小川卓×清水誠の対談 これからの分析で必要な事とは

こんにちは。アパレル、旅行業界のデータアナリストとして活動している花輪です。

現在の分析を過去から振り返り、これからはどのような分析が必要になっていくのか。

清水さんと小川の対談をお届けします。

 

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(左)清水誠さん (右)小川卓さん

  

小川 卓

ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。

主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。

 

清水 誠

Webビジネス歴24年。UXとIAの分野を開拓後、楽天やWebCrewなどの事業会社においてIT・UX・アナリティクス活用による改革を推進。2011年に渡米し、Adobe Analytics(SiteCatalyst)の企画・開発・啓蒙に携わる。2014年に帰国し独立。コンセプトダイアグラム提唱者。

執筆・セミナー多数。2008年文部科学省アドバイザー委員。2014年Web人賞受賞。

 

著書 『コンセプトダイアグラムでわかる[清水式]ビジュアルWeb解析』『サイトサーチアナリティクス アクセス解析とUXによるウェブサイトの分析・改善手法』(監訳) 『商談に結びつける 売上をあげるためのBtoBデジタルマーケティング入門』(共著)

 

 今までの分析

 (小川)Googleアナリティクスは、セッション単位の分析が多かったと思うのですけど、そもそも何故セッション単位なのでしょうね。

 

(清水)セッションの30分というのはWebアプリ開発の昔の名残ですよね。Webサーバー上でユーザー単位のデータを保持する期限を30分にするのがデファクトスタンダードだっただけ。

 

(小川)Googleアナリティクスの登場が2006年頃で、それ以降ずっと、セッションが分析の単位になっていますね。

 

課題

 (小川)でも現在はタブブラウザや複数ウィンドウを使うのが主流になりました

 

(清水)ブラウザのタブって消すのをためらうので、20や30は何週間も開きっぱなしですよねー(笑)

 

(小川)何週間はすごいですね(笑)。タブを行き来したり、リロードしたりするとセッションが切れて、サイト外にカウントされてしまったりと本来のユーザーの動きがよくわからないというのがありますよね。

 例えば、訪問で1回目〜3回目までは情報収集しにきて、4回目に上司に確認をとってから問い合わせをしてきた場合、4回目の訪問は、サイト訪問していきなり問い合わせをするような見え方になってしまうので、ユーザーの本来の動きが見えにくいですよね。そうすると正しい施策が取りづらいという課題が出てきますよね。

 

(清水)分析の考え方が広告の効果測定にだいぶ引きずられましたね。Googleアナリティクスも最近になってようやくユーザ視点のコホート分析やユーザーエクスプローラーなどが追加されましたが、まだ告効果測定ツールの域を出ていません。次のFirebase(App+Web版)は、ユーザー分析を飛び越えて行動データ収集装置になりそうですが。

 

(小川)ABテストでUIを変えてみたりしてもコンセプトダイアグラムでいうと、ユーザーの態度変容までは変えることができないですよね。

 

(清水)元々買いたい人が買いやすいような操作性の改善に終始してしまっている傾向があります。ボタンは何色が押しやすいのかなど。

 

(小川)それでいうと、コンバージョンしない(買おうと思っていない)ユーザーの9割以上にはあまりささらなそうですよね。やはりボタンだけでは難しいですよね。

 昔はサイトがあるだけで良かったので、使いづらいサイトが多く点在していて、同業他社と比較しながらABテストを行って対応していたのでUIで対応できる時代だった。

  

(清水)これからはユーザーをどう導き、どう変容させていきたいのかをベースとして分析していく時代になってきた。今までの小手先のテクニックは通用しなくなってきて、解析ツール依存になるのではなく、本来のユーザーのことを考えてマーケティングしていく必要があります

 

(小川)そこでカスタマーアナリティクスという考え方が出てきたんですよね。

 

(清水)昔はユーザーエクスペリエンス(UX)、ここ数年はカスタマーエクスペリエンス(CX)という考え方がベースになっています。「カスタマーアナリティクス」は既に本が出ていて、その本では、WEBの解析だけではなくて、定性的なリサーチや統計的なデータ処理など、ユーザー理解のための幅広い手法が取り上げられています

 

Customer Analytics For Dummies (English Edition)

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  • 作者:Sauro, Jeff
  • 発売日: 2015/01/16
  • メディア: Kindle版
 

 

何故カスタマーアナリティクスなのか

 (小川)何のためにカスタマーアナリティクスをやるのか?

