読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アクセス解析がダメな7つの理由(前半)

分析手法


アクセス解析の仕事をしていると、アクセス解析さえあれば「キーワードを見ればユーザーのニーズや考えている事が分かる」とか「CVRを元に最適な集客プランはこの手法だ」とか「導線分析を行うことによってユーザーが一番コンバージョンする最適な経路ははこれだ!」とか思ってしまう事があります。


しかしWhat Web Analytics is Missing... という記事を読むと、改めてアクセス解析ツール(単体)の限界や課題点について考えさせられました。当たり前だけど、アクセス解析は万能ではなく、あくまでもユーザーの動きが結果として集計されているだけだったりします。


この文章ではアクセス解析ツールに対して感じている7つの課題に関して記載されています。「本当に知りたいビジネス要件について回答を教えてくれない」という意味で、全てのツールにあてはまる内容になります。その内容を紹介いたします。

※記事の内容を完全に和訳しているわけではなく、大事そうなところを意訳+自分の視点を入れています。全文はかなり長く、翻訳するのは大変苦労なため、詳細を確認したい方や私の意見を除いた内容に関しては元記事を読んでください。

1)ログは「行動」を教えてくれるが、「行動を起こしている人」については教えてくれない

行動によって広告代が支払われたり、クリックによって購入が行われているのにその人のことを気にする必要があるのか?という意見もあるかと思うが、ログの情報は本当に信頼出来る物なのだろうか。またそれを使って最適化している内容はユーザーにとって本当に最適化なのだろうか?


アクセスしてくる人が感じる興味・ニーズ・期待・好き嫌い・希望・恐怖・夢などはどこにあるのか?それを理解する事によってゴールが達成出来る。こういった利用者が感じていることをよセグメンテーションは出来ないのか?現在のツールでは「ユーザー」を特定の視点の元にグルーピングする事がほとんどの場合出来ません。

  • ツールの全ての機能は「ユーザー」という視点で切り分け、全体や他の切り口と比較出来るべき
  • ツール自身がどういう形でユーザーを切るべきか(RFM・LTV(Life time value)やサイトの特徴的なセグメンテーションなど)を教えて欲しい。また、サイトは1ユーザーのアクセスが1回で完結する物ではないので、サイトを利用していくステージごとに切ることは出来ないのか?*1
  • ユーザーの行動はセッション単位で切られるのではなく、ユーザーのアクセス履歴全体から、適切に切るべき(上記のようなステージごとに切るとか)
  • レビューや投稿といった文字情報も分析しまとめて欲しい。それらはポジティブな反応なのか、ネガティブな反応なのか?


行動履歴分析が悪いというわけではなく、その背景にいる人がわからない事が問題。知りたいことは「どういう人にどういう情報を出したらサイトで行動を起こしてくれるか」であって、「どういう行動が良く行われているか」とか「行動を起こす人はどのページを見ているか?」という情報ではないはずだ。


わかりやすいように以下のような例を考えてみよう(元記事の例題をアレンジしています)。あるブログでの人気ページ(PV数が多い順)は以下の通りです。

人気ページランキング(2008年8月)
1位 話題のスイーツ一覧
2位 最新アウトレットはここだ!
3位 人気ブランドの新作コスメ
4位 ファッション業界の裏側
5位 アウトレットお得情報
6位 春の新作ワンピースを写真付きで公開!
7位 自宅で簡単にできるスイーツの作り方。

この結果から見ると、サイトを訪れる人は、ファッションやスイーツに興味がある人たちという事になります。


あっていますか?実は違います。


ローデータを使ったり、相関関係、クラスタリングなどの手法を用いると以下の4種類の人たちがサイトを訪れていることがわかりました。

  • デートの行き先を検討している男や女。

  「1位」「2位」「5位」の情報を見てデートスポットを探しています。

  • ファッション業界に興味があり、就職なども考えている男や女。

  「2位」「4位」「6位」の情報を見て業界の勉強をしています。

  • お買い物自体をする事が好きな女。

  「1位」「2位」「3位」「5位」「6位」を見てどこで何を買うかを考えています。

  • アウトレットのスイーツショップで働きたい人。

  「1位」「2位」「5位」「7位」を見て情報を仕入れています。


こういう風に「人」で分ければ、単純にコンテンツの人気ランキングを見てサイトの特徴を理解するのではなくユーザーの特徴を理解し、そのユーザーに対してあっているコンテンツが出せるようになります。


サイト設計をする時に「ペルソナ」を考えることがあります。ペルソナとは

自社の顧客層のプロフィルを詳細に設定して架空の顧客モデルを作り上げ、その“人”に向けて商品開発、宣伝・販促をするマーケティング手法、あるいはモデルそのもののこと。属性によってターゲットを設定する従来型の手法の行き詰まり感から注目を集めている。想定顧客層へのインタビューなどを行い、価値観やライフスタイルを盛り込むのが特徴だ。

