利な条件が生まれます。こういった友達だけを呼ぶというものもあります。最後は「ギルド」という考え方です。現実世界に例えるとサークルや部活のようなもので、普段から同じグループに属しておき、そのグループのメンバーを呼ぶというものです。上記のいずれか、あるいは複数のパターンが考えられます。


また、もらえる報酬に関しても、個人の与えたダメージ量や倒した敵でもらえるものもありますが、大半は(あるいはよりよい物は)グループでの総得点やランキングによって得ることが出来ます。そのため、レイドイベントは基本的には、強いかつアクティブな人数が多い友達あるいはギルドに入っている方が有利になります。この協力しあうという部分が、レイドイベントの最大の特徴です。課金ポイントは、主に敵を倒すときの攻撃力強化あるいは攻撃用の体力の回復アイテムになります。協力しあう≒貢献せねば≒課金をしよう という図式になっています。


PvPイベント

Pは「Player」の略称であり、いわゆる対人戦と呼ばれるものになります。対戦相手を見つけて勝負をして、その勝敗や勝つことによって得られた点数や勝利9回数によって報酬が手に入るというものです。ユーザーが対戦相手を自由に選べると、強い人は弱い人とばかり戦ってしまうため、一方的な展開になってしまいます。そこで多くのゲームでは、「対戦相手を同じような強さのユーザーからランダムで自動的に選ぶ」あるいは「左記の条件を元に数名〜数十名のリストを作りその後に選ばせる」といった事を行っています。あるいはゲームによっては同じような強さの人を集めたグループを作り、その中で対戦をさせるという形式もあります。サッカーでいうJリーグのような仕組みです。このサッカーの仕組みと似ているという点では、イベントによってはグループの昇格や降格などがあるという点です。現実のサッカーでもそうですが、当然上のリーグにいるほうが貰える報酬はよくなります。


また得られる得点に関しても、サッカーのように勝ち点を競う方法、総得点を競う方法、あるいは、決まった点数を取り合うという方式があり、いろいろなバリエーションが考えることができます。いずれにせよ、適切なマッチング(対戦)の設計が遊ぶ側にとっても運営側にとっても非常に大切になります。課金ポイントはレイドイベントとニており、体力回復あるいは攻撃強化などのアイテムが中心となります。

GvG

Gは「Guild(ギルド)」の略称であり、仕組みとしてはPvPなのですが、より大掛かりなものになります。プレイヤー同士の対戦ではなく、ギルド同士での対戦になります。つまり自分だけではなく、自分が所属しているギルドと相手のギルド(単体あるいは複数ギルド)と闘いながら、その勝敗数や与えたダメージ量などによって報酬が決まるというものです。より大勢の人を巻き込み、ギルド内での協力が必要なことから、多くのソーシャルゲームにとっては目玉のイベントとなっています。


PvPでもそうなのですが、多くの対戦イベントでは戦う時間が決まっていたり、予選や決勝という形で複数回戦ったりする事が多いです。これは、「今回ダメでも次の試合で頑張る」という形でいったん状況をリセットすることが出来るからです。差が付き過ぎないようにという側面もあります。課金ポイントもPvPと全くおなじになります。GvGイベントは、協力が非常に大切なイベントであり、戦い方の作戦をギルド内で考えるというところが、楽しさでもあり魅力でもあります。イベント運営者が一番どうなるかを想定しづらいイベントの種類と言えるのではないでしょうか。

イベントの組み合わせ

ここでは基本的なイベントを紹介してきました。しかし、これだけでは非常にシンプルでユーザーも飽きてしまいます。そこで、これらを組み合わせたり、ちょっとした新しい要素を入れたいしたイベントが良く運営されています。例えば「ヴァルハラゲート」や「アイドルマスターシンデレラガールズ」などでは、「マラソンイベント」に加えてイベントを始める時にカードを付与し、そのカードをマラソンイベント内で育て、イベントが終わったらカードを入手出来るといった育成要素を入れるというものであったり、「アヴァロンの騎士」であれば、GvGを更に発展させた、複数ギルド同士のバトルである「ラグナロク」といったイベントを開催したりしています。基本形を元に、イベントの組み合わせやバリエーションはゲームの独自性を出す上でも非常に大切な要素です。


相対報酬と絶対報酬

イベントで手に入る報酬は主にカードゲーム形式のものであればカードになりますが、他にも消費アイテムや、女性向けのゲームであればアバターやデコなど可愛さを重視した報酬など様々なものがあります。そして、報酬は主に2つ(参加時に手に入る報酬を除く)になります。それぞれ「絶対報酬」と「相対報酬」にわかれており、この2つはその意味合いが大きく違います。

イベントの課金に関して

先程のイベントの種類の紹介で、課金ポイントは主に消費アイテムという形で紹介しました。しかし、イベントにおけるもう一つ大きな課金要素があります。それが「ガチャ」と呼ばれるものです。ガチャに関しては、第9回・10回で紹介しますが、基本的にはイベントに有利になるもの(=カードゲームの場合はカード)をお金を使って入手するというものになります。手に入るカード自体が強い、あるいは、イベント期間のみ攻撃力が高いカード(通称「特攻」)などがあります。イベントの設計や難易度、ゲームの性質や人気によって、消費アイテムとガチャの売上は大きく変わってきます。基本的には「ガチャで強いカードを手に入れ、消費アイテムをしっかり使い、時間をかけたもの」が強いという中で、この3つ(カード・消費アイテム・時間)をどのようにバランス取るかが、イベント運用では肝心です。ガチャや課金に関しては賛否両論ありますが、最も良くないケースは「お金を使ったのにそれに見合った効果が得られない」という事です。