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ウェブアナリストが考える「分析」をしなくても良い4つのシチュエーション

小ネタ

普段は、ウェブアナリストとして社内や講演で分析の必要性や、改善のためのPDCAサイクルを回すことの大切さなどをお話していますが、分析は「どのサイトでも、常に実行しないといけない」というものではありません。そこで、分析をしなくても良い4つのシチェーションを紹介したいと思います。逆にこのシチュエーションで分析をしている場合は、多分手を止めて考えてみたほうが良いです。


「その分析は本当に必要なのか」と。



シチュエーション1: アクセス数が少ないサイト

アクセス数が少ないサイトは、コンテンツの作成や集客に時間を使うべきです。その理由としては、アクセス数が少ないサイトではデータを見ても判断を誤ってしまう可能性があるからです。流入が10件しかない記事の直帰率が90%だったり、流入が5件のキーワードの内2件でコンバージョン率40%といった極端な数値が出てしまいます。またボリュームが少ないため、改善施策を行ったとしてもその改善効果はコンバージョンや売上で見ると微々たるものになります。アクセス数が少ないサイトにとって、分析は必要ありません。利用者が少ないサービスやアプリも一緒です。


では、どれくらいのアクセス数があれば必要なのか?明確な答えはありませんが、筆者の今までの経験から、少なくとも月数千アクセス(月数十件のコンバージョン)は無いと、精度や手間という観点から分析は割に合いません。


シチュエーション2: 目標が設定されていないサイト

アクセス解析には主に「課題発見」と「モニタリング」という2つの役割があります。前者はデータからサイトの悪いところ・良いところ・トレンドを発見し、そこで得られた事実を元に施策を考えるという手法。後者はサイトとしての効果や価値を計測し、現状を把握するというものです。どちらのケースでも「目標設定が行われている」ことが前提になります。目標が設定されていないサイトは、改善へのモチベーションも低くなりますし、評価を行なうのも難しいです。


目標が設定されていないサイトに関しては、まず目標を決め、その目標が取得出来るようにアクセス解析ツールで設定を行ってから分析をしましょう。目標が設定されていないサイトにとって、分析は意味がありません。また、目標は気軽に決めるようなものではありません。その数値にコミットするという事を前提に、議論して意図をもって決める必要があります。



シチェーション3: 分析を施策に繋げられない組織

アクセス解析は目標達成に貢献するためのツールです。そのためにはデータを元に施策を考えて行う必要があります。ただデータを見ているだけ、レポートを作っているだけでは売上は上がらないし、人件費ばかりかかってしまいます。また、分析をしなくても施策は行えます。しかし分析を行なうことで施策の精度や回数を増やすことが出来ます。しかし、この事実も分析を施策に活かせなければ意味がありません。


では、「分析を施策に繋げられる」というのはどういう状態のことを言うのでしょうか。一言で言うと、「分析者やレポート集計者が結果を元に、施策を考えて提案出来る」という事が最も大切にあります。データを見ている人だけがデータを元に施策を提案できます。数値を出したり、レポートを作成したりするのに時間を使うのではなく、施策の提案(あるいは時には実行)に時間を使いましょう。分析を施策に繋げられない組織では、分析は必要ありません。また、「施策を評価する」という事も同じくらい大切です。作って実施して終わりではなく、実施前に改善目標を決めて、その結果を確認するということです。

改善とPDCAに関しては、以下の記事もあわせてご覧いただければ。

施策と分析の順番 及び PDCAサイクルに関するお話

シチェーション4: 「利用者」ではなく「分析」を先に考えてしまう組織

分析から施策は生まれません。いくら分析をしても分かるのはそこから得られた事実のみです。データや分析によって施策の精度(=成功率や予測)を上げられるのは間違いありません。しかし、最終的に大切なのは「施策そのものを考えられるか」という事になります。そのためには利用者そして施策の理解が必要です。利用者の事を理解出来るのは、データだけではありません。むしろそれ以外で得られる情報のほうが大きいです。ユーザーインタビュー・アンケート・モックテスト・レビューなど様々な方法があります。そして施策は、自社の他のサイトや同業他社のサイト・サービスなどを(考えながら)利用する事で見つかっていきます。そして施策をストック出来るように慣れば、後は組み合わせたり、応用したりという事が出来るようになります。


「利用者」ではなく「分析を」先に考えてしまう組織や個人は、分析の時間を減らして、ユーザーや施策の理解に時間を使ってみるのはどうでしょうか。利用者や施策を理解すればするほど、分析する際に見るポイントも明確にでき、結果的に分析の精度を上げることが出来るようになります。一番良くないのは、なんとなくデータを眺めている事です。



最後に

4つのシチュエーションを紹介してきました。他にもあるかもしれません。大切なのは「解析」は目的ではなく、ビジネスゴールを達成するための手段であるという事です。私も分析に夢中になってしまったり、表やグラフに時間を使ってしまったりします。しかし、そのような内容をサービスの担当者に持っていっても、最初に聞かれるのは(思われるのは)「それで?」ということです。集計や分析の先にあるものを如何に考えて増やしていけるか。そこがウェブアナリストとしてもっとも大切な価値なのではないでしょうか。




…と、割とまじめに書いてしまいましたが、「成果に繋がったほうが分析も楽しいし、価値あるよね!」という話でした。


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