「アクセス解析サミット2011」参加メモ


昨日「アクセス解析サミット2011」に参加させていただきました。
アクセス解析サミット2011



全部で6つの講演があり非常に盛り沢山な内容でした。各講演のメモをだらだらーと貼り付けておきました。しかし、Togetterにまとめた参加者の皆様のコメントのほうがお役立ち&面白いので、まずは下記リンクの内容を御覧ください。


Togetter「アクセス解析サミット2011」


注意:
セミナーの内容ではなく、個人的に気になった内容やフレーズを書いています。メモなので特に解説とかはありませんが、ご了承下さい。

サントリーとスバルに聞く ウェブビジネスチャレンジの極意」

サントリーホールディングス株式会社 広報部 課長 坂井 康文 氏
富士重工業株式会社 マーケティング推進部 主事 鈴木 曜 氏
株式会社ビービット 広報宣伝部長 渡辺 春樹 氏


サントリー

飲料系でのウェブサイトアクセス数は1位(400万人/月)

飲み場(飲食店) 買い場(小売店) メディア クチコミ
の4つから新カテゴリの創出・提案

ハイボールの事例)
クチコミを使ってきっかけの種まきは出来るが、広げるのはマスメディア
種をまいておくことで、流行った時に検索でひっかかるようにしておく

スバル

サイト上での成果は「販売店検索」「試乗」「見積もり依頼」
実際の店舗への週末来店数と相関関係がある

来てほしい人に絞ってアクセスをしてもらう


お客さん言っていることと実際の動きはかなり違う
「こういうのがでたら買う」と言っていても実際出たら「買わない」
行動からマインドを割り出す

商品紹介の特徴でどの特徴がよく見られているかでユーザーの本当のニーズが分かる
マインドがあらわれるような数字の見方をさせることが大切


仮説検証の2サイクルで回す。PDCAは時間がかかる
分析型は古い。仮説があって、それを検証するだけでいい。
Assumption and Experiment



日本初上陸!Coremetricsの実力 〜Coremetrics LIVE Profileを活用したユーザライフサイクル分析とアトリビューション分析について〜

トランス・コスモス株式会社 MCMソリューション事業部 CRMグループ 松田 恵利子 氏



ソーシャルメディア等によりタッチポイントが多様化(ソーシャルメディア等)
ユーザーの行動の動機を理解する事がより重要に


「Live Profile」にて行動履歴をユーザー単位で格納


アトリビューションの考え方
初回流入=獲得型=新規ユーザーに貢献したチャネル
コンバージョン流入=コンバージョン型=成果に貢献
間の流入=説得型=コンバージョンに向かわせる


貢献度=ファーストクリック÷ラストクリックを流入元別に計算


貢献度の数値が大きいほど「獲得型」
数値が小さいほど、「コンバージョン型」


新規→リピート→購入→再購入
といったライフタイムで遷移数や遷移にかかる日数・訪問回数をCoremetrics Analyticsで視覚的に見る事が出来る
(※遷移内容は変更する事が可能)



「ベネッセ現場担当者の取り組み 〜「組み合わせ」で見えてくるサイト改善の糸口


株式会社ユーザーローカル コーポレートセールス ディレクター 渡邊 和行 氏
株式会社ベネッセコーポレーション ネットマーケティング部 川崎 洋 氏


UserInsightはどこが押されているかは分かるが、何故押されているのかがわからない。なので、場所や要素を入れ替えて検証を続ける事で「何故」が見えてくる

ソーシャルメディアからの流入×年代や性別といった分析がUserInsightで出来る。


同じ数値でも、見人によって認識が違う
例1)クリックされた後のプロセスに問題があるのでは?
例2)送ってくる見込み客が寒いのでは?
→議論のすれ違いになる


数字だけではなく、被験者の動きを見る。そこで得た仮説でデータを見ることで、より精度高い分析が出来る(訂正情報を定量的に補強する)


