読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「アクセス解析」における5つの真実

基本

最近、講演や勉強会などで、必ず伝えている内容を簡単に紹介します。アクセス解析に限らず、分析全般に期待を抱いているケースが多く、その幻想をぶち壊すぜ!!!というわけではないのですが、アクセス解析や分析を、ビジネスゴールにポジティブな影響を与えるために知っておいてほしい、5つの内容を紹介いたします。



Image from Flickr

1.仮説無ければデータを見ても意味が無い

アクセス解析ツールを利用する上で最もやっていけないことは「なんとなくレポートを1つずつ見ていく」という事です。時間の無駄なだけではなく、特にツールを使いはじめた方にとっては出てくる用語の多さやレポートの量に、すぐに解析ツールが嫌いになってしまいます。何の目的もなく携帯電話の説明書を(最近は紙の説明書は少ないですが)最初から最後まで読むようなものです。データを見る前に仮説を立て、その仮説を確認するためにどのレポートを見れば良いかという、「仮説⇒検証」のアプローチをとりましょう。


例えば、「次のページに確実に遷移して貰えるようトップページのメニューとレイアウトを改修した」としましょう。では、このような改修を加えたら、どのデータに影響が出るでしょうか?遷移をしてもらう事を目的としているため「離脱率が下がる」「特定ページへの遷移率が上がる」「ページの滞在時間が減少」などが考えられるでしょう。と、ここまで仮説を立てた上で、ページ改修前後の期間で数値を比較すれば、施策に効果があったかを判別する事が出来ます*1


施策の実施だけに限りません。自分がユーザーとして自分のサイトを使っていたときに、「あ、次のこのページに移動する必要があるのに、ボタンがわかりにくいな。隣のボタンと間違えてしまうのでは?」という懸念が生まれたら、それをデータで確認して証明してみましょう。仮説からの検証は気づきを発見するために大切な考え方です。


2.アクセス解析ツールは分析をしてくれない

アクセス解析ツールに限らず、世の中の大半のツールは集計をしてくれるだけです。皆さんがアクセス解析ツールからデータをダウンロードしてグラフを作るのは決して分析でははなく、集計です。分析とは「得られた情報を元にそこに何かしらの価値や意味づけを行う事」です。


例えば、「全体の訪問者数が横ばいだけど、新規の訪問者数が増えている」という集計結果がありました。これに対して「新規の人が増えているので問題ない」とするのか「サイトに繰り返し訪れてくれないのが問題だ」とするかは人間が判断する事であり、その原因を特定する事もアクセス解析ツールでは(ほぼ)できず、人間が更にデータを確認したり、周りにヒアリングをしたりして発見する事です。


アクセス解析ツールは分析をしてくれません。ただ事実を羅列するのです。「集計」をするのは「アクセス解析ツール」や「Excel」。分析するのは「人間」です。


3.集計や分析をしても売上は上がらない

当たり前ですが、集計や分析を行ってもサイトの売り上げは上がりません。それどころから集計や分析に時間がかかり、かえって時間を浪費するだけになってしまいます。行った分析をもとに施策を考え実行することで、はじめてツールや分析の価値が出ます。「解析ツールや仕組みに●●●万円かかったけど、それで売上がいくら上がるのか?」といった質問はまさに、集計や分析「だけ」を行っているために発生します。データを元に、より精度が高い施策を考え、それを実現し、結果売上が上がれば、初めて貢献できたと言えます。逆に失敗をしても、新しい気づきを得られるだけ、何もしないよりはましです。


サイトはほおっておいても改善しません。打席に立つ回数が、何本ヒットやホームランを打てるかの上限を決めてしまいます。すなわちサイトにおいては常に何かしらのテストや施策を試しているという状態が理想です。


4.ウェブアナリスト( or 分析者 or テータサイエンティスト or データマイナーetc..)は分析に時間を使いすぎてはいけません

集計や分析に使う時間を少しでも減らしましょう。分析は程々にして、後はいろいろな人に自分が出した仮説や気づきを共有したほうが、ビジネスやサイトの改善に繋がる気づきや施策を発見できることが多いです。データをいろいろな形で集計したり分析したりするのは楽しいです。意味もなくRを使ったり、形態素解析したり、SPSSを使ったりしたくなります。集計や分析にはまっている時はあっという間に時間が立ちます。


しかし、それは自己満足で終わってしまう場合がほとんどです。5時間かけて分析したものが一瞬で意味無くなることはあります。「この施策を改善するためにいろいろ分析をして、A/B/Cを考えました」⇒「っていうか、それ以前にこの施策を辞めてしまえばよいのでは?」といったことは私自身も何度か経験しています。そういった意味では分析者に向いている特徴の一つとして「集計があまり好きではない」というのが当てはまるかもしれません(笑)


「分析者は業務時間の50%以上を集計や分析業務に使ってはならない」と私は思っています。


5.データが少ないときは解析をしていないで、集客を考えたほうが良い

時々「うちのサイトの訪問者数は月200件なのですが、どう分析したら良いですか?」といった質問を勉強会や講演などいただくことがあります。その時に私はバッサリ「アクセス数が少ない場合は、精度が低いので分析に時間を使うより、集客を考えたり、同業他社と比較しながら機能を追加したりしたほうが良い」と答えています。それまで1時間半くらい解析や分析について話してきたのに、最後のQ&Aでそれかよ・・・と思われているかもしれませんが、これもまた真実だと思います。


特に訪問者何人とか、何ページビューというガイドラインは無いのですが、サイトのコンバージョンが月数百件になるくらいまでは、分析の事は後回しで良いと思いまた。また新規にサイトを立ち上げてデータを取得しはじめた場合も同様です。


まとめ

「仮説が無ければデータを見ても意味が無い」
アクセス解析は分析をしてくれない」
「集計や分析をしても売上は上がらない」
「分析者は集計や分析に時間を使ってはならない」
「データが無い・少ないときは分析をしても意味が無い」


の5つとなります。改めて当たり前の事ばかりなのですが、私自身も日々の業務の中で忘れてしまうことがあるため、常に意識するように気を付けています。ぜひ、皆さんも改めてこの5つの項目を自身の業務と照らし合わせてみてください!

*1:更に精緻に分析するのであれば、今までのメニューに慣れているリピーターではなく、新規の人だけに絞ったほうが効果がより可視化できるかもでしれません