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アップデートされた「GoogleAnalytics」の機能と活用方法 : 1年前と比較して「有料アクセス解析サービス」にどこまで近づいたのか?

ツール

本日、GoogleAnalyticsのバージョンアップが行われました。今までにない大きなアップデートになりますので、その機能を紹介し、使い方を考えてみようと思います。



※現在出ている情報での記述になります。一部機能はまだ実装されていないため、使って確認したわけではありません事、ご了承ください。


1)コンバージョンの目標設定機能の拡張

2点の強化が行われています。「成果として設定出来る条件が2つ増えた」「登録出来る成果数が4から20に増えた」。地味ですが嬉しいアップデートです。

成果として設定出来る条件が2つ増えた

今までは「特定のURLを閲覧した場合に成果とする」という設定しか出来ませんでした。しかし新たに「サイトの滞在時間」と「訪問中のページビュー数」という成果の指定の仕方ができました。例えば「5分以上サイトに滞在した訪問は成果とする」とか「10ページ以上見た訪問は成果とする」という条件を成果とする事が出来ます。


ECサイトや、リード獲得(資料請求・会員登録など)サイトのような明確なゴールページがある場合は、今までの機能で充分だったかと思います。しかし、「ページ単位でのゴール」を設定する事が難しいメディア系サイトでは、今回の新しい設定条件は非常に便利です。


例えばブログやニュース系のサイトでは、1つの記事だけではなく複数の記事を読んでもらう事が、記事だけではなくブログそのものに興味を持ってもらったと仮説を置くことが出来るかもしれません。その際は「2ページ以上みた訪問は成果とする」と定義出来ます。


またネット上でも、「限りある時間の取り合い」が行われています。そこで、30分以上サイトに滞在してくれた訪問は、ライバルのサイトより自分のサイトをより見てくれている。と仮説を置くことが出来るかもしれません。この際には「30分以上サイトに滞在した訪問は成果とする」と定義出来ます。


このように今まで成果を計りづらかった、メディア・ブログ・SNSサイトなどにとっては非常に有意義なアップデートと言えそうです。もちろんECサイトやリード獲得サイトでも、KGIやKPIではない物の、成果の一つとしてモニタリングする事は意味がありそうですね。


登録出来る成果数が4から20に増えた

GoogleAnalyticsに対する不満の一つに、成果数が4つしか登録出来ないという不満がありました。プロファイルを複数作って成果数を増やすという荒技もありますが、不便である事には代わりありません。今回の成果数増加は、そういった意味でこのような不満を解決した物でした。多くの有料ツールは二桁の成果数を設定する事が出来ます。例えばSiteCatalystであれば、デフォルト(無償範囲)で設定出来る成果数は20個です。今回のアップデートにようやく同じ数になったとも言えます。


では、本当に成果って20個も必要なのか?というと個人的には「20あれば充分だが、さすがに4つでは足りない」と思っています。例えば集客の効果を計るときに、その集客元が貢献いた成果数(例:資料請求)を測定するとします。例えば1ヶ月の資料請求数が30件しかない場合、どの集客が効果があったか?というのを判断するのは難しいです。


「もっと大きい母数があれば集客の効果が判断しやすいのに」…そういった時は、「一覧閲覧」や「詳細閲覧」やなどを成果ページとして設定してみてはいかがでしょうか?資料請求件数は30件でも、詳細を閲覧した件数は3000件かもしれません。成果を手前に置くことによって母数を増やし、集客効果の判断精度をあげる事が出来ます*1


今までは成果ページの数が少なかったため、こういった成果ページの設定の仕方はもったいなかったのですが、数が増えたことによって、更に分析の方法が広がったのではないでしょうか。


2)携帯アクセス解析機能

待望のモバイル対応です!・・・しかし、今のところ一部テスターにのみ解放されており、大半のユーザーに届くのは数週間後だそうです。米国主導のアップデートですので、日本では本当に対応するのか?どこまで使えるのか?、はまだ未知数です。正式な公開が行われた後に改めてレビューをしてみたいと思います。