説得する際には被験者のつまづきを目の当たりで見える事で、説得力を増す。


アンケートも活用する。
「このオプション商品を買う前には、オプションを買う意思はありましたか?」



3つのアクセス解析ツールを、それぞれ違う目的と対象者で導入

RTMetrics(ログ型:タグが分からない・正しく入れられないという人も多いので、ログ型で正しく取る→全社標準ツール

GoogleAnalytics:知識がある人が自己責任で使っている

SiteCatalyst:ショッピングモールなど、より高度な分析。利用する人は限られている。



「ECナビ ウェブ最適化の取り組み A/Bテストから会社が動いた」

株式会社ECナビ UIO戦略室 室長 春元 和正 氏

ABテストで何が変わったか→PDCAが回り始めた(定性+定量)


ウェブ最適化はテクノロジーではなくサイコロジー
技術ではない。人を見る。

「ユーザーの背景やバックグラウンドを理解する」


最初はテストだけをしていたが、ユーザー理解をするためのPDCAを行う。それによって仮説の精度が上がっていく



室の立ち上げの際にはメンバーを選んだ
 実際に手を動かす人:プログラムやHTMLLやデザインをする人を選ぶ
  思いついた事をすぐに実装できる
  各事業部から手広く選ぶ→その人に聞けばわかる



利用しているツール
Google Analytics
ウェブサイトオプティマイザー
Kampyle(アンケートツール
ClickTale


「情報を受け取って考察を返す」

回答とソリューションを一緒に考える


★日単位で行っている内容
アクセス解析データを社内サイトに上げている+共有小ネタ
Facebookページにテスト関連最新情報を共有


★週単位で行っていること
室のミーティング(テスト共有・勝手にUIO=ダメなところを共有する)
UIO戦略室ブログを更新
全社掲示板にユーザーフィードバック共有(Kampyle)


★月単位で行っていること
Skypeでメンバー間情報共有
全社掲示板に社内のテスト実施と終了+結果の共有



チームをまとめるための「リアルタイム解析」
ユーザーアンケートをサイト上で行い、入力されるとすぐにメールが送られてくる
→リアルタイムに接客している感覚をウェブサイトでも味わえる


アクセス解析は動いてくれた結果のサマリー



「『個客』視点の行動分析がウェブビジネスを変える!」

株式会社コンフォート・マーケティング 取締役副社長 内野 明彦 氏



個客視点の行動分析で、
ウェブマーケティングを全体最適化し
ウェブビジネスの攻め方を変える

タテからヨコへの転換



全体で見るのではなく、ある日に訪問した訪問者数を軸にその日移行の訪問者数をプロットする。ユーザーを購入前・購入日・購入後の3つのステージに分けて割合を確認する。流入元の再来訪内訳を見る



ユーザーの行動は混在しているので集計期間で区切ったところで、いろいろな動きが混ざるし、前後で切れてしまっているので、意味がわからなくなってしまう。


縦(特定期間の中で見る)

横(顧客単位 訪問者の時系列軸で見る)



初回訪問時の流入分析を大切にしている
→その後の行動をあらわしやすい

各流入元ごとに分析を行う(初回流入元単位での再来訪・コンバージョン・閲覧ページ数など)。似たような行動をセグメントしていくつかのグループを作成する。


流入元分析の後はコンテンツ分析。コンテンツをどういう順番に見ているか、その割合などをユーザー単位で確認する。


行動分析を元に「とっても惜しい顧客」を探り出す。
「とっても惜しい顧客」の定義はサイトに寄って違う。


同じ問い合わせでも「冷やかし」と「本気」では違う。オフラインコンバージョンがあるのであれば、そこまでつなげて考える必要がある。


昔と比較して、ウェブマーケティングの組織が大きくなっている。
そのため、個人の業務の専門性が上がっている(リスティング担当・SEO担当)
→担当者ごとの世界
ユーザーも行動が多様化。どちらも複雑になってきている。


組織の縦割りがウェブでも起きている


ユーザーを時系列に横に見るのであれば、担当者も横に連携する必要がある。それによって各担当者の価値が生まれてくる。
初回流入の貢献で例えばSEOが大きいのであれば、SEO担当者のKPIはコンバージョンではなく、再来訪率になる。


