「アトリビューション分析」連載 その2:アトリビューション評価の難しさ

本ブログでのアトリビューション連載第2弾です。前回はイントロダクションという事で、「アトリビューションとは?」を紹介いたしました。今回はアトリビューション評価の難しさを紹介いたします。


前回の画像にもう一度登場してもらいましょう。


見てのとおり、長友と李が、それぞれゴールに貢献しています。「成果に直接貢献した流入だけではなく、その前の流入も貢献に含める」というのがアトビューションの基本的な考え方です。さて、今回はこの貢献の数値化を考えてみましょう。李と長友、それぞれ貢献の内訳はどれくらいでしょうか?



サッカーのゴールは「1点」なので、これを分けることを考えてみましょう。何%が李のもので、何%が長友のものでしょうか?李が決めなければゴールにはならなかったので0.8点くらいは李に与えても良いかもしれません。しかし、長友の絶妙なドリブルとクロスが無ければ、そもそもゴールが生まれなかったです。という事は長友の比率を高めにしてもよさそうです。


これがアトリビューションの評価の難しさそのものです。つまり、間接効果と直接効果に対してどれくらい貢献を与えればいいかという事です。



更にサッカーの例を見てみましょう。以下は3人の選手の年間の成績です。

選手 試合数 出場時間 ゴール数 アシスト数 パス成功率
Aさん 35 1840 13 4 68%
Bさん 34 1290 5 9 59%
Cさん 27 1540 2 7 79%

この3人に対しての予算が2億円/年あります。どのような配分で年俸を決めれば良いでしょうか?


なかなか最適な方程式を見つけるのを難しそうですね。このお金の部分が、ウェブサイトの集客にあたる「年間予算」です。アトリビューションを行う目的の一つとして、「広告予算の最適化(=決められた予算で最大・最適な効果を返す)」という事があります。


先程のAさん〜Cさんを集客に置き換えてみましょう。

集客施策 流入数 平均滞在 成果 成果の初回流入元 新規率
スティング 12452 125 130 40 38%
アフィリエイト 8590 146 50 90 29%
広告バナー 11284 108 20 70 59%


やはり、予算を割り当てるのは難しそうです。成果数が多いリスティングに予算を一番割り当てるべきというのがアトリビューションという概念を無視した場合の考え方です。しかしデータを見ても分かるように、初回流入に一番貢献しているアフィリエイトを切ってしまって本当に大丈夫なのだろうか?また、新規の人を増やすという観点から広告バナーも捨てがたいものがあります。



アトリビューションという考え方において、決まった正解は現在はありません。


単一の考え方で全てのサイトに当てはまる物はありません。更に初回と成果を踏んだ時の流入を上記の表では表示していますが、2回目や3回目はどう考えれば良いのか?複数の成果がある場合は?あるいは、初回に来たのが3年前だとしたらその流入元は古すぎではないか?など、まだまだ疑問が出てきます。


評価方法に関しては、連載の後半でいくつか具体的な考え方を紹介する予定です。


次回は分析をするために必要なデータについてお話をします。どういうデータが必要なのか、それをどう取得するのか?そしてどうやって「集計」すれば良いかという内容になります!


【バックナンバー】
「アトリビューション分析」連載 その1:アトリビューションとは?