施策と分析の順番 及び PDCAサイクルに関するお話

ウェブサイトの改善を行っていく上で、「施策を先に行ったその結果を分析する」のか、そして、「分析の結果を元に施策を実施する」のかという2つの考え方があります。
前者は施策がありきの場合で、サイトのここを直したいといった意見や思いからスタートします。つまり具体的に施策が既に考えられているケースに該当します。後者はサイトを改善したいけどどこから手をつけていいかわからないので、分析をして改善するポイントや指標をみつけてから施策を検討しようというケースに該当します。

鶏or卵 どちらが先?

さて、どちらの方法が良いのでしょうか?私はどちらの方法でも大丈夫だと考えています。より詳しくサイトの改善プロセスを理解するため、アクセス解析におけるPDCAサイクルを確認していきましょう。


PDCAサイクル自体は大勢の方がご存知かと思います。PDCAは「Plan」「Do」「Check」「Action」の頭文字をとった物で、ビジネス上で物事や施策を進める上で重要な4つのプロセスをまとめたものになります。サイクルという名称の通り、これらを複数回繰り返しながら、ビジネスゴール達成していきます。いろいろなシーンで利用する事が出来ます。

もちろんウェブサイトの改善にも利用する事が出来ます。以下がサイト改善におけるPDCAサイクルになります。

各ステップを上から時計回りで確認していきましょう。

まずは「Plan」です。サイトを改善するためのアイデアを考えてそれを実行出来る形に落としていくプロセスになります。次のステップは「Do」です。計画した施策を実際に行うプロセスになります。3つ目のステップは行った施策を評価する「Check」です。施策は想定通りの結果を返してくれたのかを確認しましょう。最後のステップは「Action」となります。行った施策の結果が何故そのような形になったかを確認し、次に活かすための検討を行います。検討した結果を「Plan」の部分で活用するという事で1サイクル回ってきました。これがアクセス解析におけるPDCAサイクルの形です。


では、ここで最初に問いとしてあげた「施策」と「分析」についてPDCAサイクル上で確認してみましょう。「施策」から始める場合は、「Do」がスタート地点となります(複数のアイデアがあって優先順位などが決まっていない場合は「Plan」がスタート地点となります)。
PDCAのサイクルに順番を降ると下図の形になります。



では、「分析」がスタート地点の場合はどうでしょうか。



今度は「Action」がスタート地点となります。データを元にサイトの課題や特徴を発見するというプロセスになります。同じくPDCAサイクルに順番を降ると下図の形になります。



どちらを先にしても、スタート地点が違うだけでプロセスの順番は一緒です。つまり進め方は変わらないという事で、どちらを先にしても問題ないという事になります。その時のサイトのコンディションや施策アイデアの有無によって開始地点を変えましょう。


開始地点以上に大切なのが「PDCAサイクルをドライブする」ということと「2つの大きさのPDCAサイクルを意識する」ということです。それぞれを確認してみましょう。


PDCAサイクルをドライブする

PDCAサイクルをドライブする」が意味するのは、しっかりと次のステップに進められるような状態にするということです。PDCAサイクルが上手くいかない理由の一つとして、次のステップに進めず止まってしまう、あるいは行き来してしまうという問題があります。このような形になると、サイトの改善を定期的に回す事が出来なくなってしまいます。次のステップに進めない理由としてもっとも多いのが、サイクルの断絶です。そこで、小川の経験を元に次のステップに進むためのポイントをまとめたのが以下の図になります。


各ステップ間にあるテキストボックス内の内容が、次のステップに進むために検討し行わないといけないプロセスになります。上記の中で重要なポイントを2つあげるとすれば「DoからCheck」及び「ActionからPlan」の遷移部分になります。この2つの間でよりプロセスが停止あるいは分断される事があります。

「DoからCheck」という部分に関しては、「行ったことの分析」より「次に行う事を検討」を優先してしまう事によって発生しがちです。そのため、ひたすら「Plan→Do」を繰り返してしまい、過去の結果がストックされなかったり、有効活用されなかったりという問題が起きてしまいます。「数打てばあたる」状態は必ずしも悪い状態ではないのですが、成果をあげていく「効率性」という意味では長期的に見ると損となってしまいます。


「ActionからPlan」の部分も軽視されがちなポイントです。行った結果まではまとめるのですが、その内容を報告しなかったり、次の施策に活用しなかったりというケースがおきやすいです。行った施策やその原因分析を行って報告するのは、次の施策の精度をあげるためです。今までの情報があれば、より「実施する必要のなかった施策」を行う事を回避したり、「施策の優先順位付け」に一躍買ったりというメリットがあります。担当者が違うと共有されにくいという課題に関しても、決まったフォーマットで報告・管理することでより利用促進が進みます。このステップもぜひ繋げてみてください。



2つの大きなPDCAサイクルを意識する

「2つの大きなPDCAサイクルを意識する」という点についても説明をいたします。今回紹介してきたPDCAサイクルはサイト改善を目指して日々行われるものです。サイトのゴールが明確であれば、行う事も非常に分かりやすく、非常に便利なサイクルです。

しかし、サイトにとっての目的・目標・優先順位は事業の売上規模・同業他社の状況・ステージによって変わってきます。このようにサイトの進むべき道に関しても経営陣を中心に常にPDCAが回されています。今の方向性は正しいのかを常に確認しながら、舵取りをしているということです。従って目的や目標などが変わった場合には、それにあわせて日々のPDCAサイクルの進め方や目的も見直す必要があるという事です。本来のビジネス上のゴールとは違う方向でPDCAサイクルを回しても評価はされませんし、より重要な仕事を実施しないということになります。定期的にビジネス上のゴールに変化が無いかを確認しながら、日々のPDCAサイクルを回していきましょう。




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