「CSS Nite LP, Disk 19 アクセス解析」で講演をさせていただきました&いただいた質問への回答

2011年10月15日 そして 再演版となった10月22日の「CSS Nite LP, Disk 19 アクセス解析」で講演をさせていただきました。



撮影:飯田昌之

詳しい内容に関しては、Togetterにまとまっていますのでそちらをご覧ください。

Togetter:CSS Nite LP, Disk 19「アクセス解析:事例紹介とGoogleアナリティクスの新機能」
Togetter:CSS Nite LP19再演版「アクセス解析:事例紹介とGoogleアナリティクスの新機能」

以下は私の思うがままの感想です。


多種多様のバックグラウンドをもつ面々が講演をされており、非常に楽しく参加させていただきましたし、聞かせていただきました。改めてGoogle アナリティクスの幅広さを感じることが出来ました。特に印象的だったのが、細かい部分を見過ぎるのではなく、全体からそしてユーザー視点からデータを分析して施策を実施する重要性です。


ここ数年で「セッション」という概念から「ユーザー」というセッションへの考え方のシフトが起きるのではないでしょうか?ここ1年の「アトリビューション」に関する話題や、Google アナリティクスの「マルチチャネル」機能、そして「スマートフォンによる『ウェブを見る端末がもう一台増えたこと』」がそれを加速させていく事でしょう。


セッションを最初に考えた人って罪深いよね。といった話を再演版の懇親会でウェブ担当者フォーラムの安田編集長と、グーグルの大内さんとお話をしていました。アクセス解析イニシアチブでこの辺を真剣に議論出来れば良いなと思っています。年末に行われる予定のイベントとかでどうだろう?


話が逸れてしまいましたが、今回初めてCSS Niteに参加させていただきました。その中で感じたのが「CSS Nite」という素晴らしいブランドを維持するために、鷹野さんを始めとしたスタッフの皆様の高い意識と行動がとても印象的でした。


作成した資料を細かく(それこそ「てにをは」単位で)チェックいただいたり、画像編集センスが無い私に変わって画像を編集いただいたのもその一つです。更にはプレゼンテーションを失敗しないための細かいTIPS・お約束ごとなどもいろいろご教授いただきました。私にとっても非常に勉強になることが多く、自分に還元する事が出来ました*1


また良い意味で当日、意識する事がほとんど無かったスタッフの皆様も凄いと感じました。私も8年前からちょこちょこイベントの運営や裏方として協力させていただく事があるのですが、「目立たない そして 気付かれないように素早く」ができているところほど安心します。皆様の意識の高さを強く感じました。改めてこの場でもお礼をお伝えさせてください。ありがとうございます!




撮影:飯田昌之


自分の発表に関して

さて、私の発表に関してのモロモロなど。今回は最初から「アトリビューション」について話そうと決めていました。アクセス解析における最新のトレンドであることと、お話をいただいたタイミングでGoogle アナリティクスでそれを分析する「マルチチャネルファネル」がリリースされた直後というのがその原因です。そしてなでしこに関してはそのチームワークに感動したことと、このパスワークってアトリビューションに似ているなぁ…と思ったことがきっかけでした。


「セッションではなく訪問者単位でデータを見た方がよりよい」という部分に関しては、理解を得られるのではと感じていましたが、アトリビューション自体は現在進行形で定義がされていたり、用語が乱立していたりします。「アトリビューション」について、どこまで広げるかという部分は非常に悩み、結構絞り込みました。


しかし、自分の悪い癖でもあるのですが、それでも詰め込みたい!という意思がやはり資料に出てしまうようです。そのために「早い」と感じられた方、「難しい」と感じられた方がいたことはアンケートからもわかりました。「そぎ落とす」や「まとめる」能力に関しては、引き続き精進してまいります。


テンプレートやフォントがTwitterのタイムラインで話題になっていました。使っていたソフト等々は、最後の質問コーナーで回答いたします。何故、あのような資料にしたかということに関して、簡単に紹介いたします。


ちなみに、こんな感じの資料です。


数ヶ月ほど前に、「黒板に白文字」というかたちでのプレゼンテーションを同じフォントを使って行いました。そして今回のデザインを検討していくなかで、動画を使うことが割と早い段階で決定しました。その時に思い出したのが、「プロジェクターのスクリーンが無い場合に、それをホワイトボードに映すケースがある」という事です。そこで、動画を映すための背景としてホワイトボードの使おうという判断になりました。


まぁ、実際はホワイトボードに映すと動画の画面サイズが低くなってしまうので、フルスクリーンにしたため「ホワイトボードに映す」といった感じにはなりませんでしたが(汗)。ただ、その名残として動画があるスライドのホワイトボードの背景画像は若干暗くなっています。これはプロジェクターに映す時は部屋の電気を消すから暗いよね…というどうでも良いこだわりが理由です(笑)


質問への回答

最後にアンケートでいただいた質問への回答をさせてください。感想は基本的には除いています。また一部、回答をできない質問もございました。ご容赦ください。


その前に、今回のプレゼンテーションで利用したソフトや参考利用の紹介を

利用ツール

プレゼンテーションツール:パワーポイント2010
フォント:ふい字
動画編集:Camtasia Studio
ズームソフト:ZoomIt


参考資料やサイト

LumaScapes
Attribution.jp
C3 Metrics
Encore

Q&A

Q1.アトリビューションの効果分配はどう考えれば良いのか?

