アクセス解析を使ってサイトの課題を発見する12のステップ

アクセス解析ツールを導入して数カ月。いまいち使いこなせていないあなたへ。私が初めてサイトを分析する時に行う12のSTEPを紹介いたします。GoogleAnalyticsで全て対応出来るレポートです。ここで紹介するのはアクセス解析業界(?)における標準でもなんでもなく、私なりの分析手法ですので、他にも様々な方法やバリエーションがあります。


アクセス解析用語の基本的な知識と、GoogleAnalyticsを使ったことがある(出来ればアドバンスドセグメントを使ったことがある)人向けの方法になります。

2つの事前準備

分析に入る前に、以下の二つの事前準備を行いましょう。

A.サイト全体をじっくり見る

サイトマップや主要の導線をたどってみたり、実際にコンバージョンしてみたり。自分なりにサイトの良いところと悪いところを見つけて箇条書きにしておきましょう。また、それが数字にどう反映されるか?を想像しておきましょう*1

B.URLとタイトルの対応表を入手

なければ簡単なものを自分で作成します。多くのアクセス解析ツールはURL単位での情報が出てきます。その時にURLだけを見て、どういうコンテンツか分かれば、確認する手間が省けます*2


では、実際に12のSTEPを進めてみましょう。

サイトの課題を発見する12のステップ

考え方:数字がより大きいサイトの外から中に向かって分析をしていくイメージになります。

実際にこれを見ながら作業する場合は、本記事の最後にある注意点を先に見ていただいてからのほうがオススメです。

STEP1:主要なトレンドを把握する

期間が難しい場合は季節変動を把握するのは難しいですが、主要な指標(PV・訪問回数・訪問者数・コンバージョンレート・新規率・直帰率・平均閲覧ページ数・平均滞在時間)の全体的な上昇・減少傾向 及び 月別・曜日別で何か特徴がないかを探っておきましょう。


主要な指標のトレンドを見ておきましょう

STEP2:サイトの流入をチェック

大きな季節による変化がなければ、直近の1カ月を見ます。検索エンジン・参照ドメイン・ノーリファラーの比率をチェックし、それぞれの「主要な指標」を確認し、流入種別の大まかな特徴を把握しましょう。


まずは流入の内訳をチェック

STEP3:検索エンジン同士の比較

検索エンジンはほとんどのサイトで9割以上が「Yahoo!」あるいは「Google」からの流入です。そこで、この二つの検索エンジンの流入数を確認、同じような主要な指標の数値を出して特徴を把握しましょう。


Yahoo! vs Google

STEP4:検索ワードの分析

流入数が多い上位100ワードで主要指標の計算を行いましょう。目検で主要指標が良いワードと悪いワードをピックアップ。特徴がないかを確認します(ある特定ジャンルのワードの直帰率が高い等)。特に直帰率が高い・コンバージョン率が低いワードは気を付けましょう。また上位30〜50ワードを目処にキーワードマトリックスを作ってみましょう。散布図を使ったアクセス分析で作り方を紹介しています。リンク先の例では直帰率×新規率の散布図を作っていますが、直帰率×コンバージョンレートで作ってみるのもオススメです。


キーワードマトリックス

STEP5:参照サイトの分析

検索エンジンを除く参照元の上位20件に対して主要指標の計算を行いましょう。また有料と無料に分けてみて、傾向に違いが無いかを確認してみましょう。


上位参照元の分析

STEP6:参照元のリンクを見てみる

参照サイト上位100件で、実際にリンク先に飛んでみて、自分のページがどのように紹介されているか、リンクされているかを確認してみましょう。何か得るものがあるかも知れません。GoogleAnalyticsではドメイン単位で出てきてしまうので、ドメイン名をクリックして、URL単位になってからアクセスをしましょう。


ドメインをクリックすると、更に細かい単位での参照元情報を見ることが出来ます。

STEP7:入り口ページの直帰率

上位10の流入ページを確認します。まずその上位10件でどれくらいの割合を占めるかを確認。直帰率をチェックする。平均より著しく悪いページをピックアップ。


入り口ページは直帰率を見る

STEP8:入り口ページの流入元調査

問題となっているページへの流入元を調査します。特定の流入元(懸賞系サイトなど)が悪さをしているか?を分析します。全体的に悪い場合は流入元より、そのページ自体に課題がある可能性が高そうです。


