Twitraq・UserInsight・なかのひとなどユニークな分析ツールを開発されている株式会社ユーザーローカル。
先月、複数のソーシャルメディアに対応した分析ツール「Social Insight」の提供が開始されました。今まで私のブログでも「Twitter解析ツール15種比較レビュー(2011年版)」あるいは「競合のFacebookページも簡単に分析できちゃう「All Facebook」を使ってみよう!無料」といった形で様々なソーシャルメディアの分析ツールを紹介してきましたが、現時点では「Social Insight」が最も高機能で使いやすいです。
というわけで早速、機能や使ってみた感想などを紹介いたします。また今回は有料版も利用させていただいたのですが、無料版だけでも長文の記事となってしまったため、週明けに別途、有料版のレビュー記事を書かせていただきます。
注意:
1)本レビューに際してのツール使用時間は8時間ほどです。一部の機能や設定を見逃している可能性があります。2)過去のツール紹介記事と同様「広告記事」ではありません*1
※ツールのレビューを希望される会社・個人の方は「こちら」をご覧下さい。
Facebookでログイン!
Facebookアカウントがあれば、1分でアカウント作成は完了*2。トップページにある「Facebookでログイン」を押して登録を行いましょう。
上部に4つのメニューがあります。「コミュニケーション管理」は有料版のみの機能(次回紹介いたします)、「マイファン分析」は現在準備中という事で、今回は左側の2つのメニューを紹介していきます。
ソーシャルメディア傾聴
こちらのレポートでは任意のワードが、ソーシャルメディア上(主にTwitter)で、どのように話題になっているかを調査するための機能です。
「Social Insight」ログインすると、表示されているのが「ソーシャルメディア傾聴」の画面です。テキストボックに検索したいワードを入れる事で、ワードが含まれているTweetを表示する事ができます。
上部にあるオレンジのボタン(「この条件でツールに登録」)を選択して登録すると、様々な分析レポートを確認する事ができます。では早速「アクセス解析」というワードで見てみましょう。
発言ユーザー
ここは情報が盛り沢山です。ワードの「男女比率」「発言者の年齢層」「発言者のTwitter登録日」「発言者のフォロワー影響力」「発言者の地域」「発言者の都道府県分布(絶対数や人口と比較した相対値、ソーシャルメディア利用度と比較した相対値も確認可能)」「該当ワードでよく発言するユーザーと回数」を一つの画面で確認出来ます。
表示イメージは、下の画像をクリックした後に「オリジナルサイズで表示」を押すことで原寸大で閲覧可能
個人的に気に入っているレポートは「発言者の都道府県」のレポートです。以下は「大阪」というワードで表示した
「絶対数」「人口と比較した相対値」「ソーシャルメディア利用度と比較した相対値」の3つのレポートです。
絶対数
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ソーシャルメディア利用度と比較した相対値
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結果が大きく変わることにお気づきでしょうか。今まで私が見てきたツールの多くは「絶対数」しか表示してくれませんでした。そのため必然と人口が多い所が目立つという形で分析に向いていませんでした。相対値で見ることでより実態に近い意味があるデータを表示してくれるようになりました!これは嬉しいです。
では、引き続き次のレポートを見てみましょう。
テキストマイニング
名前の通り、発言を深く分析して表示するレポートです。見られるレポートは「ポジティブ・ネガティブの割合」「共起キーワード(あわせて利用されているキーワード」「キーワードクラウド」「発言の性別と年齢マトリックス」「発言の性別とネガポジマトリックス」「発言に良く含まれるURL」になります。キーワードを分析する上で非常に参考になるデータが沢山用意されています。
表示イメージは、下の画像をクリックした後に「オリジナルサイズで表示」を押すことで原寸大で閲覧可能。
ここでもお気に入りのレポートを1つピックアップしてみました。
それは「発言の性別と年齢マトリックス」です。以下はAKBの「前田敦子」の場合のレポートです。
少し文字が小さくて見えにくいかもしれませんが、左上が「男性・年齢層が高い(ワード例:photo twitter sm 写真)」左下が「男性・年齢層低い(ワード例:akb 画像 akb48)」右下が「女性・年齢層が低い(ワード例:化粧)、右上が「女性・年齢層が高い」となっております。男女で特徴が出ているのが分かります。特に「化粧」なんてワードはその典型です。
個人的に気になったのは「sm」というワード。これはいわゆるアレなのでしょうか?分析するために「ソーシャルメディア傾聴」の最後のレポートの「発言の本文」を見てみましょう。
発言の本文
本レビューの最初にも紹介いたしましたが、該当ワードを含む直近の発言を見ることが出来ます。
Chromeのページ内検索で調べた見たところsmがヒットしたのは66件。発言を見てみると、上記の発言が大勢の方にリツイートされているのが理由のようです。
RT @sM10index: 前田敦子の化粧時とすっぴんの比較画像ぱねぇっすww http://t.co/IMVbYO2C http://twitter.com/sM10index/status/167255016388833281/photo/1
リツイートされている方のTwitterIDに「sm」が入っているのがどうやら原因のようです。
このように複数のレポートを活用して分析を行うことが出来ます。
ファン分析
「ファン分析」では様々なソーシャルメディアのアカウント情報が分析出来ます。自分のアカウントだけではなく、公開されている全てのアカウントのデータを見ることが出来ます!また対応しているソーシャルメディアも幅広く
Twitter
Facebookページ
Facebookアプリ
Mixiページ
YouTube
Google+
に対応済みです!
