Google Analyticsの対抗馬?「Yahoo!アクセス解析」使用レポート

Google Analyticsの対抗?ともいわれる「Yahoo!アクセス解析」。3月10日よりGeocitiesの有料版である「ジオプラス」ユーザーにツールが解放されたため、早速使ってみました。

追記:2011年9月1日
Yahoo!アクセス解析のサービスの利用が2011年8月31日に終了いたしました。
また11月末に停止となるため、それまでに計測記述を削除する必要があります。
※削除しないとJavaScriptエラーなどが出る可能性があります。

注意:
1)2日間しか利用していないので、速報なレポートです。一部機能や仕様の見逃しがあるかも知れませんが、ご了承ください。
2)特に依頼を受けてとかではなく、自腹で購入・利用してみました。
3)やたら画像が多いエントリーです。回線が遅い場合は画像表示に時間がかかるかもしれません(汗)
4)拡大した画像を見たい場合は画像をクリックし「オリジナル画像を見る」を選択してください


記事を全部読む時間がない方は、4行にまとめてみましたので、以下をご覧ください。

・最低限+αの機能は揃っている。特に導線分析が良い感じです。
・ただコンバージョンページを設定出来ないのが残念。追記:2009/08/06 コンバージョン機能が実装されました) またセグメンテーション機能もまだ実装されていません。
・インタフェースは全体的にわかりやすく、直感的に使えます。
・下手な有料ツールよりはオススメ。でもGoogle Analyticsの方が現時点では機能が豊富。

1.利用するまでのプロセス

まずはGeocitiesでアカウントを作る(Yahoo!IDを持っていればすぐに作れます)。そして525円/月のであるジオプラスに申込みましょう。ジオプラスに申し込むにはウォレットへのクレジットカードあるいはYahoo!BB会員である必要があります。完了したら、Yahoo!アクセス解析BETAのページにアクセスし、プロジェクトの作成を行ってください*1


ここから利用登録を行います




プロジェクトとは、1つの集計単位の事を指します。簡単にいえば1プロジェクト=1サイトといったところです。

 プロジェクト名
 ベースURL
 エディション(ベーシック・カスタマイズ)*2

の3つを入力しましょう。

プロジェクト情報を入力



そうすると計測タグが発行されますので、こちらをコピーして、計測したいページに入れます。他のタグ型ツール同様、の直前に入れる形になります。


http用とhttps用でタグの中身が違うので注意



完了し、解析ツールを起動とコントロールセンターが表示される。ここでは自分が作ったプロジェクト一覧が表示されます。


ここから各プロジェクトのアクセスします

POINT!

・ジオプラスを停止してもアクセス解析ツールは継続して利用可能(ただし同月内に解約しても525円/月は請求されるので、最低限525円の支払いをする必要があります)
ジオプラスの解約方法はこちら

・ジオプラスのサイト以外でも利用が可能

現在は無料公開されており、誰でも使えます。

2.使える機能一覧

Yahoo!アクセス解析では3/15現在、以下の機能が使えます。

ダッシュボード

 ダッシュボード設定/アクセス状況/検索エンジン&検索ワード/参照元&離脱リンク/ページビューランキング

トラフィック

 ページビュー/訪問数/訪問詳細/新規訪問数/再訪問数/新規訪問数vs再訪問数/時間帯別ページビュー/ユニーク訪問者数

訪問者属性

 言語/国/都道府県

コンテンツ

 ページビューランキング

ナビゲーション

 閲覧開始ページ/直帰率(全訪問・新規訪問・再訪問をURL及び期間別)/離脱ページ・リンク/経路分析(訪問数・ページビュー単位)/サイト構造分析/平均滞在時間/ページビュー別訪問数

マーケティング

 検索エンジン/検索ワード/参照元ドメイン/参照元URL

訪問者閲覧環境

 ブラウザバージョン/JavaScript対応/OSバージョン/画面解像度/カラーパレット/クッキー対応/Flash対応


3.機能詳細

以下、スクリーンショットを交えながら、主な仕様や機能やを紹介します。

画面構成

画面構成は、他のアクセス解析ツールと大きくは変わりません。左上に期間を指定するカレンダー、左下に使える機能の一覧、右側にレポートそのものが表示されます。特に違和感なく利用できます。ただ、カレンダーで日にちのレンジを記述して指定できないので、例えば15日〜18日を選びたい場合は、画面上で1つづつ日にちをクリックしていく必要があります。