コンテンツの詳細ページにある「ページ別の参照元」リンクをクリックすると、入り口ページだった時の参照元の一覧を見ることができます。

STEP9:主要道線の確認

主要な入り口ページから「次」そして「その次」にどこに遷移しているか?あたりを見ておきましょう。実際にそのページを見てどう遷移するだろうか?というのを想像して結果を見てみる事が大切です。なお見るのは2ページ先くらいまでです。導線を細かく追いすぎるとその母数がどんどん少なくなり、利用価値が減ってしまうからです。違和感があった部分をピックアップしておきましょう。


前後のページをチェックしてみるのも良いでしょう。

STEP10:コンバージョン直前の数ページ

決済あるいはフォームの入力がある場合はそこを集中的に見ます。各ページの遷移率を集中的に見ます。流入元やフォームの入り口のひとつ前のページごとに遷移率が違うか?などの確認を行います。


目標到達プロセスを設定する事で、コンバージョンまでの遷移を見ることが出来ます。

STEP11:コンバージョンのチェック

コンバージョン数や率の推移、そしてセグメント単位(新規/リピータ・流入元/キーワード/地域)でのコンバージョン率などを見てみましょう。実数も大切ですが、変化があった場合、何故その変化があったか?を分析してみましょう。


コンバージョンをいろいろな軸で内訳とトレンドを見てみよう

STEP12:コンバージョンに貢献したページ

GoogleAnalyticsではアドバンスドセグメントを使って、コンバージョンした訪問だけを絞り込めるので、それをサイト全体(あるいはコンバージョンしていない訪問)と比較します。コンバージョンした人がよく見ているページ(あるページの貢献度合い=コンバージョンした人の訪問数÷そのページの全訪問数)を計算します。



全体に対する割合が高い=よりコンバージョンに貢献


これでサイト分析と課題発見は完了です。今回紹介した方法は、自分の中では一番スタンダードな方法となっています。サイトによっては、広告の間接効果や有料集客施策ごとの効果を細かくみる場合もあります。またツールによっては売り上げの情報等も取得できるので、コンバージョン数や率そのものではなく、重みづけがされたコンバージョンを見ることもあります。


注意点


1)画面で見たデータはスクリーンショットを取り、ローカルで作ったグラフはちゃんと保存しておきましょう。この保存作業を忘れてしまうと、意外と後で更に分析したい、あるいは新しいデータが欲しいときに方法を忘れてしまい、二度手間になってしまいます。


2)数字があっているかの確認を随時行いましょう。計算ミスや入力ミス、間違えた行を見てしまったという事は時々あります。上記の12ステップのうち、1つが終わったら全体を確認してみると良いでしょう。


3)なるべく一気に作業をしてしまおう。頭が「ウェブ分析モード」の時にいっきに作業をしてしまうのが理想です。というのもウェブ分析は新たな気づきが、更に新たな発想を産みます。このプロセスが途中で切れてしまうと、「見たかったレポートあるいは計算してみたい事があったのに、なんだっけ?」と忘れてしまいます(笑)。これは私自身本当によくある事なので、皆様ぜひ気を付けてください、

なお、12ステップをデータを出すだけなら(整形する時間は別)8時間くらいで作業できるかと思うので、丸一日確保するか、週末に頑張る(汗)という方法もあります。ただ慣れないうちは(特にアクセス解析ツールの機能や操作に慣れていない場合)もっと時間かかるかと思いますので、複数日にわけて分析しましょう。


4)1から12という形で順番に作業をする事を推奨しますが、どうしても先のステップを行いたくなる事があります。例えば検索エンジンのレポートを見ているときに、ランディングページも見たくなる可能性があります。その場合は、今見ておかないと忘れてしまうと思うので、ぜひ見て記録してください。しかし、その後は元のステップに戻ってきてください。


この12のサイト分析手順は、ある程度体系だった、外から中に入っていく形の分析になります。ほかにもいろいろ方法はあるかと思いますが、慣れないうちは順番に作業をしていかないと、あっちこっちにいってしまい、結局何を見ていたかあるいは後何を見なければいけないのか?が分からなくなってしまいます。


まとめ

というわけで、私なりのサイト分析方法を紹介してみました。実際にこのSTEPで作業を行ってみると、新しい事実が発見出来るとともに、このSTEPだけでは足りない部分も出てくるかと思います。サイトの属性や分析の目的に応じて、一部STEPを飛ばしたり、追加したりしてみてください。


皆さんがサイト分析をする際に必ず見ているデータはありますか?また上記にないデータを見ていることはありますか?もしありましたら、ぜひ教えてくださいな。

*1:難しい場合は想像しなくてもOKですよ

*2:あえて何度も見に行くことによって、覚えるという考え方もあります