A1.最適な回答はまだ無いのが事実。仮説が無い場合は、まずは「均等配分」がオススメです。どういったモデルがあるか?に関しては、「アトリビューション分析」連載 その5:アトリビューションの評価モデルを考えるを御覧ください。7種類のモデルを紹介しています。

Q2.直接の売上ではない項目についてeコマース機能内での収益(価格)設定はどのようにされたのか知りたいです

A2.こらちらですが、「資料請求→来訪→成約」という流れが実際にはありますが、「資料請求から来訪の割合」そして「来訪から成約の割合と単価」を元に計算しています。もう少し詳しく説明すると、例えば「資料請求した人が来訪する割合が10%」「来訪から成約の割合が5%」「単価が5万円」とします。


この場合の、一件あたりの資料請求価格は(5万円×5%×10%)=250円 と計算しています。精度は必ずしも完璧ではないのですが、金額を設定すること自体が大切なので、このような形で設定をしています。

Q3.サイトコンテンツと流入元を合わせてアトリビューション分析をされているのか気になった。コンテンツの最適化施策は難しいのか?

A3.あわせての分析は、複雑になるため出来ていません。ただしコンテンツ単体での分析は行なっています。あるコンテンツを見た人がその後「会員登録を行いやすい」あるいは「メルマガ登録をしやすい」といった形での分析です。「初回の人にはこのコンテンツを全面に出したほうが良い」あるいは「既に会員登録をした人には、会員登録の案内ではなく機能を案内する」といった施策を考えるのに利用できます。


あわせ技で考えられるのは、初回・アシスト・終点のキーワードを分析する事により、それをサイトコンテンツやメルマガに活用するといった形になるかと思います。コンテンツの最適化施策は、ABテストや同講演で紹介があったレコメンドなどを使って行なっていくことになります。そういった意味では、出来なくはないのですが、有料集客よりは手間がかかるのは事実です。今のところ「アトリビューション」で行われている議論の大半が、集客のアトリビューションになっています。


Q4.終盤のお話にあったように、課題も多い機能なので、上手く活用するケースは限られるかなという印象も受けました。あくまでも判断材料の1つとして考えなければいけませんね。


A4.質問ではないけど、ピックアップさせていただきました。書いていただいた通り、今までの概念を全て忘れてアトリビューションだ!ということではありません。今までのセッション分析がまずは先にありきだと感じています。セッション単位での最適化も進めた上で、さらに集客コストの削減を行なっていきたいという段階で取り組むべきものかなと考えています。また、サイトによってはセッション単位でもユーザー単位でも結果がほとんど変わらない場合があります。その場合はセッション単位の分析で良いかと思います。大切なのは「ほとんど変わらない」という事実がわかった上で安心出来るという点ですね。

Q5.アトリビューションは、そこまで分析できる期間的、人的余裕があるかどうかが問題かも…

A5.その通りです。本格的かつ定期的な分析は今の段階では必要ないかなと思っています。まずは1〜2時間の時間をとって、ユーザーの動きを「理解」するだけでも、コミュニケーションや考え方が変わるかなと感じています。そこもアトリビューションの魅力の一つですね。


Q6.最終的なマーケティング投資判断のタイミングを考えると、やはりアシストクリックやアシストビューのROIを正確に数値化する必要があると思いました

A6.本当は必要だと考えています。しかし現時点において、納得出来る(してもらえる)ロジックでそのROIを組むのが難しいなぁと感じているのが現状です。しかし、どこまで「アトリビューション」が浸透するかの大きなポイントの一つでもあるので、今後も米国の動きを含め注視したいきたい部分です。




最後に、気に入ったコメントを一つ紹介して終わります。

「自分がユーザーの立場なら、1回みただけで買ったりしないし…単純にCV数だけで判断できなはずなのに」


改めて参加者の皆様・スタッフの皆様・共演者の皆様ありがとうございました!




撮影:飯田昌之



今後の予定など

まだ曖昧なものも含めてまとめて紹介!

【UIO戦略室】Conversion Meetup Vol.1(10月28日)
今週の金曜日ですね。ライトニングトークで10分ほどお話させていただきます。内容はまだ悩んでいます。


●「ウェブ分析論」改訂版(12月)
第3版のタイミングで改訂版を出すことになりました。私の原稿書きが上手くいけば年末には発売出来るかと。主な追加内容は「ソーシャルメディアの分析」と「アトリビューション」になります。他にもデータの見直し、Google アナリティクスのスクリーンショットや操作説明も全て新しいバージョンのものになります。


専修大学で講義を行います(12月)
株式会社 環の江尻様からご連絡をいただき、12月に45分ほどお話させていただく事になりました。講演にもあった「ウェブ解析士」の授業が同大学で行われており、その授業の中でのゲスト出演という形になります。内容は「アクセス解析におけるデータとグラフの扱い」を主軸に考えています。


●a2iの忘年会で何かやるらしい(12月20日)
1年を振り返るパネルディスカッション的なイベントに参加予定です。アトリビューションをはじめ今年話題になったこと、来年に向けて…といった話になるのかな


●「標準的な分析手法とレポートフォーマット」(2012年1月18日)
2012年一発目の講演(のはず)。こちらもa2i主催となります。タイトルとおりの内容になるかは、もう少しお待ちください。いろいろ考えてみます。


●書籍の話とかもいろいろ進行中(2012年〜)
まだ企画段階なのでどうなるかわかりませんが


●御社サイトの分析や講演の依頼などございましたら、ぜひ!(2012年〜)
といっても年内は厳しいので、来年からでよろしければぜひ。今までにも制作会社様でのGoogle アナリティクスに関する講演、ECサイトや解析ツールベンダーでのコンサル、某省庁での講演など、いろいろ行なっています。Twitterのダイレクトメッセージあるいはメールなどでお声がけくださいませ



というわけで、グダグダと長く書いてきましたが、今度こそ終わります!
最後まで読んでいただきありがとうございます。

*1:あ、「還元することが出来ました」と「事」は開くという事も学んだことの一つです 笑