アクセス解析担当者は横串で見ることが役目。非常に重要



「Webマーケッター瞳が探るウェブビジネス現場の研究「データドリブンなチームを目指せ」

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 TSUTAYA事業本部 店舗支援部 Webマーケティングディレクター 村上 佳代 氏
ヤフー株式会社 コンシューマ事業統括本部 ID決済サービス本部 マーケティング部 Web解析チーム 久保井 純 氏
ギルト・グループ株式会社 Webアナリスト/CRMシニア・マネージャー 清水 誠 氏


CRM・DBマーケティングは顧客ID、アクセス解析ではCookieIDが鍵


TSUTAYAはBtoB
店舗、企業ごとにアプローチを変える

店舗ごとにユーザーの接触頻度を確認する
10回が最頻値


大きなくくりや売上実績などを元に、アプローチを変える
HOTな店舗:メールだけでも十分
COLDな店舗:営業やスーパーバイザーサポートをしに行く



Yahoo!の話

現場が上を説得するのは簡単ではない。
「この仕組みをろうとしたら、COOが入らないと動かない」
という事を訴えて、責任者として入ってもらい、実際にはトップダウンではなくても、トップダウン(=会社の意思)を見せる


コアチームを、以下の3つの観点から設立している
主幹部署
ビジネスユニットの負荷軽減
ノウハウナレッジの集約


専門スキルも必要
コンサルに入ってもらい、その中での知見は必ず自分達のものにする
(内製化&再利用)
アクションに繋がるWeb解析指標の見極めが出来るようになる



「マーケティング活動を明確にする」
「アクションに繋がるデータの計測」
「アクションが出来ないデータはそもそも取得しない」


ツールが違えば数字が異なる。
理由を説明することにビジネス的な意味はないし、時間をかけるのは無駄



組織上層部の関与:ワークショップを行い、推進担当者を決める→20数名参加
 部長以上がWeb解析の推進役となる事を確認
Web解析ツールのデータでビジネスを語る文化(言語化する)


評価制度の導入(検討中)
 解析ツールのログイン回数・資料への記載回数・テスト回数・成功事例の提示回数
※数値目標をもつわけではない、まずは見てるというところを意識づける
 まずはやりやすい所からスタートする。意識を変える。加点制度にしたい

成功事例を発表させて、認知を上げる。みんながハッピーになる


組織ごとのKPI設定
ゴールから辿れない指標はKPIになれない。


レポートラインの整備
会議体別のレポートを明確にする
下から上までどういうデータを上げていくのか
これを整理いておくとよい。データを見てアクションする意識が芽生える



●人を動かすために必要なこと

組織として推進・啓蒙・サポートする
 経営課題とリンク

コミュニティやベンダーと成長する
 クレームではなく、意見と提案で建設的に


自分で実践し続ける
 わかる・出来る=即断する

ビジョンを持つ
 強い意志を持つ

失敗=新しい気付き


個人に役立つ情報を提供しよう
個人のパフォーマンスが出るようにする事が全体最適


全体感想

非常に面白かったです。実は昨年登壇させていただいたのですが、その時と内容が変わってきているという感想をアクセス解析イニシアチブの大内さんと終了後に話していました。


今回は「個」と「組織」というキーワードが非常に多く出てきました。「個」はユーザーを特定しユーザーという単位で分析をするという概念・手法・必要性。そして「個」の思いや考えが、サイト内の改善を進めるために必要という意味。「組織」は、組織として推進をしていくのに必要な手法・考え方・思いの共有方法。異なる内容の言葉ですが、どちらもアクセス解析の有効活用には必要な意識です。



もう一つ個人的に感じたのは「アクセス解析を行なっている人に凄い人が多い!」という事です。現場で行われている工夫や活動、出てくるツールはどれも素晴らしく、聞いている人を勇気づける内容が非常に多かったです。嬉しくて、羨ましくて、安心しました(笑)


アクセス解析担当者の役割はこれからも広がっていきますし、まだ出来ることは沢山!熱い思いと、個と組織にとって有益な情報を沢山いただきました。


登壇者とスタッフの皆様に感謝です!アクセス解析に携わっていることが、誇らしく思えた一日でした。