基本の画面構成

ダッシュボード関連

Yahoo!アクセス解析では、デフォルトでいくつかのダッシュボードが作成されています。「アクセス状況」「検索エンジン&検索ワード」「参照元&離脱リンク」「ページビューランキング」の4つです。こちらはあくまでもプリセットされているものなので、新規作成・説明文編集・レポート追加・TOP表示ダッシュボードの選択などかなり自由に編集が行えます。


ダッシュボード一覧


レポート追加画面。いろんな表示形式を選択することができます


期間もある程度、自由に選択できます


ダッシュボードを一つ作ってみました(画面クリックで拡大)

POINT!

・ダッシュボードで表示できるレポートは非常に豊富だし、期間もいろいろ設定できます。

・配置も自由に変えられますが、レポートの大きさは変えられないため、レポートの大きさがうまくあわないと、無駄に1行使うことになってしまう事も。

トラフィック関連

メニューは以下の通り:
ページビュー
訪問数
訪問詳細
新規訪問数
再訪問数
新規訪問数vs再訪問数
時間帯別ページビュー
ユニーク訪問者数

特に珍しいものはないかと思いますが、いくつか画像を表示。


訪問数


訪問詳細


新規訪問vs再訪問


訪問者属性関連

メニューは以下の通り:
言語

都道府県

こちらもよくあるレポート群ですね。ひとつだけ紹介しておきます。

都道府県


コンテンツ関連

メニューは以下の通り:
ページビューランキング

一つしかないので、そのレポートを紹介。
実はこのツールのいくつかのレポートは比較機能を備えています。そこで前日とのデータ比較の画像を撮ってみました。


ページビューランキング



ナビゲーション関連

メニューは以下の通り:
閲覧開始ページ
直帰率(全訪問・新規訪問・再訪問をURL及び期間別)
離脱ページ・リンク
経路分析(訪問数・ページビュー単位)
サイト構造分析(ページ到達クリック数)
平均滞在時間
ページビュー別訪問数

ここが一番機能が豊富ですね。いくつかの機能の画像と、経路分析に関しては説明も含めて紹介します。


直帰率・全訪問・期間別


離脱リンクURL別


さて、注目の経路分析ですが、デフォルトで2ページ目までの遷移が上位5件に対して出てきます。2ページ目から右矢印を押すことによって、更に先の遷移を追うことができます。

経路分析


経路分析(上記画像の一番右上の「→」をクリックしたときに出てくる画面)


アクセス解析ツールを使い慣れている方は、上記画面の他のツールとの違いがわかるかと思います。ここからさらに導線を追ったり戻ったりできるわかりやすいインターフェース。ページビューでデータを表示する事も出来たり(もちろん通常の訪問回数もあります)、更新や訪問終了もわかりやすく表示されたりしています。更にURLも最後のほうが切れるわけではなく、真ん中が省略されているのも特徴的です。多くのツールは後ろのほうを切ってしまうため、どのURLか判別しづらいのですが、この手法であれば、最後を切るよりはわかりやすくなっています。


サイト構造分析(ページ到達クリック数)


ページビュー別訪問数


マーケティング関連

メニューは以下の通り:
検索エンジン
検索ワード
参照元ドメイン
参照元URL

定番かつ重要な機能群ですね。参照元ドメインの画像だけ紹介。

参照元ドメイン


訪問者閲覧環境関連

メニューは以下の通り:
ブラウザバージョン
JavaScript対応
OSバージョン
画面解像度
カラーパレット
クッキー対応
Flash対応

こちらもよくある機能。いわゆる、見るのは楽しいけど、それほど使えない機能群です。

OSバージョン

POINT!
・レポートはCSVあるいはPDF形式でダウンロードできます。件数はレポートによって違いますが、最大上位1,000件までだと思われる。

・除外IPや自分のアクセスを無効にする事がプロジェクト単位で可能。

・グラフ等はマウスオーバーで詳細を見ることができます(上記のグラフ参照)。

・左側のメニューは隠すこともできます。

4.雑感&今後への期待

この記事の最初で、雑感をまとめたので、それを改めてここで紹介。

・最低限+αの機能は揃っている。特に導線分析が良い感じです。
ただコンバージョンページを設定出来ないのが残念。追記:2009/08/06 コンバージョン機能が実装されました) またセグメンテーション機能もまだ実装されていません。
・インタフェースは全体的にわかりやすく、直感的に使えます。
・下手な有料ツールよりはオススメ。でもGoogle Analyticsの方が現時点では機能が豊富。