 

(清水)従来の分析は企業視点のパフォーマンス分析でしかなく、いくら緻密に分析したところで、顧客の理解が深まりません。

例えば、保険やクレジットカードのような金融業界は集客の効率改善が頭打ちになっていますよね。そこで、SEOやコンテンツマーケティングに手を出してみても、アクセスが増えた、くらいしか分からない。

 

(小川)ユーザー軸だと、アクセスやコンバージョンが少ないサイトでも活用できる可能性があり、コンバージョンをした後の動きって意外と大事で、購入完了後は、意外とサイトに戻ってきている。購入後、どのくらいで配達されるのかなど気になって戻ってきているケースがありますよね。

 

カスタマーアナリティクスによって何が変わるのか

 (清水)長い目でみると、納得した上でコンバージョンしてもらうことがベストですよね。ユーザーの納得レベル段階的に分かれると思うんです。例えば

・自分に本当に必要だという納得

・解決の方向性としての納得

・このお店や商品なら自分にとってベストだという納得

 

(小川)カスタマーアナリティクスを実際に取り組もうと思ったらどこから手をつけたら良いのでしょうか?

 

(清水)まずは仮説を洗い出すため、ユーザーエクスプローラーのような個人を追う探索型の分析をして、得られた顧客の行動パターンに基づいてCXの質や変化を表す指標やKPIを定義することから始めると良いと思います。その指標は、タグマネージャーやアナリティクスをカスタマイズして取得するか、別のツールのデータと統合する必要があります。

さらに、データをわかりやすくビジュアライズする、全データに適用して検証する、オーディエンスを作成して広告やリマーケに活用する、コンテンツ制作やサイト改善につなげる、などが続きます。

 

(小川)最初に仮説を作った上で取り組むことが大切で、ただユーザーをみていただけだとあまり意味がないですよね。それができていない企業が多いというのは、何が原因なんでしょうね。

 

(清水)企業側で自力で行うのはまだ難しいと思います。ツールがまだ昔の企業視点から抜けきっていないので、一般的なノウハウや標準機能に惑わされず、かなり強い意志を持って上手く使いこなす必要があります

 

(小川)一度やり方や考え方含め外部から入って、そのノウハウを自社に取り入れて、協力できれば良さそうですよね。カスタマーアナリティクスをやると良いことをまとめると2つありそうですよね。

 

  1. 本質的な課題解決ができること。UI改善で頑張ってきたけど、小手先では限界がある。
  2. 規模が小さいサイトでも使うことができること。数件で新しい気づきを見つけることができる。

 

(清水)あとはもう一つ、社内が変わるという点もあります。デザイナーや制作部門がUIUXを提案しても利益への貢献を示せないというような状況では、ユーザー軸の分析をすることで、UXやCXに投資する根拠を示すことができ、ユーザー視点が大事だと社内の雰囲気が変わってきますよね。

 

(小川)少しでも多くの企業やサイトに取り組んでほしい考え方ですよね。本日はありがとうございました!

 

(清水)ありがとうございました!

 

 そんな清水さんとHAPPY ANALYTICSがリリースした新サービスがこちらになります!

 

 

「アナリティクスによるCX (Customer eXperience) 向上サービス」

ROIやCVRといった企業のパフォーマンス測定を効率の改善につなげるだけで事業が成長する時代は終わりました。顧客が主役の時代においては、顧客一人ひとりを理解し、良質の体験を提供するために、デジタルのあり方を考え直す、データを活用する、社内フローを見直す等、あらゆる努力や改革を進める必要があります。

 

そこで、顧客理解のためのデータ統合とプロファイリング、個人単位の特性の可視化、セグメント定義、接客やMAツールとのデータ連携、デジタル施策の改善提案までを一気通貫でサポートするサービス「アナリティクスによるCX向上サービス」を、HAPPY ANALYTICS 及び 清水誠が提供開始しました。

 

