「FormAnalytics」レビュー:無料で初められるエントリーフォーム最適化(EFO)

アクセス解析で、サイトの分析を行っていると、資料請求や会員登録等の入力ページからの遷移が悪いことが非常に多いです。8割以上の人が離脱もザラです。しかし、アクセス解析ツールだけでは「フォームの中身のどこが悪いのか?」「ユーザーはフォームをどこまで入力しているのか」「どの項目で良く入力エラーがでるか」という情報はわかりません。そこで登場するのが、フォームを分析するために作られているツール「エントリーフォーム最適化ツール(以下、EFOツール)」です。


本ブログはアクセス解析のブログですが、サイト分析と改善という点でEFOは非常に重要なツールなので、無料プランでもEFOが実現出来る「FormAnalytics」というツールを紹介します。

注意:
1)ツールの使用時間は6時間程です。一部の機能や設定を見逃している可能性があります。
2)無料版+サンプルデータを利用しているため、有料機能に関しては全て利用しておりません。
2)過去のツール紹介記事と同様「広告記事」ではありません。

概要

このツールベースキャンプ株式会社という会社が提供しているツールで、月500PV/100ユーザーまでなら無料で利用する事が可能です。より大きな規模・複数STEP画面対応・フォームのABテスト実施等を利用したい場合は、有料プランが用意されています。料金表はこちらまた、現在(2010/03/04時点)「無料フォーム診断申し込み」のサービスを実施中です。分析したいフォームに計測用のタグを入れて頂くだけで、1ヶ月間計測された後に、分析レポートが送られてきます。


FormAnalyticsの設定方法

では、設定方法を紹介いたします。3STEPで、私は10分程であっという間に設定が完了しました。

1.会員登録

まずはメールアドレスを登録してアカウントを作成しましょう。そうすると、仮登録メールが送られてくるので、そのURLをクリックして本登録を完了しましょう。

2.フォームの追加

次のフォームの追加を行います。
フォーム名・プラン・フォームの種類の3つを選択します。



そして追加を押すと、フォームが登録されます*1


3.計測タグの追加

次に計測用のタグを発行します。次の入力画面で、計測対象のURLと、該当ページのソースを丸ごとコピーして入力欄に追加します。
そうすると計測用のタグが発行されますので、入力ページと完了ページに、それぞれタグを追加しましょう。これで完了です。


後は実際にユーザーがフォームにアクセスをしてくれるのを待ちましょう。


集計結果

フォーム一覧の画面から「レポート」を選択すると、集計結果を見る事が出来ます*2

サマリーレポート

日ごとの離脱率、そして該当期間の、UU・離脱UU・コンバージョンUU・離脱率・離脱PV・コンバージョンPVが表示されます。PVだけではなくUU単位で見られるのが便利です。

他にも離脱ユーザーとコンバージョンユーザーそれぞれのブラウザ・ブラウザ平均サイズの情報を見る事が可能です。


まずは、この画面でトレンドを把握しましょう。何かしら集客施策を行った時など、普段と違う流入がある場合に、フォームの離脱率は変化しやすいです。例えば懸賞サイトなどで告知した場合は、ポイントやプレゼント目当てで、離脱率が低くなる、などがあります。


このサマリーはアクセス解析ツールなどでも取得出来ますが、これ以降のレポートはEFOならではのレポート群になります。


ユーザー平均のレポート

ここでは全体・コンバージョンユーザー・非コンバージョンユーザーの「入力項目数・修正回数・エラー回数・総入力時間」を見る事が出来ます。コンバージョンと非コンバージョンをくらべてみると大きな違いがあります。


見ての通り、コンバージョンユーザーの方が全ての数値が高いです。フォームを改善するためには「修正回数」や「エラー回数」を減らして、エラーによる離脱を防ぎたいところです。なお、「修正回数」は再入力を繰り返した回数、エラー回数は項目単位でエラーがでた回数になります。


項目別詳細(リスト)レポート

このレポートは入力項目単位での情報を見る事が出来ます。また、こちらの数値もコンバージョンユーザーと非コンバージョンユーザーの比較が出来ます。得られる項目は以下のとおりです。


(横長なので下の画像に続く)


では、それぞれの項目の説明をいたします。

FID
入力項目番号。上から順番に昇順でふられています。


name値
フォームで設定されているnameの値です。通常は入力項目を判別出来る名称が、フォームを作る側が設定しています


入力率(高い=GOOD!)
入力UU÷フォームに訪れた人のUUという事で、該当項目を入力した比率をあらわしています。


非入力率(高い=BAD!)
入力していない人ですね。100%-入力率


最終入力者率(最後の項目が高い=GOOD!)
入力項目で最後に記述した項目です。通常は上から順に入力していくので、最後の項目が一番多くなるかと思いがちですが、エラーが出て修正した後にフォーム入力が完了した場合はその項目が多くなります(=エラーになり易い項目)。また、途中で離脱が多い場合は、その項目(あるいはその次の項目)の入力が面倒あるいは分からないため離脱した可能性もあります。


エラー表示率(高い=BAD!)
エラーUU÷入力UUという事で、エラーが該当項目で表示された割合が表示されています。高い項目がある場合、真っ先にフォーム修正を行いたいところです。パスワード等での入力制限の記述、必須の部分を目立するようにする…などなどです。


平均エラー回数(高い=BAD!)
項目を入力したユーザーあたりに表示されるエラー回数です。1以上の場合は複数回入力を間違えていることになるので、要対策項目になります。


送信時エラー率(高い=BAD!)
送信時エラー回数÷送信回数。送信時にエラーの状態で送られている率をさします。つまり注意が出たにも関わらず、送信ボタンを押してしまった場合をさし、エラーメッセージにユーザーが気付いていない可能性があるため、視認性をあげる必要があります。


