今回は株式会社ジャスネットが提供する、アクセス解析サービス「X-log」を紹介いたします。不正クリックを追跡して、ユーザーのアクセスを遮断出来る機能がウリとの事で使って見ましたが、実はそれ以外にも機能が豊富な、骨太アクセス解析ツールでした。
注意:
1)ツールの使用時間は15時間ほどです。一部の機能や設定を見逃している可能性があります。2)過去のツール紹介記事と同様「広告記事」ではありません*1
※ツールのレビューを希望される会社様・個人の方は「こちら」をご覧下さい。
X-logの概要
X-logはPCサイト向けのアクセス解析サービスです。ASP型(タグを計測対象ページに追加する)とサーバー導入型(サーバーにX-logをインストールする)がありますが、月間3億PV以上でなければ、前者で問題無いとの事です。
料金ですが、月間10,000PVで月額3,300円になります。しかし、実際にはもう少しPVがあるサイトがほとんどかと思いますので、月間10万PVで計算してみました。そうすると、月額20,900円となります。
2010/9/30までは初期費用30,000円が無料となります。他にも、モバイル分析用の初期費用、データ長期保存、そして本記事で紹介するX-Chatもお試し期間中はまとめて無料となっていました。
料金の詳細は料金プランをご覧ください。なお、今なら30日間無料お試しサービスもありますので、登録の際はこちらからどうぞ。
では、X-logの機能を紹介していきます。
実際のメニューを紹介しながら、X-logならではの5つの特徴をピックアップして紹介いたします!
基本分析
ページの基本情報をはじめ、このツール第一の特徴である「クッキー除去」と「IP変更率」の数値を見ることができます。
見てのとおり1/4以上がクッキー除去となってしまっています。つまり、他のタグ型のアクセス解析ツールをこのサイトで導入していたら、訪問者数が3割近く高めに出てきます。より正確なUU数を取得できるのが、このツールの特徴です。
★特徴1:クッキー除去とIP変更をしても同じユーザーとしてトラッキング!より正確なUU数が取得可能!
通常のタグ型アクセス解析ツールではクッキーをアクセス中、あるいはアクセス後に消されてしまうと、同じ人でも新規ユーザーとして認識されてしまいます。またIPを元にユーザーを判別しているツールでもIPが変わると同様のことがおきます。
セキュリティソフトでのクッキー削除や、自宅と会社で同じ人が同じサイトにアクセスすることから元々、アクセス解析での訪問者数は、実際より高く出るのが常です。後者は対応出来ませんが、クッキーの削除やIPの変更が行われても、同じユーザーとして認識する事が出来ます。
では「基本分析」に含まれる、5つのレポート群を紹介いたします。
訪問者分析
「訪問者・ページビュー・滞在時間・訪問回数・再訪問期間・クッキー/IP変更・直帰率」のレポートを見ることが出来ます。
訪問者レポート
「総訪問者数」というのはいわゆるセッション、そして「純訪問者数」は一日単位で重複を除いた人数(日別UU)になります。また、設定した期間でのUU数も見ることが可能です。データを見る粒度は日・週・月・曜日・時間帯別が選べ、レポート出力はPDF/Excel/Wordの3つの形式で取得することが出来ます。
流入分析
流入の内訳を一目で見られるのが「流入状況」の画面です。流入を4種類に分類し、その内訳を見ることが可能です。
集客施策ごとに流入を簡単にチェック出来ます。コンバージョンの情報に関しては残念ながらこの画面では見られず、本記事の後半で紹介する別の画面でチェックが可能です。それ以外のメニュー「直接流入・検索エンジン流入・検索語別流入・広告流入・参照サイト流入」は、上記の分類の詳細を見られる内容となっています。以下は検索エンジン流入のレポートです。
検索エンジンごとの訪問者数・ページアクセス・滞在時間の3つを確認できます。個人的に流入分析をする上で気になる、新規率・直帰率があると更に嬉しいかも。
地域/企業情報分析
「地域別訪問者状況」と「企業別訪問者状況」のレポートを見ることが出来ます。ここでは、「企業別訪問者状況」を紹介いたします。企業ごとのアクセス数が、まず一覧で表示されます。これは他のツールでも見られます。
真価を発揮するのは、企業名の横にある「詳細ビュー」を押した時です。画面で表示している、コンバージョンに関する情報以外にも、赤枠で囲っているメニューをクリックすると、企業単位で検索ワードの流入・コンバージョン・訪問端末(PC等)ごとの行動ログを見られる優れもの機能です。
不明の部分は、個人がプロバイダーを通したアクセス、あるいはIPアドレスを元に企業名が判別できなかったものが入っています。
★特徴2:企業ごと詳細分析が可能!
