「Google.comからの流入で『検索ワード』が取れなくなる」問題を調査


試験的にGoogleが検索結果ページにAJAXを使うことによるアクセス解析への影響が最近、米国で話題になっています。(こことかこことか)今のところ日本語版Googleでの試験は行われていないようです。この件に関して
Googleは、以下のような見解を示しています。

Currently AJAX results are just a test on Google. At this time only a small percentage of users will see this experiment. It is not our intention to disrupt referrer tracking, and we are continuing to iterate on this project and are actively working towards a solution. As we continue experiments, we hope that this test may ultimately provide an easier solution for our customers and a faster experience for our users. For more information on the experiments that we run on Google search, please see http://googleblog.blogspot.com/2006/04/this-is-test-this-is-only-test.html


簡単に言うと、
Googleは常にユーザーの利便性のために新しいインターフェースのテストを行っている。
・テストは小規模で行われている。
アクセス解析への影響は認識しており、アクセス解析を妨害することは目的ではない。
・解決方法を模索している。

とのことです。


そこで、AJAX版によるアクセス解析への影響を調査してみました。


見分け方

今までのGoogle.comの検索結果URL
http://www.google.com/search?hl=en&q=%E6%A5%BD%E5%A4%A9&btnG=Search


検索結果がAJAX時の検索結果URL
http://www.google.com/#hl=en&q=%E6%A5%BD%E5%A4%A9&fp=Rhq7p-mUk-o

hlの前が「?」なのか「#」なのかで見分けるのが一番簡単そうです。
以下、便宜上「通常版」と「AJAX版」という呼び方をします。


調査手法

1)Google.comで「楽天」というワードを検索*1
2)上記の通常版・AJAX版でそれぞれサイトにアクセス。
3)FirefoxプラグインLive HTTP headers」を使って、アクセス解析ツールであるSiteCatalystに飛んでいるデータをチェック。その中身を精査。


調査結果

通常版のデータ

検索結果URL
http://www.google.com/search?hl=en&q=%E6%A5%BD%E5%A4%A9&btnG=Search


アクセス解析ツールに飛んでいるデータ
http://rakuten.112.2o7.net/b/ss/rakutencojpmain/1/H.5-pdv-2/s18925897387688?[AQB]
ndh=1
t=5/1/2009%2013%3A17%3A24%204%20-540
ce=EUC-JP
ns=rakuten
cdp=3
cl=28944000
pageName=Rakuten%20Top%3A%20Normal
g=http%3A//www.rakuten.co.jp/
r=http%3A//www.google.com/search%3Fhl%3Den%26q%3D%25E6%25A5%25BD%25E5%25A4%25A9%26btnG%3DSearch
cc=JPY
ch=Rakuten%20Top
server=www.rakuten.co.jp
(後略)


AJAX版のデータ

検索結果URL
http://www.google.com/#hl=en&q=%E6%A5%BD%E5%A4%A9&fp=Rhq7p-mUk-o


アクセス解析ツールに飛んでいるデータ
http://rakuten.112.2o7.net/b/ss/rakutencojpmain/1/H.5-pdv-2/s15873154252915?[AQB]
ndh=1
t=5/1/2009%2013%3A17%3A58%204%20-540
ce=EUC-JP
ns=rakuten
cdp=3
cl=28944000
pageName=Rakuten%20Top%3A%20Normal
g=http%3A//www.rakuten.co.jp/
r=http%3A//www.google.com/
cc=JPY
ch=Rakuten%20Top
server=www.rakuten.co.jp
(後略)

見ての通り、リファラーの所が違います。通常版の場合はURLがエンコードされています。これをデコードすると(こちらのサイトを利用しました)

http://www.google.com/search?hl=en&q=楽天&btnG=Search

という風に検索ワードが入っているのがわかるかと思います。しかし、AJAX版は

http://www.google.com/

と検索結果のURLとは違うことがわかります。


結論

現状、アクセス解析ツールでは「#」以降のURLはリファラーとしてみません*2。今回のAJAX版では確かに話題になっている通り、検索ワードの情報が「#」以降に入っているため、検索ワードを取得することができません。


もしAJAX版が正式に採用されると、A)Googleが何か対策を考える あるいは B)アクセス解析ツール*3側で何か対策を考える ということが行われない限り、Googleからの流入検索ワードが取得できなくなります。結果、Googleに対してのSEO対策の仕方そのものも大きく変わってきてしまいますし、今までのツールやノウハウが無意味になってしまいます。影響範囲はかなり大きいです。


しかし、冒頭に記載したコメントを見る限りでは、Google側でも対策も検討しているようですし、規模を考えるとすぐには大きな問題にはならないかと思いますが、今後も注視が必要な内容です。皆様のサイトにも、すでにこのような流入が来ているかもしれません。リンク元http://www.google.com/かつ、検索ワードが無い流入がそれに該当いたしますので、必要に応じてご確認ください。


補足:Adwords関連は今のところURLに変更は無いので、影響は受けておりません。あくまでも自然検索からの流入になります。

*1:ちなみに筆者は楽天関係者ではありません。分析がしやすいサイトということで選んでみました。

*2:通常のサイト内URLを判別する時も#以降は無視されます

*3:もちろんその他SEOツール等も対象になるかと