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ページビューってなんぞや:「アメーバブログ月間100億PV突破」から見える10の事実(≠真実)

※10の事実は記事の最後にまとめましたので、長めの記事を読むのは面倒な方は、最後をご覧くださいな。

当ブログとしては珍しく、話題にのってみました。アメーバブログのページビューに関しては、ここ半年間くらいで様々な突っ込みがありました。いくつか記事を紹介。


簡単にまとめると「アメブロのPVの定義広すぎじゃね?」「他のアクセス解析サービスと数字が違う(良い悪いは別として)」「PVと(ネット広告で使われている)インプレッションは定義が違う」「アメブロが自分達で定義したPV数だから別に問題無し。公開して混同させるのはどうかと思うが」といったところでしょうか。


今回話題になったのは、サイバーエージェント「Ameba」が月間100億PVを突破 1年で倍増という内容。ちなみに去年の8月にはアメブロ、芸能人効果で月間50億PV突破というリリースが行われていました。


そして、今回のリリースを受けて、ブログ「Web屋のネタ帳」が月間100億PVを突破しましたという記事で改めて、この話題がフィーチャーされているといった状況です。


ページビューとはなんぞや

厳密に守られている定義が無いのが実情です。一番それに近いと思われるのが米国のアクセス解析団体である、「Web Analytics Association」が出している定義(PDF)です。日本訳を衣袋さんのブログ「Insight for WebAnalytics」で紹介しているので、その内容を引用します。

ページビュー数(Page View)

種類:数値

計算:
ページが見られた回数。

ノート:
XML フィード(RSSAtom)や電子メールなど、ウェブブラウザとブラウザーでない方法のどちらでも配布可能なコンテンツは、通常ページビュー数にはカウントされない。コンテンツのリクエストや受信がコンテンツの表示と必ずしも一致しないからだ。その代りに、画像ベースのページタグは、コンテンツの全てあるいは一部が見られたことを追跡するために、コンテンツの中に置くことができる。

ウェブ・サーバーが返すステイタス・コードで、要求されたコンテンツが見つからない場合(400から499まで)やサーバー・エラー(500から599まで)の場合は、そのステイタス・コードの同じ要求の中でウェブ・サーバーが実態のあるページを返すように設計されていない限り、ページビュー数にカウントすべきではない。標準のエラー・メッセージの代わりに、サイトマップや検索ページ、サポートの要求フォームなどのページを返すことが、多くのサーバー・アプリケーション(ApacheIIS)では設定可能だ。

(中略)

カウントすべきでない要求を除くためにステイタス・コードでフィルタリングすることは、一般的にはウェブ・サーバーのログ・ファイルを処理するときだけに必要なことで、ページタグ方式の実装の場合には通常不要だ。ベンダーは何をカウントすべきかを決定する際に、きちんと識別できるようにする。実装に際しては詳しい情報をツール提供者に求めよう。

という事で、ある程度ガイドライン的な物はあります。


一行で言うと「ウェブで実体があるページ(ないしはコンテンツ)が表示されれば、ページビューとして考えよう」という事になりそうです。


ページビューって無くならないの?

ページビューというのは一応定義はある。そしてアクセス解析サービスごとに若干定義が違いますが、それぞれのルールで*1計測をされている。ツールやサイトによって違いが出るのは当然だし、どれが正解というのはありません。アメブロのように「定義との乖離が大きい」というのはありますが、それも計測方法の一つです。


makitani.com:とはいってもページビューって意外に大雑把な指標なんですよ(2009/05/08)でも書かれている通り、いろんな重さの物が全て1PVとしてカウントされています。そのためサイトの人気度を測る指標としては微妙です。しかし、それでもPVは本日もアクセス解析において最も定番な指標として使われています。2007年6月にF's Garageで書かれた「ページビューの意味が無くなることはない。」の通り、現在もその意味は無くしておらず数値として使われています。


何故PVの意味も無くならないし、まだ存在しているのか。それはPVは取得しやすいのか?何故かというと元のデータに対して加工をする必要が無いからです。訪問回数やユニークユーザー数はそのブラウザを識別する番号やアクセスされた時間を元に計算する必要があります。ですので、何かしらの計算処理をする必要が無く、単純に計測するサーバーに飛んできた回数をカウントするだけです。


またPVは正しく使えば意味がある数値です。ここで言う正しくとは「PVの定義を理解し、そのPVの定義が同一であるサイト*2内で『変化』を見るために使う」という事です。トレンドをPVで見ることには意味がありますし、何よりPVは(定義が統一されていなくても)わかりやすく手に入りやすい数値なのです。



アクセス解析の計測方法が大きく進化しない限り、PVはこれからも残り続けますし、使い方を間違いなければ価値がある*3指標だと思っています。アクセス解析業界を代弁するつもりはありませんが、アクセス解析を商売にしていたり、それら数値を利用してお金を生んでいたりする人達は、ここに書かれている内容や違いなどを理解した上で活用をしています。


正しく使うためには「定義を理解する」。ですから、PVをプレスリリース等で公開する場合は、細部まではともかく「定義を添える必要がある」という風には強く感じています。それによって、何かが大きく変わるわけではないし、それを読んでも理解出来ない人もいるかと思いますが、統一した定義での計測が行われていない以上、最低限の補足は必要でしょう。ぜひアメブロにはそういった補足を*4して欲しいですね。


ではページビュー以外に「サイトの人気度を測る」良い指標は無いのだろうか?