いくつかのアクセス解析ツールは「どの企業からアクセスがあったか?」というのを見ることが出来ます。しかし、このツールでは、企業単位での分析が可能です。どの企業から来たのがわかるだけではなく、コンバージョンしたのか、あるいは、コンバージョンしていないけど流入ワードから好みを把握したり、行動ログまで追えばサイト内に入ってからの興味も分かったりします。
コンテンツ分析
ページ単位の分析が行えるメニューです。「ページアクセス」「ページ別詳細分析」「移動経路パターン」「ページ移動分析」「内部検索語分析」「内部検索失敗」「ランディングページ分析」「離脱ページ分析」「直帰ページ分析」などのメニューがあります。まずは、「ページ別詳細」をチェックしましょう。
ページ単位の情報を見ることが出来ます。表の横にある棒グラフのアイコンをクリックすると、上部のグラフへの表示ON/OFFが切り替えられます。最大で5つまでグラフに表示することが可能です。他のツールではあまり見ない、平均ではなく累計の滞在時間が表示されています。訪問者数の順位が変わっているのに注目です。ページの評価を、訪問者数ではなく、累計滞在時間で考えて見ると、新しい知見が得られるのではないでしょうか。
詳細分析
ここでは「接続者管理」「不正クリック追跡」「重要成果指標(KPI)」と特徴的なメニューが並びます。それぞれ説明いたします。
接続者管理
この中には「現在接続者リスト」「遮断ユーザーリスト」「IP統計ビュー」の3つのレポートがあります。「現在接続者リスト」は、現在サイトを訪れている人(IP単位)の、アクセス状況をチェックする事が出来ます。
小さくて見えにくいのですが、左上の「3秒」「5秒」と書かれている部分が、それぞれ1ページごとの滞在時間を表しています。クリックすると、見ているページが表示されます。またアクセスしている人をリアルタイムでアクセスを遮断する事も出来ます。
残り二つの「遮断ユーザーリスト」は遮断されているIPの確認(該当IPが変わっても追いかけて遮断を続けることが出来ます)。「IP統計ビュー」は、IPごとのアクセス情報(流入数・OvertureやAdwordsのクリック数など)を見ることが出来ます。
次にこのツールの最大の特徴とも言える「不正クリック追跡」のメニューです。
不正クリック追跡
「不正クリック」を間単に説明すると、「同一人物が、意図的に広告を何回もクリックしてサイト側に金銭的被害を発生させるクリック」と言えます。また、アービトラージサイトなども不正クリックの一種です。
同じ人が複数回リスティング広告などをクリックしてサイトに入ってくると、それだけでお金の無駄になってしまいます。ましてや繰り返し行うような悪質なもの対しては対策が必要です。今まではそれをサイト側で検知する事がほとんど出来ませんでした。
しかしX-logを使って対策を打つことが可能です。X-logのデータから、IPごとの広告クリック数や頻繁なIP変更などを見て、怪しい!と思ったら、そのIPに対して3段階の警告を出すことが可能です。
3つの警告画面をご覧ください。
警告が何回発生したか、そして警告画面からお気に入りに追加されたか?という情報を「お気に入り誘導率」というレポートで見ることが出来ます。
他にも、該当IPの広告からのアクセスのみを遮断、怪しい訪問者に印をつけておくといった、細かい設定かも可能です。
★特徴3:不正クリックに対するリアルタイム対応
リアルタイムでのアクセス遮断や、不正クリックで不利益をこうむるアクセスに対処出来るアクセス解析ツールはX-logだけです。自社にとって無駄なコストを抑えてくれるかも知れません。
不正クリックは手動で検知して対応する必要があるので、時間が取れない方はX-logを提供しているジャスネット社に代行して貰う事が可能です。不正クリックによる検索エンジン側からの払い戻しの50%を成功報酬として支払いする形になるので、払い戻しが無ければ実質0円で使えるサービスです。
では、「詳細分析」の最後の項目「重要成果指標(KPI)」のレポートを見て見ましょう。
広告効果測定
内部及び外部の広告効果を測定することが可能です。外部流入を「直接流入」「検索エンジン(及び検索語)流入」「広告流入」「参照サイト流入」に分類し、さまざまな指標を見ることが出来ます。そして、流入施策ごとに様々なレポートを見ることが出来ます。
その中から、「残存率」の紹介いたします。このツールでの残存率の定義は、「新規訪問のうち、特定の期間で再訪問した割合」を差します。これを使って、流入施策ごとの「リピーターにさせた度合い」というのもチェックする事が可能。これも他のアクセス解析ツールではあまり見たことが無い機能です。以下の例ですと、GoogleのほうがYahoo!より残存率が高いことがわかります。
