株式会社環が開発している、アクセス解析サービス「シビラ」の30日無料トライアルをしてみましたので、その内容に関してレポートいたします。
注意:
1)ツールの使用時間は15時間ほどです。一部の機能や設定を見逃している可能性があります。
2)過去のツール紹介記事と同様「広告記事」ではありません*1
シビラの概要
シビラはPCサイト向けのアクセス解析サービスです。タグをページに挿入する形で計測を行い、1日1回集計が行われます(翌日午前10時に前日のデータが表示されます)。「アクセス解析サービスをなるべく分かりやすく提供する」事が意識されているサービスとのことで、実際のサービスの中身もその特徴を反映していました。料金プランは初期費用(10,500円)+PV量(10,000PV/月以下の場合は6,300円/月) *2となっています。詳細に関してはこちらをご覧ください。
ここからはシビラの機能を紹介していきます。
アクセス解析をより簡単に使って貰うための機能
概要のところで紹介した通り、アクセス解析サービスをより簡単に使ってもらうという工夫や機能が随所にあります。そのいくつかを紹介してみようと思います。
アドバイス機能
2週間分のデータがたまると、ログデータを元にサイトに変化が起きた所を中心に「アドバイス」をくれる機能が備わっています。過去のデータから平均と分散を見て、アドバイスを作っているとのことです。
初めてアクセス解析を行うときは、数字そのものを良く見てしまうのですが、分析や解析に必要なのはトレンドを見ることだったりします。それを文章で紹介してくれるのは非常にわかりやすく、サイトの大きな課題を見つけることが容易に出来ます。課題への対策も提案してくれます。この内容も正確なのですが、もう一歩踏み込んだ具体的な手法があると嬉しいですね。といっても、それが出来てしまうと、アクセス解析コンサルタントの仕事が無くなってしまいますが(笑)
各ページの下部に表示されるヘルプ機能
アクセス解析の用語は、定義がわかりづらかったり、難解だったりします。一回覚えてしまえば問題ないのですが、ツールによって若干違ったりします。シビラで提供されるレポートは必ず下部にヘルプ機能として、レポート内で使われている用語の意味が書いてあります。これを見れば、どのような数字が表示されているのかも一目瞭然です。
いくつか他のアクセス解析サービスでも似たような機能が提供されていますが、シビラのヘルプの質は、他のアクセス解析サービスと比較しても優れていると感じました。
分かりやすいレイアウトとインターフェース
これは主観による部分が大きいのですが、使ってみて非常にインターフェースがつかいやすいなと感じました。
上記は、あるレポートの例なのですが、非常にすっきりしていて分かりやすいです。何故だろう?と考えてみたところ、気づいたのが以下の点です。
1)ごちゃごちゃしていない
レイアウトに余裕があって「詰め込まれている」感じがしない。白背景の余白の使い方が良いのかも。
2)わかりやすい色使い
好みの問題かもしれませんが、各メニューに色がついており、色使いも原色に近い物が多く、メリハリがはっきりしています。
レイアウトのわかりやすさとあわせて「難しくなさそう」な印象を与えてくれています。
特徴的な機能をピックアップ!
