使いやすさと高機能が両立!先月、ついに日本上陸したアクセス解析ツール「Coremetrics Analytics TM」をレビューしてみました。


先月、トランスコスモス社による日本国内での販売がはじまった「Coremetrics Analytics(コアメトリクス・アナリティクス)」。本格的なアクセス解析ツールとして、米国では古くから多くの企業で使われているアクセス解析ツールです。Coremetrics Analyticsを体験する機会がございましたので、レビュー記事を書かせていただきました。


Coremetrics Analyticsについて更に詳しく知りたい方は、アクセス解析イニシアチブが開催する「アクセス解析サミット 2011」にぜひご参加ください。日本初のお披露目講演が行われます!

注意:
1) 本レビューに際しては事前のヒアリング+用意いただいたデモアカウントで実際に操作をさせていただきスクリーンショットを撮らせていただくという形で試用させていただきました。他ツールのレビューより試用時間は少ないため、私が利用した範囲でのレビューになります。


2)過去のツール紹介記事と同様「広告記事」では無く、全て無料で書かせていただいております*1
ツールのレビューを希望される会社様・個人の方は「こちら」をご覧下さい。

Coremetrics Analyticsの概要

高機能なアクセス解析ツールとして米国では多くの企業に利用されています。大きな特徴はセッションだけではなくユーザー単位の分析が実現出来ることです。チェックポイントを用意し、それぞれの通過率を見ることで、ユーザーがサイトのゴールのどこで離脱しているかを把握する事が出来ます。
他にも広告チャネル別の貢献度分析(アトリビューション)、豊富なセグメントとレポート機能など、分析出来る幅が非常に広く、本格的なサイト分析と改善に向いているツールです。

料金に関しては見積もり依頼が必要となります。初期費用+ページビュー費用という料金体系になっており、PV数が増えれば増えるほどPV単価は安くなります。また、計測で取得したデータを使って、ターゲティングメール・サーチ広告・レコメンド・ディスプレイ広告のターゲティングなど豊富な関連サービスやオプションが用意されています。



では、ここから実際にレポート画面とあわせて特徴を7つ紹介いたします。

注意:デモアカウントを利用しているため、金額は$マークの表示になっておりますが、任五サイトの場合は\マークでの表示が可能です。

特徴1:分かりやすいメニュー構成と便利なタブ


多くのアクセス解析ツールにあるように、左側のメニューがまとまっています。日本語化の期間を事前にとっていたこともあり、メニューや指標は全て日本語化されていました。


また、便利なのが各レポートの上部にある「タブ」です。これは、過去に開いたレポートを自動的に10個までストックしてくれます。「さっきみたレポートをもう一回見たい!」という時に、簡単に選択出来ます。


特徴2:経路分析はいくつでも


上記が経路分析のレポートになります。あるページから次にどこに遷移したかを表示する、アクセス解析ツールおなじみのレポートです。各ページの横にある「+」を押していくと、更に次の遷移が確認できます。また特定セグメントの経路分析も可能です。
有料のアクセス解析ツールでも見える経路数が限定されている事が多く、このようにいくらでも画面で見られるのは珍しいです。



特徴3:複数の指標をまとめて期間比較

サイトの分析をする上で大切なのは、変化を理解する事です。期間比較が用意されているツールは多いのですが、Coremetrics Analyticsでは任意の指標を選択し、まとめて比較する事が可能です。



この機能を使えばどの数字が悪くなっているかが一目瞭然です。毎週あるいは毎月、まずはこのレポートを見て(あるいはメール配信機能を使って)サイトの健康状態を確認しておきましょう。



特徴4:ユニークな表示形式

Coremetrics Analyticsはレポートの見せ方が非常に分かりやすくユニークです。その中から二つの特徴的なレポートを紹介いたします。

一つは以下の折れ線グラフです。


ただ表示するだけではなく、最小・平均・最大値、さらには±1の標準偏差(約68%のデータが収まる範囲)まで表示をしてくれます。グラフだけだとわかりづらい値が、情報の味付けにより非常に使いやすくなっています。これは他のアクセス解析ツールでも採用して欲しい内容です。


もう一つは日時を軸にしたヒートマップのようなレポートです。これもただ数字を表示するのではなく、どこが多いか・少ないかを一目でわかるようにしています。数字を見ればもちろんわかる事なのですが、ビジュアル化する事でそれがより早くわかります。

以下は訪問回数のヒートマップです。


他にも売上のヒートマップを出すことが出来ます。右にあるのはコンバージョンファネルです。訪問→プロダクト表示→カート追加→購入を表しています。



特徴5:セッションを超えたユーザー評価

多くのアクセス解析ツールでは、流入と成果をセッションで紐付けます。例えば、1回目はリスティングで流入してコンバージョンせず。2回目はSEOで流入してコンバージョンした場合、成果はSEOと紐づきます。
しかしサイトに連れてきたのはリスティングも成果への貢献があったのではないでしょうか?セッションを越えてユーザーを分析出来るのが、Coremetrics Analyticsの特徴です。