無料版では最大で5つのアカウントまで登録が出来、回数制限はあるものの変更が可能です。
使い方ですが、「ファン分析」の画面でワードを入力すると、そのワードが含まれる各種ソーシャルメディアのアカウントが表示されるので、該当のものを選択すれば完了です!
それでは6種類のソーシャルメディアの各レポートを見てみましょう。
見られる情報:「フォロワー数・フォロー数・発言数・被リスト」の「実数と日別差分」・「フォロワー及びフォローの 性別・年齢指標・地域の割合」・「発言の一覧」
例)私のTwitterアカウント
基本的な指標を確認することが出来ます。分析の観点で言うと、更に発言ごとのRT数やインプレッション数(RTした人の累計フォロワー数)を見られたら更に嬉しいです。
Facebookページ
見られる情報:「いいね!数・世界ランク・国内ランク・話題数」の「実数と日別差分」・「いいね!した人の性別と国内/国外の割合」・「いいね!を押した人の新着順ユーザー一覧」・「あわせていいね!を押しているFacebookページ/アプリ」「ウォールでの発言一覧(人気順・新規順)」「発言ごとのいいね!数・コメント数」
例)ローソンのFacebookページ
非常に多くのレポートを確認することが出来ます。Facebookの公式分析ツール「Insight」とかぶる部分・かぶらない部分があるので、場合によっては併用してもよいかもです。
Facebookアプリ
見られる情報:「DAU・WAU・MAU*3」の「実数と日別差分」・「あわせていいね!を押しているFacebookページ/アプリ」・「ウォールでの発言一覧」
例)SlideshareのFacebookアプリ
ほぼFacebokページと同じ機能が用意されています。アプリの分析を出来るツールは(公式を除いて)ほとんど無いので、見られるのが嬉しいです!
Mixiページ
見られる情報:「フォロワー数 及び ランキング順位」の「実数と日別差分」
例:ローソンのMixiページ
こちらは見られる情報が限られています。Mixiページ側でそもそも取得できる情報が少ないのが理由だと思われます。
アカウント同士の比較
「ソーシャルメディア傾聴」と同じように「ファン分析」もアカウント同士の比較が出来ます。登録設定している5つのアカウントから比較したいものを選んで確認してみましょう。比較専用のレポートが表示されます。
個人的な感想
今までに紹介した また 個人的に活用しているツールを単体で評価するとしたら、「Social Insight」がもっとも使いやすく、機能も豊富です。一つの管理画面で様々なソーシャルメディアの分析データが統一されたインターフェースで確認できることが「Social Insight」の最大の魅力だと感じました。
特に企業で複数のソーシャルメディアを運営している場合は、それぞれの分析ツールにログインすることが手間だったり、それが理由でデータを見なくなってしまいます*4。インターフェースも非常に分かりやすく、レポートも見やすい。この辺はユーザーローカルの長年の経験が最大限に発揮されていると感じました。まだまだ英語の分析ツールが多い中で、日本語で使えるのも魅力です。これらが全て無料で提供されている事が驚きです!ソーシャルメディアを運営している全ての企業に使って欲しい、いや、使うべきツールです。
しかしまだ「完璧なツール」ではありません。いくつか気になる部分はありました。有料版で解決出来るものは除いてあります。
・「ソーシャルメディア傾聴」が現在はTwitter(とFacebook)のみなので、今後はMixiページ・Google+・Facebookなどにも対応してくれると更に分析の材料が増えて嬉しいなと思います*5
・レポートにも「この機能はベータ版調整中」と書かれている通り「発言の感情分析」はまだデータとして活用するには不安があります。個人的にもこの分野は興味があっていろいろ試しているのですが、日本語ならではの難しさもあるし、業界によって特定のワードがポジティブになったり、ネガティブになったりと個別最適が必要な分野があり、今後も難易度が高いのではと考えています
・ユーザーローカルが同じように提供しているTwitter分析ツールTwitraqで実装されている機能がこちらでは実装されていない。特に「Twitterの発言ごとのRT数とインプレッション数」及び「フォロワー一覧のID・フォロワー数・フォロー数・F/F比率」などはぜひ欲しい内容です
・Facebookアカウントの発言や友達の増加傾向 などの分析が行える「マイファン分析」が本日時点では未実装なので、こちらの実装を心待ちにしています
・インターフェースやメニュー構成は、「機能軸」ではなく、まずは「ソーシャルメディア」を選択し、メディアごとに見られるレポートを選択していくという「メディア軸」でも良いかなと感じました*6
そのため、個人的には「Social Insight」だけで全てが完結とはまだいかなさそうです。Twitraqあるいは「CrowdBooster」のようなツールを時々使う必要がありそうです。これらのツールの機能も取り込んでくれたら完璧ですね!
最後に
無料版で活用できるレポートや機能を紹介してきました。企業でより積極的に利用するには「分析」だけではなく、「発言」の管理も必要です。そこで来週は「コミュニケーション管理」機能を中心に、更に機能がパワーアップされている「Social Insight」の有料版のレポートをアップします!
しかし無料版でも魅力溢れるツールですので、ソーシャルメディアの運営担当者 あるいは 個人でも分析したい!という気持ちがある方はぜひ登録してみてください。今までのほかのツールを使っていたけど、なんとなくログインしなくなってしまった人 も「Social Insight」なら分析が続くのではないでしょうか。
紹介したツール:「Social Insight」