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ソシャゲ分析講座 基本編(その6):ソシャゲの「4つのステージとKPI」を理解する

分析手法

最近は業務で、ソーシャルゲームの分析&改善施策の提案を行っています。そこで、本ブログではミニ連載という形で、ソーシャルゲームの分析手法について紹介をしていきます。基本編は8回程度を予定しており、好評であれば応用編も書きます。第6回は「ソシャゲのサービスにおける4つのステージとKPI」に関してです。

■過去の連載記事
ソシャゲ分析講座 基本編(その1):「売上の方程式」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その2):「DAU」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その3):「継続率」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その4):「スペンド率」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その5):「ARPPU」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その6):「4つのステージとKPI」を理解する
ソシャゲ分析講座 基本編(その7):「イベントの分析」を理解する(前編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その8):「イベントの分析」を理解する(後編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その9):「カード」と「ガチャ」を理解する(前編)
ソシャゲ分析講座 基本編(その10):「カード」と「ガチャ」を理解する(後編)


Amebaのソーシャルゲーム「ボーイフレンド(仮)

サービスの4つのステージと5つのシナリオ


上記がソーシャルゲームにおける、規模と時間の関係を表した図になります。規模は売上を目的としているサービスであれば売上と置き換えていただいても問題ありません。

そして、この図は4つのフェーズジに分かれています。それぞれを簡単に紹介いたします。

「リリース」フェーズ

サービスをリリースした直後。リリースから約1〜2ヶ月くらいの時期です。大半のサービスは、このタイミングで上手くいくか、いかないかを(なんとなく)見極めることが出来ます。また、リリース時にどれくらいプロモーションをかけるか あるいは プラットフォームからの集客があるかによって、集まる人が大きく変わってきます。このタイミングでは明らかにダメな状態になっていないかを確認する事が大切です。

「初期」フェーズ

リリースしてから2ヶ月〜6ヶ月くらいの時期です。このタイミングで、サービスを継続するのかクローズに向かうのかを判断される事が多いです。今後も伸びる余地があるのか、あるいはそもそも全く伸びていないのか。売上は伸びていなくても、他の指標(後述)が良いので、改めてプロモーションをかけるのかなどが議論に上がります。はじめてクローズするか否かを判断されるフェーズになります*1

「中期」フェーズ

リリースしてから6ヶ月〜1年半くらいの時期です。クローズする判断をされたサービスの場合はサービスが終了している時期になります。また、継続すると判断されたサービスに関しても2つの方向性が見えてきます。中期の間も順調に売上を伸ばし続けるというパターン。あるいはサービスとして伸び悩むというパターン。前者は全く問題ないのですが、後者に関しては、その後に伸びの鈍化(あるいは横ばいOR売上ダウン)のトレンドを止めて、再度上昇気流にのせられるかがポイントとなります。集客の強化というよりは、サービスの遊び方の見直しや、大きな機能追加や変更等が迫られる時期です。

「後期」フェーズ

リリースしてから1年半以上のサービスになります。ここまで来るサービス自体が非常に限られています。このフェーズに入ると起きる事は3つ。1つは引き続き伸ばし続けるという稀有な例。今出ているソシャゲの中でも数えるほどしかないでしょう。次に中期と同じように、また売上が鈍化するというパターン。この場合は継続的な改善がやはり必要になってきますし、場合によってはリニューアルをして勝負をかけるという判断も入ります。最後に売上がずっと落ち続けるというパターンです。ある程度の売上規模を持っているので、すぐにクローズにはならないのですが、改善が難しいという判断をされて、最低限の運用の中で、少しでも縮小をおさえるというパターンになります。



そして、この図に基づいて引いてある線が、私の方で用意した一般的な5つのサービスが辿るシナリオになります。これ以外のパターンもありえますし、3年以上の情報は非常に限られているため、その先に関しては正直わかりません。

シナリオ1:すぐにクローズ

サービスをリリースして半年〜1年以内にクローズしてしまうパターンです。最初から鳴かず飛ばず、あるいは最初は集客によって売上を作れたものの、その後に売上が伸びず人も離脱してしまい、リカバリーは難しいという判断の元、終了という流れです。半分以上のサービスは(残念ながら)ここに該当してしまいます。

シナリオ2:最初は盛り上がるものの、維持出来ない

サービスリリース当初は売上を作ることが出来、数ヶ月は上昇あるいは横ばいで推移していたが、集客を止めた途端 あるいは 最初の勢いが終わった途端に売上が下がり、伸ばすことが出来ないというパターンです。好調の兆しは見えたものの、利用者に継続して遊んでもらうことや、課金をしてもらう事が出来ず、伸ばすことが出来なかったというケースです。売上が低くても、一定以上ある場合はクローズせずに、最小の運用で残す(あるいは他のゲームが出るまでは継続する)という判断がなされることも有り、必ずしもクローズするとは限りません。

シナリオ3:きっかけを元にサービスが爆発し、売上を伸ばす

サービスリリース当初は、それほど売上が上がらなかったものの、継続率などのKPIは好調で、伸ばす芽があると判断され、その後に何かしらの要因に寄って一気に売上が伸びるというケースです。ここに「何かしらの要因」は様々なものが考えられます。ある程度人為的に発生させ、その結果興味をもってもらいそれが持続するというパターン(例:テレビCM・ブースト・コラボなど)あるいは口コミ的な広がりを見せ、そこから一気に人が増えるというパターンなどです。

