アクセス解析を社内に浸透させる 『「発信」と「吸収」のサイクル』

アクセス解析を社内に浸透させるために、社内で数年取り組んできました。今日は、浸透させるための考え方を紹介いたします。


発信と吸収のサイクルとは


ユーザ=利用者 管理T=アクセス解析のサポートをしている部隊(私が所属している部隊)


ユーザーに対してアクセス解析を浸透するためには、情報を発信する必要があります。しかし、発信をするために吸収が必要です。


吸収出来る内容は様々です。ユーザーからの問い合わせ・ツールが重いあるいはログイン出来ないといったクレーム・分析手法に関する相談などもあります。自分が勤めている会社では、使い方に関する問い合わせだけでも、月間100以上の問い合わせがあります。また私が所属している管理T(管理チーム)が発信しないといけない情報も多様です。質問に対する解凍、メンテナンスなどの連絡、運用上お願いしないといけない事、導入や分析の手法、過去の傷害事例などなど。伝える情報が沢山あります。


吸収があって発信があり、発信をする事によって新たな吸収を得るというサイクルを回すことが大切です。
ユーザーは生徒ではありません。共に学んで成長しましょう。


発信と吸収の場(チャネル)を複数持つ


発信と吸収を行う場(チャネル)をなるべく多く用意してあげる事が大切です。

  • ユーザーへのお願い事をオンラインに掲載しておく
  • よくある問い合わせをメールで聞く
  • 操作の説明を一人一人に個別で教える
  • メールでの問い合わせで情報不足から何度もやりとりが発生してしまう


どの方法も非効率的です。

  • ユーザーへのお願い事をオンラインに掲載しておく → オフラインであってお願いをする
  • よくある問い合わせをメールで聞く → ヘルプページあるいはオンラインポータルを利用してもらう
  • 操作の説明を一人一人に個別で教える → 集合の社内勉強会を実施する
  • メールでの問い合わせで情報不足から何度もやりとりが発生してしまう → 入力必須項目を用意した問い合わせフォームを用意する


このように、受け取る内容(吸収)そして伝えたい内容(発信)によって、使うチャネルを最適化するべきです。必要な時に必要な手法が用意されている。これによって、ユーザーのモチベーション低下が避けられます。


もし可能であれば、複数のチャネルを用意し、それぞれの特徴をまとめておくと良いでしょう。「時間的な制約のあり/なし」「お願い事をする」「問いあわせを受ける」「役立つ情報を伝える」「悪い情報を伝える」「お願い事を守ってもらう」「管理側のかかる工数」「誰がそのチャネルを利用するか」こういった物に対して、各チャネルをプロットしておく事によって、コミュニケーションマトリックスを作成する事が出来ます。


チャネルは効率性と継続性を意識(しつつも、必要であれば効率悪いことも行う)

チャネルを複数用意して、その運用を開始すると、最初はなんとかなるものの、段々続けることが苦痛になります。チャネルが有効かどうかは、まずは「効率性」を考えましょう。


例えば、問いあわせシステムを使えば、質問のフォーマットが統一され、「どういう問い合わせがどこから来ているか?」「よくある質問は?」を分析する事が出来、そこで回答した内容を元にFAQ集を作って配布する事により、問い合わせ工数が削減出来るようになります。しかし、利用者が10人しかいないのであれば、問い合わせシステムは運用とコストの観点からあまりオススメ出来ません。


また、勉強会なども最初の準備(コンテンツ作成等)には時間がかかりますが、一度作ってしまえば、同時に大勢を教えられる効率が良いチャネルになります。


効率性が無いものは継続をする事が難しいです。しかし、効率性だけで決めてはいけません。強力あるいは代替不可能な吸収や発信をチャネルがあれば、効率が悪くても、そのチャネルを生かしておくべきです。


例えば、サイトのアクセス解析ツール利用者と毎週打ち合わせをするのへ、効率が悪いかもしれません。しかし、ユーザーからの質問だけでは見えてこない、質問の背景や実際にどういう風にデータを活用しているか、という情報はここでしか得られません。打ち合わせは非効率的と言いましたが、操作説明などはメールや電話で説明するより、打ち合わせで画面を見せながら操作をしたほうが、よっぽと伝わりますし、効率的です。


発信と吸収のサイクルをさらに広げていく


発信と吸収のサイクルを回すために、チャネルを複数用意するという話をしてきました。では、これを更に広げるためには何が出来るでしょうか?私が思いついたのは3つです。

  • ユーザー間での発信と吸収を促進させるチャネルを作成する
  • 発信・吸収のチャネルを増やす(社外・インターネット等)
  • 管理側の発信者を増やす(SEOやリスティング・サイト内導線の担当の方などを巻き込む)


このようにループを増やしたり、チャネルを増やしたり、発信者を増やしたりする事で、浸透はどんどん進んで行きます。常に新しい発信と吸収を見つけにいきましょう。もちろんそのためには、効率性をあげて時間を確保する事が大切です。



今回は具体的なチャネルの説明やその中での具体的なTIPS(勉強会のアンケートは出席確認もかねて集計されて出てくるGoogleDocsを使う等)に関しては、話が出来ませんでしたが、いずれセミナーやこのブログで紹介をしたいと思います。



アクセス解析ツールそのものは誰が使っても一緒です。GoogleAnalyticsというツールは多くの会社で使われていますし、大規模な会社ではVisionalistやSiteCatalystなどが使われている事でしょう。ツールは一緒の中で、浸透がどれくらい会社の中で行われているか?が競合との優位性になります。ぜひ、このようなサイクルを社内で作り、アクセス解析の浸透をはかってみてください。