詳しくはこちらのページをご覧ください

 

happyanalytics.co.jp

【参加ルポ】ポストコロナを生き抜くためのSNS活用&分析事例セミナー

<お知らせ>
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株式会社HAPPY ANALYTICS 公式サイトよりお読みください。

 

こんにちは、マーケティング大好き・井水朋子(イミトモ)です。
今日は、先日赤坂で開催されましたSNS活用&分析セミナーの参加ルポをお届けします。

 

普段はGoogleアナリティクスに関する講演や執筆が多い小川卓さんですが、今回はSNSにフォーカスしたセミナーということで、個人的には相当ワクワクしてのぞみました。

共催される株式会社BESの田中千晶さんは、SNSに精通しているとのことで著書も多数。期待に胸が膨らみます。

 

こんな方にオススメ

・ポストコロナですべきことを知りたい

・SNSの活用法を押さえておきたい

・集客をSNSで補いたい

・時間ができたので、今こそSNSを勉強しておきたい

・SNSで投稿しているけど、分析をしたことはない



  1. SNS運用術(田中千晶さん)
  2. SNS分析術(小川卓さん)

という流れでルポをお届けしたいと思います。

 

  • <お知らせ> この記事は移転しました。約5秒後に新記事へ移動します。株式会社HAPPY ANALYTICS 公式サイトよりお読みください。
  • SNS運用術
    • ニュース性・拡散性抜群のTwitter
    • PUSH型の営業術も
    • ライブ動画が熱いFacebook
    • リポストでつながるInstagram
    • 複数の媒体を掛け合わせるワザ
  • SNSの分析術
    • ソーシャルメディアの9つの役割
    • 役割を軸に考える目標設定
    • ソーシャルメディア分析で見るべきGoogleアナリティクスのポイント
    • 昨今の情勢を踏まえて、どのようにソーシャルメディアを活用すべきか
  • 後日談

 

 

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<小川卓の「海外ウェブマーケティングニュース解説」> 第11号の配信

<お知らせ>
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7月7日に配信されるメールマガジンの内容です。

 

www.mag2.com

 

foomiiでも配信を始めました(値段は同じ)。

foomii.com

 

というわけで中身をちょいだし!

 

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■【PickUPニュース】
YouTube動画のクリック率や視聴時間はレコメンドされやすさに影響する?
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前回のメールマガジンでFacebookの広告表示ロジックについて取り上げましたが、
今回はYouTubeのレコメンドロジックと数値の見方について紹介していきます。
こういった考え方で動画がオススメされているのか!という事が分かります。

 

実際の説明動画はこちらからご覧いただけます。

・Better Understand How Your Videos Are Getting Discovered - How Important are CTR and AVD?

www.youtube.com

 

今回はこちらの内容をある程度翻訳してみましたので、紹介します。

 

レコメンドの順位やオススメされるかは、何十もあるシグナル(順位付けに使われる指標)のうち以下2つを重視しているとのこと。

 

1つが「CTR(クリック率)」。動画が表示されたときにクリックされる割合ですね。
もう1つが「AVD(Average Video Duration=平均視聴時間)」。動画が見られた時間。
それぞれの指標に関しての考え方や懸念に対しての方針などの説明が続きます。

 

まずレコメンドの動画の「クリック率(CTR)」がどう影響しているかについて言及しています。

再生回数が多い皆さんが作った人気の動画ほどCTRが低くなる傾向があるとのこと。

 

理由として

「配信数の多い動画は、最終的にはより多くの視聴者に表示されるため、
あなたのコンテンツは、あなたやあなたの作品をあまり知らない多くの人に表示されることになる」
とのこと。


確かにこれは納得感ありますね。リスティング広告とかでも似たような傾向があるかと思います。逆にニッチな動画で(対象に刺さる動画であれば)、CTRが高くなるという事も意味しています。

 

(以下略)

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本メルマガは月2回配信しており、海外のウェブマーケティングに関するニュースを取り上げています。上記内容以外にも、ニュースヘッドライン(数行解説)やQAコーナーなども用意されています。

 

月額550円/月(税込み)で、初月は無料です。今月登録いただくと、今月の過去配信メルマガ(上記内容含む)も読むことができます!

 

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