修正者率(高い=BAD!)
項目に対して、修正を行ったUUがどれくらいあったかを示します。こちらも低いに越したことは無い数字で、平均エラー回数と連動している可能性が高いです。


平均フォーカス回数(高い=BAD!)
 ユーザーが入力ボックスを選択あるいは入力した回数です。エラー回数と連動しますが、平均フォーカス回数がエラー回数より極端に低い場合、修正しないで送信したり、エラーが出て諦めたりしている可能性があります。


平均入力回数(高い=BAD!)
 ユーザーが入力ボックスを選択しただけではなく入力した平均回数です。平均フォーカス回数との差分が、選択をしたけど入力をしていない率を表します。


平均入力時間
項目を入力するのにかかった時間です。こちらは、ユーザーが実際に、テキストボックス内で、テキストをキーボードなどで打って入力している時間です。平均入力時間は、入力したユーザー数をユーザーの総入力時間で割っています。



このように入力項目単位で多種多様なデータが出てきます。項目数が多すぎてどれを見れば良いかわからない?という場合は、私自身は以下の3つの項目をまず見てみることをオススメします。


入力率
エラー表示者率
平均エラー回数


入力率を上げ、エラー表示者率と平均エラー回数を下げるために、フォームをいろいろいじってみましょう。他の数値も自然に良い方向に変わってくると思います。


項目別詳細(プレビュー)

出力される内容は「項目別詳細(リスト)」と一緒ですが、表で見るのではなく、実際のフォームの入力項目をクリックしてデータを見ます。一覧性を取る場合はリストのレポート、フォームのレイアウトやイメージを見ながら、効果を判定したい場合は、プレビューのレポートを使いましょう。

最初にレポートで見て、特に課題となる項目をプレビューで見てみると、フォームの課題が見つかりやすいかと思います。


ステップ別詳細

無料プランでは1ステップ(入力⇒完了)までしか見られないので、それ程参考にはなりませんが、複数のステップがあるフォーム(入力1⇒入力2⇒完了など)がある場合は、各ステップの遷移率などを見る事が出来ます。どのステップでユーザーが離脱しているかの参考になります。

ユーザー入力プレビュー

最後に紹介する機能です。こちらの機能は最上位プラン(25,200円/月)でしか使えないのですが、ユーザー単位で実際にどのように項目を入力していったかを、動画で見る事が出来ます。
どこでつまずいているのか、マウスの軌跡はどうなっているのか、どういうエラーが出たのか?全て見る事が出来ます。


実際に動画を見ることも出来ます。http://jp.form-analytics.com/sample/report/にアクセスした後に、以下URLをアクセスすると確認する事が出来ます。
http://jp.form-analytics.com/html/showhtml/pattern/a/step/1/stepview/1/viewer/811273ddfae327222f07d312f36dc580_1267101477.3606/type/preview


使い方

ここまでがツールの紹介です。アクセス解析ツール等では取得出来ないデータが沢山あり早速使ってみたい!と思っているかも知れません。
しかし、こういったツールを使ってEFOを行うためには、ただデータを見て感心しているだけでは改善に繋がりません。以下のようなプロセスを繰り返し行うことが大切です。

FormAnalyticsを使って課題を見つける

フォームに修正を入れる(修正内容を記録しておく。スクリーンショットを忘れずに取っておこう)

テストを行う(有料プランを使ってA/Bテストで同時テストも可能)

データが溜まるのを待つ(最低100UUくらいは欲しいところです)

修正前後と結果を比較し、次の改善策を考える


課題となる項目を見つけて、改善案を繰り返しテストして見る事が大切です。


EFOを使う上でのもう一つの注意点ですが、EFOだけに頼らないように気を付けましょう。フォームそのものが問題の場合もありますが、フォームへ連れてくる以前の問題も潜んでいることがほとんどです。


例えば、前のページでフォームに遷移しようと思っていない人がフォームに遷移していたり、前ページでフォーム入力の目的などが説明されていなかったり、サイト外部からいきなり入力フォームに飛んできたり。。。入力する動機づけを行っていないと、フォームを見るだけで離脱してしまいます。


こうなるとEFOを使う以前の問題の方が大きくなってしまいます。アクセス解析ツールとセットで課題を見つけるようにしましょう。


FormAnalyticsを使ってみた感想

EFOで無料でもここまでの分析が出来ることに驚きました。EFOツールってもっと手間がかかって、使いづらい物だと思っていましたが、タグを入れるだけで計測開始が出来るし、取得出来る項目も豊富です。またインターフェースも分かりやすく使いやすい物になっています。


今までEFO最適化ツールを使って事がない人は、まず無料版でも良いのでぜひぜひ試して欲しいです!今まで気付かなかったフォームの穴が見つかると思います。利用してみた上で、もう少し大きいPV規模でEFOを行いたい、除外設定やABテストなども行いたいと思ったら、有料版を試してみてください。


改めて、こういったツールが無料から簡単に使えるというのは、サイト改善にとって非常に強力なツールだと思います。良い時代になりましたね(笑)個人的な無茶なお願いとしては、他のアクセス解析ツールと連携をして、キーワード・新規/リピート・特定のページを閲覧した人という単位でセグメンテーション出来たらさらに便利になるのではと思いました。これからの発展に期待!です。


FormAnalytics
無料フォーム診断も受付中!

*1:PVとユーザーの上限の中であれば、無料プランでも複数のフォーム作成が可能です。

*2:私が設置したフォームではサンプル数が少ないため、ここからのデータは用意されているサンプルレポートを使って説明をいたします。自分のフォームでも集計結果が出ることは確認済みです。