米国のブログの情報を見る限り、計測方式としては、計測したいページにタグを記述。計測用のファイルを設置し、タグがそのファイルを呼び出し、情報を送信するという形になりそうです。少なくともパケットキャプチャーやアパッチモジュール方式ではなさそうです。続報待ちです。


3)高度なレポートデータの解析機能

3点の機能追加が行われています。「アドバンス テーブル フィルタ」「ピボット」「セカンダリ ディメンション」の3つです。

アドバンス テーブル フィルタ

こちらは、GoogleAnalyticsの特徴でもある「アドバンスセグメント*2」が各レポートで自由に設定出来るという機能です。今までは、「アドバンスセグメント作成→みたいレポートを閲覧」というフローだったかと思いますが、それが逆になった感じです。


例えば「検索ワードレポート」から、「直帰率が50%以下」というフィルタリングを行ってサイト内を回遊してくれるワードをまず絞り込み、その上で「流入回数が50回以上」と対策を打つ意味があるワードをすぐに同じレポート画面でフィルタリングし、「新規の比率が50%以上」と新規を連れてくるワードを更に絞り込むといった事が簡単にできます。


事前にアドバンスセグメントでの設定の必要がないため、非常にスムースに仮説を検証したり、課題を見つけたりする事が出来ます。通常のモニタリングや定常分析ではあまり使わないかと思いますが、サイト分析をいろいろ試しながら見てみたい!という時には、強力な機能です。

ピボット 及び セカンダリ ディメンション

こちらに関しては数ヶ月前から既に公開されているため、ご存じの方が多いかもしれません。簡単にいってしまえば「3軸での分析」が出来るという機能です。


例えば「進入ページとキーワードのかけあわせごとに、コンバージョンレートを見たい」といった使い方です。こういった3軸の分析機能というのは、高価なアクセス解析サービスでしか提供していない場合が多く、2軸のクロス集計機能より出来ることが豊富です。「2軸だとちょっと分析に足りないんだよな―」というのは実は結構あったりします。当たり前のように提供されていますが、Google Analyticsが無償でこの機能を提供しているのは、改めて凄いなと感じます。


4)高い自由度

2つの機能追加が行われています。「マルチカスタム変数」「カスタムレポートとアドバンス セグメントの共有」です。毛色が違う二つの機能追加ですが、それぞれを見てみましょう。

マルチカスタム変数


今回の目玉アップデートです!しかし使いこなすにはしっかりとした設計と少々手間な実装を行う必要があります。概要を話すと、通常のアクセス解析では取得出来ない情報を、変数を渡してあげる事によって取得する機能が「カスタム変数」と呼ばれる物です。例えばECサイトであれば「売上」、一括資料請求であれば「一括で請求した資料の数」などを指します。


ベビーカーとおむつでは売上が全然違うため、単純にコンバージョン数「1」だとそれらの重み付けが出来ないために、カスタム変数を使ったりします。今回アップデートされたのは、その「カスタム変数を3つの計測概念で取得出来るようになった」という内容です。


って、これだけだと意味分かりませんね。具体的には「ユーザー単位での指標」「セッション単位での指標」「ページ単位での指標」の3つです。具体例を書いてみます。


ユーザー単位での指標 というのは、セッション関係なくユニークユーザーに割り当てられている情報です。例えば「会員or非会員」「初回訪問時の流入キーワード」「最後に閲覧した都道府県TOP」など。セッションを超えても引き継がれる情報が取得出来ます。これによって、会員と非会員のコンバージョンレートの違いなどを見る事が出来ます。


セッション単位での指標 というのは、そのセッション固有で割り当てられる情報です。そのセッションの時に「ログインしていたか、していないか」「A/Bテストなどで最初に表示したTOPページパターンの情報」などが上げられます。これらを取得することによって、例えば、A/B/Cという三つのTOPページのレイアウトのうち、どれが一番直帰率が低かったか?などを見る事が出来ます。


