前回の記事でアクセス解析の分類と「ダブルタギング」の話を書きました。今回はアクセス解析をいつ変えるべきか?というお話です。
注:本記事はSeven Reasons to Switch Web Analytics Toolsを元に項目の変更を行い、自分の意見を追加して書いています。
上記の記事では「アクセス解析を変えるべき7つの状況」という内容で記事が書かれています。元記事に出てくる7つの状況は「よくある状況で変えたくなるけど、本当は変えていけない状況」というジョークだったりします(笑)。まずはその7つの項目を本来の意味である、「変えてはいけない状況」として紹介いたします。
変更してはいけない7つの状況(元記事より意訳)
下記のような状況でアクセス解析サービスは変えないようにしましょう。
1.誰かが大昔にそのツールを導入し仕様がわからない。いくつかのレポートを見てみたが意味がわからないし、たぶん何かおかしいのだろう。
2.毎年コストばかりかかっている。GoogleとかYahoo!から無料のが出てるからそっちを使うよ。
3.このツールは、無料で大した情報が見られない。ただ程怖い物はないね。
4.導入するべきツールを4ヶ月かけて精査し最適の物を選んだ。3ヶ月間で料金の交渉、2ヶ月で決裁をとり、6ヶ月かけて導入をしたら、ツールをほしがっていた人達に提供しようとしたら、彼らは既に転職していた
5.サイトを大きくリニューアルして、CMSを導入するんだ。だから過去の数値とか見ても意味ないし、心機一転新しいツールを入れよう。
6.アクセス解析のログをいろいろな軸で分解し、オフラインのデータも紐づけて分析しようと8ヶ月頑張ったが、上手くいかなくて嫌になった。
7.サイトのゴールや目的がよく分からず、とりあえず何かにすがるために数値を出している。問題把握や解決のために使われていない。
おまけ)サイトで大切なのは売上とコスト。直帰率・CPA・CVR・SEO・SEM・遷移率とかよくわからん。ビジネスに使えるツールが必要なんだ。
これらの問題はツールを変えても解決しません。アクセス解析サービスは、特異点を見つけたり、トレンドを見せてくれたりしますが、何故それが起きたかは説明してくれません。そして、表示されるデータをどう活用すればいいかも教えてくれません。それを探し出すには解析をする必要があるのです。ただデータを見ていても何も得られる物はありません。
上記の問題の多くは、ツール側に問題があるのではなく、体制や最低限の整備ができていないことに問題があります。このような状態で変更を行うと、一時的には上手くいくかもしれませんが、また2年後には同じ状態になってしまいます。
地道かつ大変ですが、タグの精査・マニュアルの確認・ツールの理解・サイトのゴールの再設定・分析項目の設定などを改めて行いましょう。新しいツールに変えても、これらプロセスを行わないと、また同じような状態になってしまいます。
では、どういう時にアクセス解析サービスの変更が必要なのでしょうか?私なりに変更を検討してもよいケースを考えてみました。以下、その7つの状況を紹介します。
変更するべき7つの状況
下記のような状況の場合は、アクセス解析サービスの変更を検討しましょう。
1.月間5億PVあるせいか、とにかくツールのレスポンスが遅くて業務にならないし、ログインをする気にもならない
2.今のアクセス解析の機能を使いこなしていて、それ以上の分析が出来ないため、生データを頑張って分析しているが、工数がかなりかかる
3.新しいツールのエキスパートが入社してきた!または今のツールを使いこなせる人が転職してしまった。しかもその人の知見が残っていない
4.ベンダーに問い合わせをしても返事がものすごく遅い。利用人数が多いため問い合わせも月100件くらい来ているが、未処理件数がどんどん増えていき、ユーザーが諦めて使わなくなっている
5.月間30万円払っているが、PVとUUと流入検索ワードくらいしか週1に見ていない
6.10サイトあるが、合計で5種類のツールがばらばらに使われている。コストもかかるし、教育も出来ない。
7.会社独自のアクセス解析サービスを開発し運用をしている
大切なのはアクセス解析サービスは使って貰うために存在するという事です。使わなくなる阻害要因が大きく、原因がサービス側にあり解決が見込めないのであれば(1. 2. 4.の場合)は変更を検討しましょう。3.はちょっと特殊なケースですが、良い道具があっても、良い職人がいないと使いこなせないというケースもあるので、ツールより使う人を優先させるという意味では同じです。
5. や6. の項目はコスト面からということで、今までの説明とはまた違う軸になります。5.に関しては「改めて検討をし本当に必要ないなら」無料のツールなどの置き換えてしまってもよいかと思います。6.は避けたいケースですね。一時的な不便さはあっても、多くても二つくらいのツールに絞る事を考えた方が、全社のコストが下がり、最終的なパフォーマンスはあがるかと思います。
7. の項目は「餅は餅屋」のことわざの通り、アクセス解析サービスベンダーが作るツールは非常に優秀です。よっぽど特殊な要件ではない限り、餅屋が作った物を使った方が使いやすく、運用コストも含めると結果的に安い場合が多いです。
どのツールを使うにせよ、大切なのは「使う人」そして「使ってもらえる環境」である事を忘れないでくださいね。