上記4つに関して、もうちょっと詳しく書いてみます。

最低限+αの機能は揃っている。特に導線分析が良い感じです。

機能は一通りそろっています。基本的な数値を見る分には全く問題ないでしょう。また多くのブログや無料ツールが提供しているアクセス解析よりも機能が充実しています。導線分析は機能及び見やすさともに優れていて、PVと訪問回数、両方の指標で見られるのは珍しいですね。データのダウンロードやダッシュボードも使い勝手が良いです。

ただコンバージョンページを設定出来ないのが残念。またセグメンテーション機能もまだ実装されていません。

コンバージョン設定できないのはサイトによっては致命的です。ブログや個人のホームページ、Wikiなどで使う分には問題ないかと思いますが、ECサイト・資料申込・会員登録などがあるサイトの場合は使えなくはないですが、見たいデータを見るのに手間がかかってしまいそうです。ここは一番最初に拡張してもらいたいところですね。今のままだとサイトのROI改善には使えないので、ビジネスサイトには向いていません。追記:2009/08/06 コンバージョン機能が実装されました。別途、記事を追加しています。



セグメンテーション機能も分析をしっかりやるためには欲しい機能ですね。

インタフェースは全体的にわかりやすく、直感的に使えます。

このツールの良さはインタフェースにありと個人的には思いました。いろいろなツールを使ってきましたが、非常にわかりやすいツールになっていると思います。アクセス解析初心者でも、すぐに使い方がわかるかと。Flashも効果的に程よく使っていて、操作していて特に苦労は感じませんでした。「ダッシュボードのレポートの大きさが変えられない」とか「日付を直接入力出来ない(開始日と終了日をカレンダー上でクリックするという方式になっています)」といった部分もありますが、わかりやすさ・使いやすさはかなりのものです。

下手な有料ツールよりはオススメ。でもGoogle Analyticsの方が現時点では機能が豊富。

やはり、「もう一つの無料アクセス解析ツール」とは比較せざるを得ないので、言及しておきます。機能的にはGoogle Analyticsのほうがやはり豊富です。特に2点目にあげた「コンバージョンページ」と「セグメンテーション」の有無はツールを選ぶ人によっては決定的な差になるでしょう。情報もGoogle Analyticsのほうが(当たり前ですが)多いです。ただYahoo!アクセス解析のほうが「使いやすさ」という点では勝っているように感じました。逆に言うとGoogleAnalyticsは若干使いづらいなと思っています。しかし、この辺は個人の好みもあるので、一概には言えませんが。Google Analyticsが存在しなければ、積極的にオススメ出来るツールなのですが、現状のままだと厳しいですね。


最後に

Yahoo!アクセス解析はまだβ版ですし、これから進化をしていくでしょう。いずれ日本でも誰でも無料で使えるようになると思います。ちなみに中国ではすでに無料で使えるようですが、米国ではまだです。今後GoogleAdwordsと絡めたように、Overtureと絡めてくるかはまだ不明ですが、PV規模関係なく無料で使えるツールになり、必要な機能が追加されたら、GoogleAnalyticsの対抗馬になるでしょう。無料ツールが幅を利かせている中、有料ツールを提供している会社にとって、差別化をより一層行うのか、無料ユーザーが有料ユーザーを育ててくれると考えるのか、ピンチだと感じるのか、さまざまだと思いますが、ユーザーとしては純粋にいろいろなツールが出てきてくれるのは嬉しいです、はい。

*1:先着10,000名との事。2009/03/15時点で空き枠あり

*2:ベーシックを選ぶといくつかのダッシュボードが自動で作成されます。カスタマイズの場合はダッシュボードが自動で作成されません。違いはこの1点のみです。