シナリオ4:売上は順調に伸びるものの、徐々に下がることを止められない

サービスとして順調に伸び、最初の半年から1年くらいは売上を作ることが出来る。しかし、集客で集められる限界を超えてしまったり、ユーザーが飽きてきたり、ゲーム内でインフレやデフレなどがおきたりして、その後改善が出来ないというパターンです。つまり下降のサインが見えてきた時にそれを止められなかったというケースです。これには様々な要因があり、一概には言えないのですが、人が減る・スペンド率が下がる・ARPPUが下がるのいずれか(あるいはそのバリエーション)でしょう。サービスの設計や集客の仕方によって変わってきます。止められなかった場合でも、ある一定の売上落ち着くことはあります。その場合はサービスとしては継続されるでしょう。

シナリオ5:売上が鈍化するという危機を乗り越え、成長を続けるサービス

最後に紹介するのは、シナリオ4の変形です。数値のダウンをサービスあるいは集客を改善することで乗り換えるというパターンです。ケースとしては非常に少ないかとは思いますが、いくつかそういうサービスもあります。原因に応じた対策をしっかり考えて実施する事は当たり前として、それが結果的に「当たる」というハードルが高い内容です。そして再度伸び続けるという形になります(ただ同じような危機は繰り返し発生すると思われます)。


各ステージにおいて見るべきKPIの優先順位

4つのステージと5つのシナリオを見てきました。では、それぞれのフェーズにおいて大切になるのはどのようなKPIなのでしょうか。

まず、ここにあるKPI以外は見なくては良いということではありません。その中でも特に注視したいものという形になります。また、KPIには継続率一つとっても様々なバリエーションがあるので、サービスによって利用する物は若干違い可能性があります。では、各ステージごとに確認していきましょう。

リリース

売上も気になるところですが、サービスとして中長期的に楽しんで貰えるのかをまずは判断するフェーズです。そこで遊んでいる人のゲームに対する意欲を図るために「継続率」を重視してみます。継続率に関しては、ソシャゲ分析講座 基本編(その3):「継続率」を理解するでも紹介いたしましたが、新規と既存の継続率両方を確認していきましょう。この時点でせっかく連れてきた人のほとんどが離脱してしまうようであれば、サービスに問題を抱えている可能性が高いです。また、集客や事前登録などで集客を行なうケースも(最初は)多いと思うので、その効果を確認するために、新規会員数を見ましょう。可能であれば、流入元別に見られるとなお良いです。

初期

サービスは順調に人が増えているか、また継続率は維持できているかを確認します。多くのサービスの場合は、リリース当初は継続率が高いのですが、すぐに下がってきて、ある所で横ばいになります。この値がどれくらいになるのか。。。これは今後サービスを続けるか否かを判断する上でも大切になります。また、人を集め続けられているかという意味でDAU/MAUが大切になります。問題があるサービスはこのタイミングで、人がどんどん抜けてしまいます。そして、サービスとしての売上のポテンシャルを図るための、ARPPUも大切です。しっかり課金してまで遊びたいと思ってくれている人がいるのか、またその時にはどれくらいの金額を使っていただいているのか。最初に売上を作るには、ARPPUを上げることが大切(かつ実施しやすい)です

中期

さて、ここからはあげた3つの指標「DAU/MAU」「スペンド人数・率」「離脱数・率」のいずれかで課題が発見されるケースが多いです。つまり人を集めることが出来なくなってきて、あるいは人は増えているがお金を使う人が伸びていないあるいは減っている、サービスから離脱する人数や割合が増えるといったことです。どの指標も、このような課題を発見し、それを施策で直そうとした時に改善出来たかを判断する重要な指標です。特に改善が難しいのはスペンド人数や率です。今までお金を使ったことがない人に、お金を(少しでも良いので)使っていただくということになります。しかし、このスペンド人数や率が、売上に直結しており、サービスの魅力をダイレクトに計測出来る指標だと筆者は考えています。ARPPUと比較して、上げるための難易度は相対的に高いです。

後期

中期と見るべき指標は余り変わりませんが、ここまで来るとサービスを離脱する人数や割合というのは大きくかわらず、継続率に大きな変化も見えなくなります。そして、それを表すのが継続的に遊んでいる人数や割合であるベースDAU/MAUといった指標です。今後大きく人は増えることがない中、定期的に遊んでくれている母数に変化が無いかをチェックしておきましょう。また、サービスの機能や中身をある程度入れ替えたり、増やしたりしないとだんだんARPPUやスペンド率も落ちてきてしまいます。中期の時より、長いスパン(月〜四半期単位)で課題の芽を発見することが大切になります。


なお、「売上」に関してはKPIではなく、KGIなので、どのステージでも確認をしておく事は当然ですが、改善施策を考えて売上を伸ばすということを実現するためにも、KPIはあわせて必ず確認をしていきましょう。改善や課題のヒントは売上そのものからは見つからず、KPIを見て原因を特定する事ではじめて可能となります。


*1:2ヶ月以内であまりにも酷い場合は判断されることもありますが