もともとペルソナの手法は、顧客のコンピューターリテラシーに合わせて使い勝手の良い操作画面を作るという具合に、ソフトウエア開発やWebデザインの現場で採用されていた。これが商品コンセプトの設計や宣伝などマーケティング全般に広がり、Webサイトの制作でも活用が始まっている。

ITProより


こういったペルソナ作りをサイト立ち上げるときには考える物の、それをサイト立ち上げた後にアクセス解析ツールでは検証が出来ないのは何故か?本当にそういった人たちが来てサイトを利用しているのか?本当にユーザーのニーズを知り、ゴールまでたどり着かせるには「行動を知る」のではなく「その人を知る」事が必要です。

2)「アクセス解析(あるいはウェブ解析)」は「アクセス(ウェブ)」の比重が高く、「解析」の比重が少ない


解析とは「得られたデータから答え・ヒント・パターンを発見し、それを現実の世界に当てはめたり、なぜそのような行動をする人たち(逆にしない人たち)がいるかを分析する事である」。


現在のアクセス解析ツールは、サイトへのアクセス情報やデータに関しては非常に優れたグラフや数字を出すツールが多い。これはすばらしいことだが、先ほどの定義に出てきた「答え・ヒント・パターン」やまとめはどこにあるのだろうか?「文字」として書かれたわかりやすい内容はどこにあるのだろうか?


あるいは、こういったアクセス解析のレポートで「分布」「誤差」がちゃんと表示されているものが少ないのはなぜだろうか?今までのトレンドに関する情報は?今後の予測は?また、これだけの大量の情報がアクセス解析で取れたり・見せられたりすると、まとめてくれたりしないのか?


ページ別のPVとか、キーワードとか見てもほとんど参考にならない。なぜ、こういった情報を「使えるまとまった情報」にしてくれないのか?前述のユーザーのグルーピングではなく、複数のページも自動的かつ最適にグルーピング出来ないのだろうか?単体の情報ではなく、相関性を見せて欲しい。本当に見たいことと表示されている内容は一致していないのでは?


アクセス解析ツールは、どれも似たような解析結果を出してくれるが、自分たちで指標を作成したり計算する機能が無いのはなぜか?何故多くのツールユーザーは未だにデータを落としてエクセルで集計しているのか?こういった事がツール内で出来るのが自然ではないのだろうか?エクセルのピボットテーブルのように全てのデータは「次元」として用意されるべきだ(=2軸、3軸のクロス集計が出来るようにする)


まずアクセス解析ツールが対応するべきはクラスタリングである。人がどのようにコンテンツを読んでいるか、どのようなワードを読んでいるかでまとめられないか。ユーザーの視点からまとめるといった機能を提供して欲しい。その次に予測に対応するべきだ。「過去を元にした今後のトレンド」「季節トレンド」などを見せて欲しい。


そして本当に知りたい「現在出している広告が今後2ヶ月でどれくらいの売り上げを上げてくれるか」を教えて欲しい。そしてねらうべき目標も教えて欲しいし、それに達しないようだったら「いつから心配すればいいか」も教えて欲しい。ユーザーの視点だけではなく、使う側が行っている作業をイメージしたツール作りをしてくれないだろうか。

余談:ビジュアル化とは今のような「(ひどい)ビジュアル重視」ではなく、「シンプルなわかりやすさ」である*2

綺麗で光ってインタラクティブなグラフやレポートはみんな好きなようだ。そんな製品もいっぱい出ている。確かに綺麗で素敵だが、使えない。本来のビジュアル化の意味をはき違えていないだろうか?何故ビジュアル化するのか?それは数字だけだとわかりにくいデータを「特徴的な部分が見やすくするための」ツールではないのか?


見る人がサイトで何が起きているのかをわかりやすくしてくれ。影をつけたり、3Dにしたり、グラデーション効果などではない。必要で重要な部分を分りやすく見せてくれ。変わっているところを教えて欲しい。


わかりやすくさえしてくれれば、グラフなんかを作るより、説明をしてくれるだけで十分だ。データがわかりやすくさえなれば良いのだ。以下のような情報を書いてくれるツールは何故存在しないのだろうか?


「UU単位の訪問回数は増えているが、UU単位のPV数は減少している。これは「ユーザーはサイトをより訪れているが、平均的に見るページ数が減少している」という事だ。この変化は8月8日から起きているようだが、サイト上に何か手を加えましたか?」


アクセス解析がダメな7つの理由(後半)」に続く

*1:就職サイトであれば、情報収集・会員登録・履歴書記入・初めてのエントリー・初めての面接・2回目以降のエントリー・面接前・面接後・二次面接・最終面接・採用後など

*2:元は3つ目の課題として記載していたのですが、元の英文記事を見たら7つの課題の1つとして数えていなかったので「余談」に修正しました