以下のレポートを御覧ください。


こちら一見、流入元別の売上レポートに見えますが、実はとても奥が深いレポートです。ここで表示されている右側の3つのレポートを確認してみましょう。

「売上 30」というタイトルは一緒なのですが、その下部にある矢印の部分が違います。拡大をしてみました。


1) 一番右に矢印があるもの
2) 一番左に矢印があるもの
3) 全てに矢印があるもの

そして、それぞれが30日という風に書いてあります。この3つはそれぞれ以下を意味します。

1)一番右に矢印があるもの
購入から遡って30日の間で最後に踏んだ流入元に対して売上が計上されます。ただし「直接入力やお気に入り」などのノーリファラーは除きます。通常のセッション単位で考えるアクセス解析ツールはこのデータのみを出してくれます。


2) 一番左に矢印があるもの
購入から遡って30日の間で一番最初に踏んだ流入元に対して売上が形状されます。データをユーザー単位で見て最初の流入に評価を配分しています。


3) 全てに矢印があるもの
購入から遡って30日の間の全ての流入に対して均等に売上を分配するという集計方式で。3回流入があって売上が3,000円だとしたら、それぞれに1,000円ずつ割り当てられます。


Coremetrics Analyticsでは30日以外にも、1日・7日・14日で同様の分析が行えます。では、このデータをどういう風に解釈すれば良いのか、データを以下に抽出してみました。

流入元 30日:最後 30日:最初 30日:均等
スティング $482,160.41 $676,650.44 $579,406.47
自然検索 $1,509,470.03 $1,350,014.58 $1,430,768.11


セッション単位でのアクセス解析ツールでは「30日:最後」のようなデータを見てきました。これでいくと、リスティングと自然検索の比率は約1:3.1 です。しかし、「30日:最初」を見てみると比率は約1:2です。


つまり、最初にサイトにユーザーを連れてくるという観点で考えると、今まではリスティングが低く評価されていた事がわかります。どちらの数字が正しいというわけではなく、最終的な成果が悪いからリスティングを減らしてしまうと、初回流入減の影響が大きいという事がわかります。
30日の最初や最後以外の「間の流入」が強い施策だと、「30日:均等」の金額が高くなります。この例ではどちらの数字も、最後と最初の間の数値となっています。


特徴6:商品分析もお手の物

ECサイト向けの機能が強いCoremetrics Analytics。商品ごとの売上だけではなく、同時に買われた製品やその割合を確認する事が出来ます。


以下は「クロスセルプロダクト」というレポートで、同時購入をチェック出来るレポートです。


ある商品に対して、どの商品が買われたかとその件数が表示されています。組み合わせて案内する商品の参考などに使うことが出来ます。


前半の期間比較レポートの画像にも出ていますが、商品関連の指標も充実しています。

売上
注文数
注文商品数
アイテム数÷注文数
平均注文金額
商品閲覧回数
カート放棄率
購入者数÷訪問者数
注文数÷訪問
リピート購入者

など様々なコマース指標が利用出来ます。計測用の記述を入れておけば、ここらへんの計算は自動的に行ってくれます。


特徴7:豊富なファネル機能

ファネルとは「漏斗(ろうと)」を意味しており、その形からこのような名称がついています。簡単に言うと、特定のチェックポイントの通過率を確認し、どこで水漏れが起きているかを確認するための機能です。有料のアクセス解析ツールでは、この機能が標準搭載されていますが、Coremetrics Analyticsの特徴は豊富な設定内容です。

購入関連のファネルは訪問回数だけでは訪問者数も見ることが出来ます。またセグメントを作成する事が出来、「すべての訪問回数」だけではなく「新規訪問」「前回購入者」「前回訪問者」など様々なファネルを、しかも同時に見ることが出来ます。


また訪問回数だけではなく、売上見込という観点でもファネルを見ることが出来ます。これは、このチェックポイントまでに来た人が、全員コンバージョンしたらこれくらいの売上を見込めるという内容です。逆に言うと、その手前を改善しない限りはこの金額以上の売上は見込めないということも分かるため、改善箇所や効果をより意識しやすくなります。



使わせていただいた感想

豊富な機能と直感的なレポート(特にグラフ)に驚かされました。1時間半みっちり使ったのですが、それでも多分半分くらいしか機能を見ることが出来なかったと思います。しかし、とても楽しい経験でした。


また本文では紹介出来ませんでしたが、セグメントやフィルタの作成が直感的だったり、最近のブラウザのような「タブ機能」を搭載していたり、「ワークブック」という形でレポートを作成してグルーピングして保存したりと、使っていて便利と感じる機能が多数ありました。


ただ、使う人というか会社を選ぶツールではあります。用意されている豊富なレポートを使うためには、ただ計測用の記述を入れて終わりという実装ではなく、どのページでどういう値を取得するかを設計する必要があります。また、見られる指標が豊富だからこそ、意味があるダッシュボードの作成や、データの読み解きが必要となります。


アクセス解析ツールの選定の際に最も大切なのは、解析ツールの機能ではなく、利用する側の体制やスキル、データを施策に活かすための連携や風通しの良さです。一人が使うにはもったいないツールですが、チームとして使うにはとっても強力なツールです。競合に負けない解析を実現しようとしている会社にぜひオススメしたいツールです。


今回ご紹介したツールCoremetrics Analytics

Coremetrics Analyticsについて更に詳しく知りたい方は、アクセス解析イニシアチブが開催する「アクセス解析サミット 2011」にぜひご参加ください。日本初のお披露目講演が行われます!

*1:当ブログではアクセス解析ツールや関連商品の広告記事は受けておりません