ページ単位での指標 というのは、セッション関係なく割り当てることが出来る情報です。例えば「サイト内検索機能を使って、『和食』というジャンルのページを何回表示したか」とか「閲覧した特集のID
」などを取得する事が出来ます。これにより、「どの検索軸が良く使われているか?」といったような分析が可能です。


こういった値は、サイト側で出力する必要があり、通常のタグだけでは実装出来ないので、要件定義・設計・実装は難易度が高いですが、さらに自由度が高まった、マルチカスタム変数。アクセス解析を更に有効に使うには、通っては避けられない道です。ぜひ活用してみてください。


カスタムレポートとアドバンスドセグメントの共有

まさに名前の通りです。それぞれレポート専用のURLを発行してくれて、それを他の人と共有する事が出来ます。


利用頻度は高く無いものの、地味に便利な機能だったりします。自分が作ったレポートを他の人に簡単に見せたい場合にも使えますし(例えば「ここ数字がおかしいから見て」など)、よく見るカスタムレポートのURLを自分でブックマークしておくことによってワンクリックでレポートにアクセス出来るようになります。


5)インテリジェント

こちらも2つの機能追加が行われています。しかし似たような内容なのでまとめて紹介してしまいます。

「Analyticsインテリジェンス」と「カスタムアラート」

課題発見の業務を大幅に短縮してくれる、強力な機能です。一部、国産ツールでも出てきていますが、サイト内に起きた大きな変化を、アラートとしてレポートやグラフ上に出してくれる機能になります。例えば前日より滞在時間が2倍になった、新規流入が50%も減ったなどの変化を表示してくれます。


この変化の可視化を自動的に行ってくれるのが「Analyticsインテリジェンス」です。ユーザーは何も設定せずとも、GoogleAnalyticsのロジックで自動的にピックアップを行ってくれます。日・週・月単位で変化を見ます。また凄いのが、こういった突出した条件が発生した軸を「アドバンスドセグメント」にワンクリックで設定する事が出来るという物です。


例えば、滞在時間が2倍の10分になったとしたら、その情報を紹介してくれて、なおかつワンクリックで「10分以上の滞在」をアドバンスドセグメントに登録してくれます。また、機能が実装された前の過去のデータに対しても適用をしてくれるというのが嬉しいです。


とはいえ、自分でオリジナルのアラートを設定したい場合もあるかと思います。「特定のPVを下回った」「直帰率が50%を超えた」といった条件を設定し、その条件を満たすと、レポート上で表示をしてくれます。Anaylticsインテリジェンスでは、望むような結果が出てこない、あるいは達成しないといけない目標や指標がある場合などに最適です。メールでアラートが送られてきたら嬉しいなとは思いますが、まだそこまでは実装されていないようです。



有料アクセス解析サービスにどこまで近づいたのか?

今回のアップデートはピンポイントで、課題発見がしやすい・分析の幅が広がる・作業が効率化する機能をリリースしてきました。有料ツールでも搭載されている物が少ない機能も登場しました。機能という観点から考えると、GoogleAnalyticsと有料ツールの差は縮まってきて、多くの有料アクセス解析サービスを追い越していると思います。


丁度、一年ほど前に「Google Analyticsのアップデートが意味する物」という記事を書きました。お時間ありましたら、ぜひあわせて読んで欲しいエントリーだったりしますが、そこから「有料アクセス解析サービスは生き残れるか?」という事について書いた内容を引用します。

有料ツール:ここは大きく二つに分けられると思われます。GoogleAnalytics同等あるいはそれ以下の機能を有している有料ツールを持っている会社(主に中小規模の会社)は岐路に立たされるかと思います。既存の顧客が流れるリスクはもちろんのこと、本来ターゲットとしている中小及び個人規模の見込み客もGoogleAnalyticsに流れていくでしょうし、すでにその動きは加速しているかと思われます。

GoogleAnalyticsが提供していないようなサポート・ノウハウ提供・コンサルを充実させて差別化を図る事になりますが(最近のデジタルフォレスト社の動きはまさにその流れかと思います)こういった動きを取れる会社は限られてくるでしょうし、厳しい戦いなのは間違いないでしょう。