Google.co.jpでは、訪問のうち、54.05%が30日以内に再訪問している事がわかりますが、yahoo.co.jpではわずか27.95%です。このように違った観点から、流入元を評価する事が可能です。
購買分析
このメニューも非常に盛り沢山です。購買・会員・商品の3つの分析が可能です。それぞれ1つずつ確認しましょう。
購買状況
三つのメニューから構成されています(左記参照)
「購買状況」は、属性ごとの購買者情報を見ることが出来ます。地域・企業・会員の有無・年齢・男女などです。地域と企業以外は、計測タグに変数として値をセットしている場合にのみ計測する事が可能です。
「ショッピングカート分析」は名前のとおり、ショッピングカートに関するレポート群です。こちらも変数をセットすると、「カート内商品数」「注文あたりの平均商品数」といった情報を見ることが出来ます。
「購買段階分析」は、変数の取得により、ショッピングカートに追加した数→情報入力をした数→決済完了した数、というのを流入元や地域・企業別に見ることが出来ます。どこでドロップアウトしているか?という分析を細かく行うことが可能です。
会員分析
「会員登録状況」「会員購買分析」「会員/登録段階分析」の3つがあります。今回の分析例では会員を取得していないためレポートをお見せする事が出来ないのですが、会員の登録数と属性、会員の購買状況(購入が多い人たちのランキングなど)、どの経路で会員に登録をしたか?というレポート群を見ることが出来ます。
X-chat
最後に紹介するのが、X-Chatというサイトを訪れている人と対話できる機能です。サイトに訪れた人のブラウザーの右上にチャットウィンドウが表示されます。それほど目立たないので、アクセスしていても気になりません。
ここで、ユーザーからあるいは管理者から会話を始めること事が出来ます。サイトの管理者からサポートを助けたい場合、商品やサービスについてユーザーから質問をしたい。といったケースに利用する事が出来ます。
チャットウィンドウが表示される時間帯をツール上からすることも出来るので、退社している時間は表示しないといった対応も必要です*4。
実際に動いているところを見ていただいたほうがわかりやすいかと思いますので、wmvファイル及びYoutubeを貼っておきます。
ファイル(.wmv形式)
日本では中々馴染みがない機能ですが、米国では他にWoopraが同様の機能を提供しております。しかし、日本で発売されているアクセス解析ツールでこの機能が実装されたのは初めてかと思います(違ったらごめんなさい)。話しかけられると返って怖いと感じてしまう人も多いと思うので、まだ使えるシーンは限られていますが、製品のサポートサイトや、社内で運用している、社員専用のアクセス解析ツールのポータルサイトなどでは使えると思います。
★特徴5:サイトに訪れている人とリアルタイムチャット
ユーザーに答えをサイト内で見つけてもらうのではなく、対話で答えを伝えたり、案内をしてあげたりする事でユーザーに満足してもらうための機能です。
まとめ
X-logを紹介してきました。アクセス解析ツールとしての特徴、不正クリック対応やチャットといった周辺機能の特徴、両方とも他ツールの「負」の解消、あるいは、よりサイトオーナーとユーザーの満足度を上げよう!というチャレンジをしているツールである事を感じました。
変数を取得して会員・製品・購入分析などが行えるようになると、X-logの価値が発揮出来るのではないでしょうか。見られるレポートや視点も豊富ですし、懐が広いツールでした。
もし要望があるとすれば、ダッシュボード機能の充実・レポートのメール配信機能・他のアクセス解析ツールと用語が若干違うため、レポートの下部に用語の意味を書いておいて欲しい*5などでしょうか。
今回紹介した5つの機能のどれかが気になったら、X-log30日間 無料お試しサービス
もありますので、使ってみてはいかがでしょうか?
5つの特徴
特徴1:クッキー除去とIP変更をしても同じユーザーとしてトラッキング!より正確なUU数が取得可能
特徴2:企業ごと詳細分析が可能
特徴3:不正クリックに対するリアルタイム対応
特徴4:変数を設定することにより、購買・会員・商品の分析が可能
特徴5:サイトに訪れている人とリアルタイムチャット
★「リアルアクセス解析」では様々なアクセス解析及び周辺ツールをレビューさせていただいております。レビューを希望される企業様がいらっしゃいましたら、「ツールレビューに関して」という記事をご覧の上、ご連絡ください。