…というのが、話題になり議論されるべき内容でしょう。


いろいろな数値はあります。定番どころでは、訪問回数(セッション数)、ユニークユーザー数(UU数)、滞在時間などがあります。しかしそれぞれに難点があります。以前、リアルアクセス解析:サイトの『エンゲージメント』を計測する方法:今までの手法と課題という記事で

  1. 滞在時間
  2. 閲覧ページ数
  3. ユーザー当たりの訪問回数
  4. コンバージョン率
  5. サイト満足度

上記5つの指標での計り方と課題を紹介しました。興味ある方は記事を読んだいただければと思いますが、それぞれ指標として使うには課題を抱えています。


また、コンバージョンのし易さとも定義出来る、「エンゲージメント」をアクセスログから計るための7つの変数と公式という内容も書きました*5。この数値は、人気度を測るためには非常に理想に近い数値なのですが、現時点で画面だけでこの数値を出す、アクセス解析サービスは存在せず、また理解するのも難しいため、流行っていませんですし、これからも流行らないだろうと思っています。



精度と難易度のバランスが大切なんだと思います。そういう風に考えると、定義が同じであれば、ページビューが残るのも納得出来るなと書きながら思ってしまいました。分かりやすさで次点だと思っているのは「滞在時間」ですね。


「本当にページを見ているのか(ブラウザ開いたまま部屋を出ていないか?)」「最後のページの閲覧時間が取得出来ない」「見ている間は満足しているのか?」といった技術的な課題は残る物の、比較的数値が取りやすく、技術やブラウザの対応により精度があがるのではないかとふんでいます。



以前書いた「サイト滞在時間はやみくもに増やせば良い物ではない」からいくつか引用。

PV数が増えればそれだけサーバーへの負荷が増えるので、PV増加=売上増加に繋がらない場合は、会社全体で考えるとPV数を増やすことはかえって損する可能性もあります。

滞在時間は有限であるという事がとっても大きなポイントになります。 PV数は増やそうと思えば、それこそ一つの記事を読ませるのに、6分割してコンテンツを読ませれば6PVあっという間に稼げます*6。しかし記事を読む時間を延ばすことは簡単にはできません。また、ユーザーは自分のサイトを見る以外にも、テレビを見たり、同業他社のサイトを見たり、本を読んだり、ゲームをしたりします。オフラインのメディア含め、時間は取り合いなのです。

サイトに長期間、滞在をしているものの、その理由が「インターフェースが悪くて目的の物がどこにあるかわからず、サイト内のあっちこっちを探している」だとしたらどうでしょう。
(中略)
ユーザーにとっての価値がある滞在時間、『満足時間』を増やすことが大切なのです。

広告効果をCPCではなく「CPM(Cost Per Minute)*3」で計ったり、競合他社との評価も視聴率と似たような数字で計ったり、オフラインとオンラインあわせたユーザーリーチなども取得出来るような時代が来るのかもしれません。

アメーバブログ月間100億PV突破」から見える10の事実(≠真実)

では、最後にまとめです。

1.PVに関する定義は一応あるが、それを遵守するかは計測ツールによる。なので正しい数値は無い。それはGoogle Analyticsでも一緒。


2.アメーバブログの数え方は定義から外れる部分が、他のツールより(明確に)多い。


3.PVの数値を出すときは必要に応じて補足を入れるべき。


4.PVは同一定義の元、変化(=トレンド)を見るには優秀(分かりやすい・入手しやすい)な指標である。*7


5.PVの多さ=サイトあるいはページの人気 ではない。相関関係はあるが。


6.PV以外にもサイトあるいはページの人気を計る指標はあるが一長一短である。


7.人気度を測る指標をより精緻に取得しようとすると、難易度が飛躍的に上がる。


8.数値に見えない「満足度」「意味ある滞在(コンバージョンに繋がる滞在)」が本当は大切である。


9.しかしそれを取得する技術が現在はまだ出来ていない


10.こういった事はどんどん議論されるべきである「(最後に)を参照」

最後に


というコメントを見て、ちょっと話は逸れてしまいましたが、参加してみました。他の人の意見も多く見てみたいので、Twitterやブログで更に広がったら嬉しいなと思い、書いてみました。


追記

スタッフとして参加している「アクセス解析イニシアチブ」では「標準化分科会」という分科会を開始する予定です。そこでは、まず基本的な指標に対する定義を決めて、サイト上でパブリックコメントを求めていくという活動を行っていきます。興味ある方は参加してみてはいかがでしょうか?衣袋さんがリーダーとなり、私も参加させていただきます。以下のTwitter発言を見て、書き忘れていたことを思い出しましたので追記。


*1:ここが混乱を招くところですが

*2:同一定義の複数サイトでも可

*3:=数値を元にトレンドをみたり、判断が出来る

*4:たとえこの議論に関わったり、読んだりしている人の大半は分かっていても

*5:開いた瞬間に出てくる公式に99%以上が読む気をなくす記事ですが…

*6:離脱率が増える可能性はありますが

*7:アメブロの定義はさておきPVが1年で2倍に増えたのは事実であろう