ただし、GoogleAnalyticsも最先端のツールと比較するとまだ足りない部分が多いです。分りやすい例をいくつかあげると「リアルタイム計測」「セッション単位ではなくユーザー単位での分析」「四則演算による新たな指標作成」「オフラインデータとの連係」「詳細な権限管理」「ローデータの取得*6」などは現在実装されていません。


時間もコストもかけて分析を行なえる大企業にとってはGoogle Analyticsでは要件を満たせないので、GoogleAnalyticsに対して引き続きアドバンテージを持つ努力を行えば、棲み分けは出来るのかなと考えています。またGoogleにデータを預けることをリスクとして考えている企業もいるのではないでしょうか。

この状態は今も変わっていないと思います。中小の有料ツールは相変わらず機能面では苦しい状態に立たされています。コンサルティングあるいは固有の機能(ヒートマップ等)で活路を見いだしていくことになりそうです。


では、機能豊富なツールはどうなのか?この記事で紹介した、GoogleAnalyticsに無い機能の部分を見てましょう。1年でこれらは対応されたのか?

×「リアルタイム計測」
○「セッション単位ではなくユーザー単位での分析」
×「四則演算による新たな指標作成」
×「オフラインデータとの連係」
×「詳細な権限管理」
×「ローデータの取得」

マルチカスタム変数で対応した「ユーザー単位での分析」以外は、アップデートが行われていません。まだここには記載していませんが、導線関連の機能強化もここ1年で記憶に残るアップデートはありませんでした。


さて、これをどう読み解くのか?Google Analyticsではこれらが実装出来ないのか?いや、そんな事はないと思います。Googleとして、これらの機能は必要無いと考えているのではないでしょうか?この意見、及び必要性に関しては、いろいろな意見があるでしょう。しかし実装していないという事は、何かしらの理由があるのでは?と思ってしまいます。



また、1年前の記事では、モバイルに関して以下のように言及していました。

モバイルサイトの計測はGoogle Analyticsでは行えません。将来的に対応する可能性は十分あるかと思いますが、特に日本においては計測が難しいため、例え GoogleAnalyticsのモバイル版が米国でリリースされても、日本版はリリースされない可能性もあります。全米の有料ツールで一番人気がある SiteCatalystも日本のモバイル計測に関してはMobylogという株式会社セランのシステムを使っています。なのでモバイルに関しては(特に日本においては)GoogleAnalyticsの影響は少なく、数日前に無料での利用が発表されたmyRTmobileや、その他の有料ツール含め、いろいろビジネスの可能性があるのではないでしょうか。


今回のモバイル対応が、本当にどこまで対応したのか?実際の中身を見て導入してみないと判断はつきませんが、無料あるいは有料でモバイル分析サービスを提供している会社にとっては、(もしGAのモバイル版が「使えるものであれば」)立場的には非常につらいかと思います。


それは機能面の問題ではなく、PCで使っているGoogle Analyticsと同じインターフェースでデータが見られるという、「ツールの使い方をマスターするハードルの低さ」に他なりません。アクセス解析を使っている側としては、PCもモバイルも出来れば同じツールで見たい。それがGoogle Anaylticsで見られるという事になると、今まで「仕方なく」二つのツールを覚えていたユーザーは、Google Analyticsを使うのではないでしょうか?


最後の見出しに関しては推測の域を出ません。はたしてこれからGoogle Analyticsがどうなっていくのか?更にどこまでシェアを広げるのか?まだ分かりません。しかし、1年前にも書きましたが、改めて同じ事を書いて終わりたいと思います。



Googleアクセス解析に対して本気だ!

*1:途中まで連れてきてコンバージョンしていない場合は、集客もとよりサイト内の導線の問題の方が大きい場合がほとんどです

*2:ある条件を元にサイト全体から情報を切り出し、それをあたかも一つのサイトとして、サイト全体と同じように分析出来る機能