前半はツールの使いやすさを紹介してきましたが、後半は他のアクセス解析サービスと比較した時に「おっ、これいいね!」と思ったものを紹介します。
サイト全体のデータと成果ページに到達したデータをプルダウンで簡単に切り替え可能
ほとんどのレポートで使える、切り替え機能。これが非常に便利です。各ページの一番上にある「目的ページ」の横にあるプルダウンから、事前に登録したページを選択すると、すぐにデータが切り替えることが出来ます。
以下の例のように、サイト全体の流入キーワードと、目的ページに到達した流入キーワードをすぐに切り替えることが出来ます。
【目的ページを選択して「画面更新」を押すと、データが切り替わります】
セッションじゃなくてユーザー単位で情報が見られる「ユーザー分析」機能
上級者向けの機能として用意されているのが、「ユーザー分析」の機能です。多くの無料サービスでは提供していない機能で、ユーザー単位のサイト内の動きを追うことが出来ます。
機能は大きくわけて二つあります。一つ目は条件を設定して、その条件にマッチするユーザー数を表示するという物。セッションではなくユーザーを調べられるのがメリットです。
そして、もう一つは、そのユーザーの行動履歴を表示してくれるという物です。上記画像内にある「ユーザー別」のリンクをクリックすると、その人がどういう経路で何時何分に訪れて、いつどのページを見たか?というのがわかります。
この機能を使うことにより、ユーザーがサイトをどのように使っているか?というのがわかるようになり、分析の幅が広がります。以前当ブログで紹介した「ユーザーのサイト利用期間と行動変化」を分析してみるなどの分析にも使えそうです。
しっかり分析していけば、様々な事がわかりそうな機能ですが、サイトの特性や仮説を立てるスキルが求められるので、何か価値を得るためにはちょっと敷居が高い機能かもしれません。
地味だけど強力にプッシュしたい「カレンダーメモ機能」
さりげないけど、非常に便利な物ってありますよね。シビラにおいて、それに該当するのは「カレンダーメモ機能」だと個人的に断言したいです。名前の通りの機能で、カレンダーにメモが残せる機能です。
機能は画像を見れば一発でわかると思いますが、サイト内で起きたイベントや事実を記録して残すことが出来ます。設定した日付がハイライトされて、他のレポート画面で、該当日付をマウスオーバーすると入力したメモが表示されます。
これだけの機能なのですが、他のサービスでは見たことありません。アクセス解析のデータって常に同じ人が見ているとは限らず、また半年・1年たつと、その時に何が起きていたか?という事はすぐに忘れてしまいます。その結果、間違って前年比のデータをみてしまったり、そのときに何が起きていたのかを調べたりするという時間の無駄が発生しています。これを回避出来るのがこの機能です。何気ない機能ですが、こういった機能を追加する視点を持っているサービスがある事は個人的には非常に喜ばしいことです。
といっても、気になる点もいくつかありました。
以上、シビラの特徴を紹介してきました。しかし、どのツールも万能ではないので、気になった点もいくつかありました。人によって気になる度合いは違うと思いますが、以下その内容になります。
・ページを開いたときに自動的に、カレンダーエリアにマウスカーソルが移動してしまい、「PageDown」ボタンで下にスクロール出来ない。大抵のレポートは縦1画面におさまらないため、何度かひっかかってしまいました。また、縦スクロールをするため、他のレポートを選ぶためには、上まで戻る必要があるため、「ページTOPに戻るリンク」があってもいいかもと思いました。
・経路分析の機能に関しては、情報が多いところは良いのですが、やはり他のサービス比べると慣れが必要で、%表示が出来ない部分などは気になりました。
・全体的なレイアウトは良いのですが、メニューの下に表示されるいくつかのボタンのレイアウトはちょっと気になりました。目的ページを選ぶときに間違えて「画面更新」ではなくて「プレビュー」ボタンを押してしまう事もありました。
・また初心者向けのサービスという事もあるのかもしれませんが、最低限のユーザー管理機能は欲しいなとおもいました。特に使う人数が増えた場合、IDとパスワードが一つしか無かったり、誰でも設定が変えられたりするのは、ちょっと心配だったりします。
まとめに変えて
シビラを使わせていただいた後に、株式会社 環の方々に対してフィードバックを伝える機会がありました。そこで、今回書いたような内容を伝えさせていただきました。あくまでも、一個人としての意見なので参考になったかは分かりませんが、そういった場を提供してくれた事に感謝です。今後のバージョンアップ・アドバイスやレイアウトの見直しなどを検討しているそうです。サービスとして良い意味で、「数字だけが表に出てこない」方向に進化していくのかな?と感じました。
おまけ(シビラのメールマガジンより):
シビラとはギリシアやローマで出てくる「巫女」さんのことです。戦争や外交など、国の将来を左右する重要なことを、これらの国々では神殿での神託を聞きました。そのお告げをするのがsibullaだったのです。つまり、シビラは「何でも分析できますよ」ではなく、「このデータがこうなったから、
XXを○○してください」という改善対策がワンセットになっています。
言い換えれば、「XXを○○してください」と言えない画面はない、ということです。